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一兆年の夜 第百三十六話 終わりの始まり ライデンの終着点は始まる(十)

 未明。
 だが、ライデンの肉体は既に其の話をさせまいと悲鳴を上げ始める。其処から先は話すまいと運命が彼の精神と肉体を切り離しに掛かる。
「クソウ、如何して夢宇宙は俺に対してこんな運命を強いるんだ。未だ、未だ話し足りない事が……あるというのに!」
「又なのか、又僕はたった一名だけ無事で……ああ、又生命の肉体が溶けて行く!」
 ほ、本当だ……右手の指先か、ら、内、側に--ライデンは自分の役目が唐突に終わる事を望まない。
「何で何時も僕だけが一名に成ってライデンを含めた生命はみんな先を行くんだ。僕は未だ話し足りないというのか、こんな神様だらけの世界に残されて!」
「ハアハア……何となく、お前の存在が、わかって、来た。此処には、無念を、未練を、残して来た、生命が、想念の、海に旅立つ、には余り、にも、力無き、故に、更には……ハアハア、そろそろ限界が来た」
「此れで良いのか、ライデンさん。此れで貴方の未練が果たせたと言えるのですか!」
「馬族の生命が言ってた事を、ハアハア……思い、出して来、た。そう言え、ば、あいつらは、俺に、銀河連合を、銀河連合を、倒す事、其の意味、答え、全てを、ハアハア……実は--」
 ライデンさん……実は何なんだああ--謎の人族の青年が叫ぶ時、ライデンは風に吹かれるように何もかも残さずに消えて行く!

(そう、だ。思い出したぞ……最後に、思い出した事全てを、全てを--)








 双子島に到着してから二の年と一の月と二十七の日より後。巨島に到着してから二の年と一の月と十五の日より後。馬島に到着してから一の月より後。
 ライデンは馬島の中央にある最も小さな建物内で立ち続ける齢三十四にして三十日目に成るトジョナ馬族の老年と話をする。
(尚、馬島では生命は三十年も生きるのが難しいらしい。大体が二十代中盤から死に始める。其の為、彼等の青年期は俺達にとって成者の年に成る十五から始まり、二十は中年の時期。二十五から老年の時期と成る。なので表現としては五から十四迄が少年少女の時期、十五から十九迄が青年或は女性の時期、二十から二十四迄が中年或は熟女、二十五以降は老年或は老婆という区別に成る)
「何故に銀河連合と呼ばれた存在が居るかわかるかああああな?」ライデンと会話するフウイヌは問い掛ける。「あのように意味もない行為に全精力を掛ける彼等は如何しいいいいてえい存在する?」
「其れは俺達を食べる為ですよ、フウイヌ殿」
「だが、食べる物なら他にだあああってえいある。なのに何故に生命を食べようと試みるか我々には理解が及ばあああなあい」
「かも知れません。俺達を食べる事が其処迄味に成るのでしょうか?」
「栄養価だの何だのと菅原ライデン君が伝える世界では味覚は五種類ああああるんのだろう? 全ての組み合わあああせいとやらでは数の世界に数えると最早出し尽くしているような気がするがあああな?」
「甘味、酸味、塩味、苦味、旨味の五種類が舌に感じ取れる基本的な味覚であるのです。更には其処に辛味や渋味、脂味、酷味、冷味と呼ばれる物もあるそうです」
「辛味は痛みと変わらなあああい。渋味は舌の水分を吸い尽くうううすん症状、脂味は舌に脂を乗せる惑いの味覚で冷味は舌を凍らああああせうる。特に酷味は幻を覚える症状に近く、我々の中では最も避けえええたい味覚だ。見ろ、銀河連合とやらの味わい足らなああああいん様子を」
 ああ、奴等はあれだけでは飽き足らない……酷味が齎す飽くなき精神が現状維持を求めないように思えて気味が良くない--ライデンは馬島で見掛ける銀河連合を観察しながら如何に今の自分達に照らし合わせるかを思い知ってゆく。
「此れが味への飽くなき精神が齎す悲しき劇と我々は呼んんんんでえいる。君達外の生命もそんな銀河連合と同じ事をして恥を感じいいいなあいのか?」
「いや、俺達は銀河連合に依って齎される悲劇を少しでも回避する為に力を付けて技術を付けて奴等に立ち向かっているのです。銀河連合みたいに差別すらも知らずに味を求めるような事はしません」
「だが、銀河連合を倒す為に飽くなき味を求める事は我々から見れば君達も同じではあああなあいのか? 銀河連合の脅威に立ち向かう為に力を付け、更には選り旨味を求めて皆への期待を理由に現状では満足しなあああい所は? 菅原ライデン君は如何しいいいてえい其処迄銀河連合を脅威と見做すうううかあ? 脅威と見做せば見做あああすん程、後戻り出来ない状態へと追い詰めらああああれいている事に気付くべきではなかろうか? そう、あの銀河連合みたいに最早何物も満足し得ない心身へと様変わああありいするかのように!」
「そうじゃない、俺達は純粋に誰かを守る為に戦うのだ。そうして上から俺達と銀河連合が同じだと断言しているようですけどねえ……其れは貴方方の所に来る銀河連合が偶々、観察出来る程度の存在だったに過ぎんのです。知恵も其処迄発達--」
「確かに其の通りいいいだあ。我々は君みたいに長く生きいいいらあれもしなければあのような銀河連合たる存在のように脅威と成る智慧も働あああくう事なく平穏に過ごせたのが奇跡とも呼べる。だがな、知恵を付けええいれば今の君達の世界の脅威と成る。そして君達はあの銀河連合同様に我々にとって此処で生存するには危険過ぎいいいうる。未だ、我々を傷付けるうううんような存在ではないかも知れない。其れでも一兆年より先……君達が今の君達である保証はあああなあい。そう成ると我々も無事では済まなあああいんだろうな。我々の島に残る神様がそう告げえええてえいるように!」
 神様が--馬島で暮らす生命の智慧は想像を絶する程に先を行く事に戦慄を覚えたライデン!

