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一兆年の夜 第百三十五話 終わりの始まり 最後の一名に成っても(臨)

 九月百二十一日午後九時五分五十一秒。
 ライデンとレットは未だ未だ話し足りない様子。だが、銀河連合は二名を待たせない。既に水中より顔を出して二名に脅しを掛ける。彼等が二名の力量を知らない筈がない。だが、敢えて奇襲を仕掛けないのは二名に圧力を掛ける為にある。
「ライデン、此処は乗るか?」
「足下が筏なのは岩に乗っかると一瞬で食べられてしまうからな」
「質問に答えろよ」
「ああ、そうだったな。レット、此奴等は俺一名だけに任せろ!」そう言って左腰に差し込む鞘から雄略包丁を抜くライデン。「だから奴等の誘いに乗ってやる!」
「其の腕で、然も……もう錆び付いているじゃないか。そんな雄略包丁なんかよりも俺様の--」
 いけない、其れはお前が大切に使え--神武包丁の在り方を考えてライデンはレットの贈り物を断る。
「格好付ける所でいけないのだが……如何やって俺様の道を作る?」
「其れは俺が!」ライデンは水中に飛び込んで厚みを帯びた防衛網に向かって泳ぎ始める。「切り開くから其処で動力を全開迄回していろ!」
「ライデン、済まないが」
「何だ、がぶっ……会話出び、ないっ、ぞ!」
 動力は既に液状型が侵入して使い物に……ウワアア--爆発の余波を防ぐ為に思わず水中に投げ出されるレット!
(レットが……ええい、今は並み居る連中を何とか斬り伏せて此処を突破してやるから待ってな!)
 ライデンはレットの力を信じて突き進んでゆく。人族故に水中戦では分の良くない状況でも瞬間瞬間で革仙者化する事で人族の得意としない水中戦に利を齎してゆく。其れだけじゃない。革仙者化するもう一つの理由として囲まれて掴み掛られた際に振り切ったり包囲網を突破する役割を担う。ライデンは初めから水中にて長期戦を展開しない。陸に上がる迄に水中戦で出来る限り戦いを避ける事を念頭にして己の能力を使用する。つまり何事も過信をせずに更には確実に勝てる場所で戦う為に厚みを帯びた陣形に向かって泳ぎ進むのである--だが、銀河連合には既に読まれている為に突破した先に必ず同数程度の部隊が襲い掛かる……勿論、其れを読めないライデンではない!
(突破した数にこそ俺の狙いはある。正面からの戦いしか出来ない俺達だからこそ銀河連合にとってつまらない戦法も積み重ねて行けば……銀河連合を踏み台にして全力で飛翔する事だって俺達陸の種族だって出来るんだよお!)
 跳び箱の原理の如く、銀河連合も時には高い壁として立ちはだかる……其れを利用したライデンに依る脚力を最大限に使った脱出術--成功し、木の上に着地すると猿族の如く木から木へと移りながら銀河連合の追撃を避けて漸く陸へと辿り着く!
 其れは脱出に成功してから三の時と十八の分より後……

 九月百二十二日午前零時二十五分五十二秒。
 場所は迷宮の洞窟前。大陸藤原の中で陸があるのは現在も此の地域以外にない。
(侵入を許したか、チイ!)
 ライデンが駆け付けた頃には既に洞窟内に銀河連合が大挙。天同相武の安否に自信を持てなく成りつつあった--だが、其れは杞憂である!
「遅いな、ライデン!」入り口付近で銀河連合が次々と吹っ飛ばしてゆく影が一名。「御免、俺様は黙って戻っていた!」
「有難う、寧ろ感謝したいな」ライデンはレットの無事が確認出来た事を喜んで背中を彼の背中に触れながら会話を続ける。「此れで未だ未だ真古天神武の灯は続く!」
「ああ、もう俺様達だけだ。如何やら……見ろ、ライデン!」
「好ましくないな、指揮官型が何と四体も出て来るなんて!」
 其れは二名にとって希望すら見えなくなるような数。指揮官型を四体も投入出来る銀河連合の層の厚みにライデンは次のような考察を始める。
(若しや、指揮官型よりも強い存在が出て来たのか? いや、そんな筈はない。拠点型や大樹型、其れに最近出現するように成った島型というのはあくまで銀河連合の生産工場のようなモノであって単体では戦闘力を発揮しない。其れ等を除いて俺達は総合の上で指揮官型を最強の銀河連合として警戒してきた歴史がある。そして最強は決して不変ではない故に時代を追う毎に銀河連合も戦い方を変化させてゆく。其れも良く理解する話だ。だが、若しも……だ!
 指揮官型よりも強い銀河連合の種類が現れたとしたら……俺達は今後も不変なく戦い方を研究して突破出来るのだろうか?)
「ライデン、余り良くない考えを巡らすのはいけない」
「わかっているよ。だからこそ後十の秒迄にレットに言わないといけない事がある!」
「何だ、ライデン?」
 此れから先に訪れる指揮官型よりも強大な銀河連合が来ようとも……お前なら、絶対に大丈夫だ--其れは事実上、ライデンの遺言でもあった!

(そして、俺自身の最後の戦いが始まる。今度こそだ、今度こそ俺は--)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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