FC2ブログ

一兆年の夜 第二十話 二つの星 接触篇(四)

 午後八時十一分五十八秒。
 場所はマンドロス山標高成人体型六百五十七。
 エリオット達五名は寝る準備を始めていた。
「仮設民家を作るのは大変だよ。骨が柔らかいと直ぐ壊れて怪我するし!」
 そう言いながら参花は四名よりも遅く成人体型一の者が楽して寝られる大きさの仮設民家を作っていた。
(やっぱりみんなは凄いよ! 僕なんかは仮設民家を作るのに二の時をかけてるのにまだ出来ないよ)
 参花は生命よりもうまく出来る者ではなかった。幼少の頃から言葉を話すのに三の年をかけるくらい物覚えが良くない。走る事も一般の人族より三の年くらい遅く、算数の基本である加減乗除が出来たのは三の月より前だ。
 それくらい何もかも上達に時をかける少年だ。
「やっと、出来たよ!」
 手間のかかる雄故、幼い頃から三名の姉に可愛がられながら育った。
「やっと出来ましたか! どうやら棟一の話は本当らしいな!」
 参花が作った仮設民家より最も遠いところに作られた仮設民家からエリオットが顔を出した。
「エリオットさん! どうですか、僕が丹精込めて作った物は!」
 エリオットは参花の側まで近付き、溜息をついた。
「えっと、エリオットさん?」
「最初からやり直そう。これじゃ、翌の日には参花様は下敷きになられます!」
「そんな!」
 参花は両手を地面に付ながら顔を埋めた!
「あなたは棟一様との思い出がないから彼を知らないでしょうが、彼は何でもこなすくらい優れた御方でした!」
 エリオットは木陰に僅かながら映る星々を眺めながら棟一の話を始めた。
「それは僕への当てつけですか?」
「不正解! 自分は参花様には是非とも棟一様がどんな御方なのかを知って貰いたくてお話をします!」
「棟一兄さんの事は一番自慢してた弐高姉さんから散々聞いたよ!」
「弐高様以外からも話を聞いて下さい!
 そしたら棟一様の印象は変わります!」
「そうなの?」
 参花はエリオットの方に顔を向ける。
「そうなのです!」
 そう言われた参花は立ち上がり、背筋を伸ばしながらエリオットの方に眼を向けた!
「やはり棟一様に似ておられる!」
「兄さんに似てるとかいうのはいいよ! それよりも兄さんについてどれくらい知ってるか聞きたいよ!」
「わかった!
 天同棟一について自分が知ってるのはあの者と初めてであった印象はなんて言うかとても気分の良くないモノだったよ! 何を言うにも綺麗すぎる事を吐き、何をしてもそつなくこなす! 才色兼備にして高貴すぎる雄だったよ!」
「な、何か兄さんのことが好きでない印象だけど?」
「ああ、天同棟一のことが銀河連合の次に好きじゃないさ! 何しろ自分とは生き方も何もかも異なりすぎて気分に良くない!」
「そ、そんなに快く思わないなら無理をしなくても--」
「無理? 何を言われますか! 好きじゃないからこそ自分はあの雄に憧れた!
 自分がいくら背伸びをしたってあの雄は常に高みを上り詰める! 死んでもなお自慢の弟を持ってるのだからな!」
「それはおかしい! 僕のどこが自慢できるの!」
「わからないのですか?
 何故自分があなた様が参花様だとおわかりになった理由。それは……いや今は寝ることにしよう!」
 エリオットは話の途中で自分の仮設民家に帰ろうとした。
「あ、あの待って下さい! 棟一兄さんとはどれくらいの付き合いですか!
 続きは翌の日でもいいですのでそれだけでも聞きたい--」
「三日だ! 自分が棟一様と過ごされた期間は!
 それよりも参花様はいい加減、仮設民家を完成させるべきです!」
 そう忠告したエリオットは自分の所に戻っていった。
「三日。たったそれだけで兄さんの何がわかるんだ!」
 参花はエリオットに忠告されたのに立腹する!
(はあ。やり直しなんて面倒なことをさせるエリオットなんか好きになれるか!
 いいよ! 僕は翌の朝には大層立派な仮設民家を作ってやるんだから!)

 七月八日午前六時二分七秒。
 参花は眠っていた。
「これは!」
 エリオットは翌の三時まで意地を張って作った仮設民家を感じて驚く!
「おはようございまス、エリオット団長……っうえス!
 何ですかス、これス!」
 参花の眠る直ぐ側に作った仮設民家で寝いていたジンバルは外を出るなり、参花の作った物に驚く!
「おはよう、ございます! んん? これって、何?」
 参花の仮設民家よりも遠くに作ったライ子は顔を出すなり、両目の焦点が合わない。
「おはようございます! まあ参花様乃お作り似なられた物乃話題端後似しましょう!
 それより模五名分乃おにぎり尾作りました。ちゃんとお噛み似なりましょう!」
 イズモノキミは何食わぬ顔をしながら三名に朝ご飯を配った!
「目は見えなくとも風の音と触感を総合すれば何を作られたのかはわかります!
 才能をもう少し上手く使いましょう、参花様!」
 参花の作った物とは仮設民家の姿から離れたエリオット・ボルティーニの似顔絵だった!
(これで少しはエリオットも僕を見直してくれるだろ!
 僕だってやれば出来るってことを!)
 参花は自分が仮設民家を上手く完成させたと思い込みながら夢の中でエリオットが土下座しながら謝る姿を見ていた!

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR