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一兆年の夜 第百三十六話 終わりの始まり ライデンの終着点は始まる(九)

 双子島に到着してから二の年と一の月にして三の日より後、巨島に到着して二の年と二十二の日より後。
 ライデンは小柄ながらにも巨島の生命の為に尽力した。既に此の時は元の世界に戻る事を諦めていたのかも知れない。そう思う位にライデンは巨島の生命の為に尽力した。何故かは此れからライデンが次のように思考する事で納得がゆく。
(此処は巨島でありながらも俺みたいな生命を寛大に受け入れてくれた。そりゃあ双子島の生命にあれだけな扱いを受けた後だと余計に堪える物かも知れない。そんな事も含めて此処には元の世界にはない捨て置いた神々の存在が溢れていたんだ。だからこそ俺は其れを観光するのも楽しみだった。勿論、アリゲランを始めとした生命が俺の功績を高く評価した事もある。俺が小さい故に其れ相応の手当てが出来るという利点も其処にはある。命懸けに見合った生活の充実というのは中々に今の生活を手放したくないって思いが募る物だよ。そうして俺は帰る事を忘れだしていた。
 おっと、どんな物かって? 先ずは巨島の北端にあるのが何とも言えない格好をした人族の体型をした何かが縫い目の模様をした球を右手に持ち、左手に革のような物で作ったような家鴨族の足みたいな手袋で包んだ格好だったな。アマテラス文字で『読売巨人軍のマスコットジャビット』だそうだ。読売巨人成る国があったとはな。其の中で俺も知らない種族が居て、中でも英傑的な存在があのマスコットジャビットだとしたら……そう思ってアリゲランにマスコットジャビットみたいな種族が居るのかを尋ねた。すると彼女から返って来た答えは『マスコットジャビットみたいな人族のように二足歩行をした上にあんな首が支えられそうにない程大きな頭の種族なんて見た事ないっがん』ってもんだ。勿論、アリゲランの両親にも同様の事を尋ねても答えは殆ど変わらない。にしても神様の中にはこんなどうゆう戦い方を想定してあんな右手に縫い目の球を持つのかもわからん。更には如何考えても手を温めるか保護する以外に使途が見えないあんな左手に嵌めた指の可動域を狭める革のような何かで出来た手袋も謎が多過ぎる。却って物を持つ事が難しいと俺は考えるがな。兎に角、読売巨人の軍者にとって右手の球と左手に嵌める革みたいな物で出来た手袋が標準装備なのだろう。其の中でもマスコットジャビットは数多の功績が認められて英傑的な存在として後に神として祭り上げられた。だとすれば神様の定義は益々理解の外にありそうだ。
 次は最南西西にある何とも恐ろしい筋繊維を剥き出しにした巨大な人族の神様だろう。恐ろしい所は巨島の生命よりも更に巨大な姿をしていて尚且つ壁を伝おうとしている様子が伺える。そして筋繊維が剥き出しでありながらも銀河連合ではない其の姿は正に巨島の生命よりも巨大な存在を示唆するような物。俺からすれば只でさえも雲を突き破らん大きさの生命よりも更に巨大な存在が居たとしたら此れ程迄に井の中の蛙族という表現が的確な事例は存在しない。そして名称は『進撃の巨人』らしい。壁に手を付けるだけでは飽き足らずに何と此処から進撃を始めようというのか、此の神様は。だとすると果たして奴が若しも実物で壁を越えたならば今迄の常識が引っ繰り返る衝撃を俺達に与えるかも知れない。
 最後が最東端にある『黒鉄の巨人』と呼ばれる恐ろしい形相をした人族なのか? 背中に零を表すような数字が見える。いや、何故其れを零と断言するのかは俺も理解出来ない時がある。けれども、其の神はまるで全てを怒りで包んでいるかの如く表情に余裕がない。全て我がものだと言わんばかりの自己主張は一歩踏み間違えると銀河連合と大して変わらないような凄味を持つ。恐ろしきか、神というのは。
 そんな神々だけじゃない。俺に興味を示すのは此の生命の飽くなき精神の数々は我々小柄な生命では一生懸けても難しい事をやってのける。大きいが故に手にした数々の技術に更には大胆さの中に俺みたいな生命を必要とする細かい気配りなんかも見え隠れする。其のお陰で俺の為に船までも用意した。何時だって彼等は俺の事を大事な客以上の気配りをしていて戻ろうという気概が徐々にではあるが俺の中で薄れて行く。こんなに滞在したのは其のせいなのかも知れない。
 だが、別れは何とも言えない所で訪れる。其れはアリゲランが俺を足提げ荷物で運んでいる時だったな。海が見たいって五月蠅いので仕方なく其処に入って付いて行った時だった)
 見て見てっがん--齢十一にして七日目に成るアリゲランは興奮してライデンの鼓膜を破けん音量に成っていた。
「少しはあああ静かに言ってくれよ。余りの音に体が思った以上に動けないんだよ!」
「あ、そうだったっざん。ライデンにも見せてあげようと思っているっがん」
「そうか、ならば……あれ?」其の時、急降下して足提げ荷物の紐を掴んだ鷲型が勢いを逃さずに急上昇。「まさか……銀河連合!」
 ライデエエエエンっざん--アリゲランの声は聞こえても其の叫びはライデンの肉体を震わせるには届かない高度迄上昇していた。
(声からしてアリゲランは無事だ。だが、俺が死んでしまえばアリゲランの身が危ない。攀じ登って奴を如何にかして倒すべきか……おおっと!
 クソウ、俺が小さい場合は却って急上昇は地上との気圧差で鼓膜が無事では済まないな。後は空気の濃度が……薄い!)
 巨大な生命にとって丘を越える事は鼓膜にとって大した影響を受けない上に呼吸する上でも窒息に繋がらない。だが、ライデンにとっては其れが余りにも急激故に呼吸するのも大変な状況に。息を止めたって襲い来る急激な冷気と血の巡りの順調程遠い様は、自らの疲れを加速させに行く。
(感覚、が。眼が赤く染まるような……充血しているな。こんな状態では、手が……あ!)
 そして、小柄故に捕まっていた筈が握力が緩んで其の侭急降下--完成制御も出来ない侭にライデンは死を覚悟する!

(其処で俺の人生は終わったかに思えた。だが、不思議かな……意識を取り戻した時には馬族だらけの種族が居る最後の不思議なる島へと辿り着く。其処の名前は馬島と呼ばれ、僅か短い中で俺に全生命の在り方について突き付けて来るもんだ。其の僅かな事というのは此れから話す。短い中ではあるが、其の島では俺にとって生命と銀河連合とは何かを突き付けるみたいに思えて不思議と逃げ出したく成る思いに駆られたな--)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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