(其れは同時に俺が話の途中で其の場から逃げ出して気が付けば海に飛び込んでいた程さ。俺を見た馬族のある青年が泳いで俺を止める迄、きっと溺死していたかも知れない。そんな彼は俺の為に筏を作ってくれた。若しも泳ぎたいなら其の筏を使って海を渡れば良い……若しも馬島の生命が言うような俺達が一兆年の先に銀河連合のような存在に成ってしまうとすればきっと其れは俺達の世界が終わりを告げる事を意味するんじゃないかな?
 だが、其の日は訪れないだろう。何しろ、其の一兆年が俺が死んでから先の話過ぎる為に想像が追い付かないのだからな。今は未だ、終着点の始まりに過ぎない。俺の死も終着点の始まりに過ぎない。
 さて、俺が馬島を去ると突然眠気が襲う。そして今迄の事を忘れて俺は無事救助される。其れから先は語った通りだ。こうして漸く此れからの俺の物語は終わりを告げる。そして俺が死んでも俺達死んでいった者達の意思はレット・テンタウを始めとした次の時代を築く生命に受け継がれる。
 こうして--)

 第百三十六話 終わりの始まり ライデンの終着点は始まる 完


















 未明。
 場所は新天地
 此処は……何処だ--齢十八にして四の月と三日目に成る神武人族の少年は新天地の何処か知らない浜辺に打ち上げられていた。
「あ、そんな所で寝ていたら」其処へ齢十五にして四日目に成るヤマト人族の少女が近付く。「風邪を引きます、其処の雄の生命!」
「誰だ、君は?」
「あ、私ですか? 私は--」
 そしてレット・テンタウの物語は二の年もの間、永い眠りの中で徐々に再開へ向けて始動してゆく……

 ICイマジナリーセンチュリー三百十五年一月一日午前八時二分一秒。

 第百三十七話 新天地のレット 其れは未だ見ぬ島国 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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