FC2ブログ

一兆年の夜 第百三十六話 終わりの始まり ライデンの終着点は始まる(一)

 未明。
 其の場所はライデンが行き着いた謎の神の眠る世界。神の記憶を基にして再現された勇敢なる物語。そして言葉を介する者同士が戦う悲しき物語。だが、其処に罪と思うモノは一つもない。そんな世界に流れ着いたライデンは謎の人族の青年に此処に至る迄の話をし終える。
「其れは良くわかった……けど、わからない事が一つだけある」
「何だい、えっと……まあ良い」
「年齢が今一噛み合わないような……此の矛と盾は如何説明するんだ?」
「あ、そうだったな。確かに俺は初めての時に二十五の歳で死んだと説明していたよな。だが、見ろよ」ライデンは自らの右腕が無事である事も疑問視する。「ニャレーダーという相武様と縁があった謎の猫族の女性に移植手術を受けた覚えもない筈だがな」
「其の矛と盾は如何説明を付けるのだ?」
「其の説明は……ウグッ!」
「ライデンさん、如何したのですか!」
「如何やら……俺の死は漸く始まったのかも知れない。こうして無事だったのが不思議だと思ったんだ」
「待て、未だ話がし足りないぞ。幾ら何でも性急過ぎる!」
「こうして俺が……そうか、あの時からか!」
 ライデンは漸く思い出す。僅か二の年もの間……其の矛と盾が起こった理由を。其れが起こったのはライデンがルドール・バルケミンとキッシェル・キシェールと共に鯨型の体内に入った頃から始まっていた。
(あの時だ……あの時に俺は、二の年もの間--)


 未明。
 其処はライデンが終着した場所とは異なる世界。浮かんだ島以外は辺り一面海。何もない海にて齢二十にして十の月と十五日目に成る菅原ライデンは不思議に感じる。
(水位が……島が遠目でわかる中で俺を沈ませるには水位が足りない? 此処は一体何処なのだ?)
 一瞬だけ神の存在を浮かべたライデン。だが、島へ近付けば近付く程……其の考えは吹っ飛んでゆく。其の島の面積は確かに己の自重でも沈む事はない。だが、森も木も山も全て自分の肉体に比べて矮小で明らかに己だけが大き過ぎる感覚に陥る。
(此れも鯨型の体内が起こした奇跡なのか? いや、銀河連合に奇跡を浮かべるのは余りにも良くない。そんなの有り得ない。俺はそんなのを認めない。其れよりもルドールさんとキッシェルさんは何処に行った?)
 何だっし、此の巨大な人族はっさ--齢三十四にして二十日目に成るスウィフ鶏族の中年が後方に三十五名の軍者のような小柄な種族を引率するようにライデンの周囲を取り囲む。
「『何だ』はこっちの台詞だ。お前達の方こそ何だよ!」
「コラコラっさ、鶏族のおいらに向かって『何だ』とは例の失する巨大な人族めっせ。だが……同じ生命であるのは良くわかったっさ」
「同じ生命……そっちにも銀河連合が襲撃しているのか!」
「銀河連合っせ? 若しや、あの剥き出した恐るべき存在はそう名付けられるのかっそ!」
 其れは真古天神武も知らない水の惑星のもう一つの世界。小さき生命が暮らす双子の島に於ける物語にして此の双子の島への漂着こそライデンの物語を終着点へと導いてゆく。

(実は小さな生命が暮らす島だけではない。俺達よりも遥かに巨大な生命が暮らす島にも俺は漂着した事がある。先ずは先に此の双子の島での出来事から話をしよう--)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR