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一兆年の夜 第百三十五話 終わりの始まり 最後の一名に成っても(想)

 午前六時五十七分十一秒。
 場所は水没地域。鳳凰堂山を降りた先に在るのは水没した土地。一の年や二の年だけでは其れ等は解消される事がない。幾ら夏の日が何度訪れようとも雨と成って降り注げば結局水位は変わらず。そんな場所にて浮いた岩の上で休むライデン達生き残りの二十三名。
(水が濁っているぞ。こうゆう時に限って銀河連合は其れを利用して奇襲を掛けに来る。後は一部の鳥族のように光の屈折を抑える瞼を持っていたら話は別だが。だが、昼頃に成ればお日様の光は選り眩しく水面を照らして来る。何で都合良く曇りじゃない日に戦いが続いたのだろう?)
「隊長、水中の銀河連合が僕達を食べる為に泳いでいすよ」
「やっぱりそうか。奴等は余程お腹を空かしているのか」
「ええ、只お腹を空かして居たら僕は志願して食べられに飛び込みまよ」
「そうじゃないからハイラ道は其れを断るのだよな」
 そうですよ……第一に僕は餌にされる位なら舌を噛み切ってやるつもりす--ハイラ道がそう告白いけない理由は未だライデンも知らない。
「同級生を次々と死なせてゆくんだよな、わかるぞ--」
「わかっていまんね、隊長は。僕が銀河連合に食べられる事を其処迄拒む理由は其処じゃありせん!」
「何なんだ、ハイラ道? 是非共聞かせてくれるか?」
「はい、実は--」
 ライデンは目にした--ハイラ道の背後より急激に膨らむ水の存在に!
「危ない、ハイラ道イイ!」
 ライデンはハイラ道を突き飛ばして鮫型の噛み付き攻撃を受ける--結果、爪先から肩迄右腕を喰われた!
「……はあはあああ」叫び声を上げたい激痛に苦しめながらも歯を二、三本折るような形で堪える。「口から、血が、出るぅうう!」
「隊長、何という事に成ってしまいまたか!」
「此の程度は軽い傷だ」顔色で苦しむ事を部下達に知らせてしまう痛みの中のライデン。「命が一つ助かるなら、腕を何本銀河連合に食べさせようとも軽く済むさ!」
「済む訳、ないでよ!」
 ……俺の右腕を無くした代わりの償いは、如何して晴らそうとさせないんだあああ--ライデンが叫ぶのは己とハイラ道以外で起こった出来事を訴えるかのように!
「た、助けって……ぎにゅやうあ!」
「隊長、いだいいだいいだい?」
「俺は、こう見えて豚族の……ぎゃぶんイイン!」
「チイ、一緒に跳ぶぞ……ハイラ道!」
 はい……でええええ--浮かぶ岩は既に銀河連合其のモノで初めからライデン達は誘導されていた!
 岩に乗っかるよりも泳いでいた方が未だ安全だと考えた二名は岩型と鮫型の総勢百八体から泳いで逃げて行く。だが--
(クソウ、俺の右腕から急激に血が流れだすような此の感覚は!)
 ライデンの傷は水中内では出血量を増大させる。其れだけじゃなく陸に上がるには未だ未だ距離があった。其の距離にして実に成人体型五十--其の前に失血死は避けて通れない事態!
「隊長をやらせせん!」ハイラ道は偶然にも見付けた茎の一本を噛み契る。「傷口さえ強、強く縛り付ければ良いしょ!」
 契った茎の長さは成人体型僅か五……だが、縛り付けるには十分な長さであり、尚且つハイラ道は泳ぐのが速い!
「もう着いたの--」
 黙って下い、今から傷口近くを強く縛り付けす--有無も言わせずにハイラ道は水圧に筋肉を浪費しながらも縛り付けて行く……一方で鮫型が下から迫っている事も知らずに!
「良……上手く行--」
「何、何で……目玉が?」
 傷口近くを強く縛り付けた茎のお陰で失血死を免れたライデン。だが、逆にハイラ道はライデンの為に命を散らしてゆく--ライデンの革仙者の能力が自動的に解放され、ハイラ道の思いが網膜を通じて届けられる!
(……両親を目の前で、食べられた? 其れに、食べられた記憶から……お前は、お前は死ぬ迄食べられはしないって誓ったのか!
 なのに、なのに!)
 何やってるんだああああ……菅原ハイラ道イイイイイイ--ライデンは左手の力だけで抜刀して片手だけでありながらも勢いの侭に鮫型の胴体を半分に切断して見せた!
「何、やってるんだよ……ハイラ道。何で死んだんだよ、死ぬんじゃなかったのではないのかあああああああ!」
 ライデンは叫びながらも自らを周回する新たな鮫型の動きを一切逃さない。そして、次のような事を叫びながら鮫型の口から鮫型を二つに分かつ!
「わかったよ、ハイラ道。お前の意地は……俺が死ぬ迄果たしてやるからな!」
 幼少の体験から銀河連合に食べられて果てるのだけは避けたいハイラ道の死生観を受け継ぐライデン!

(菅原ハイラ道は死に、俺は生き延びた。あいつが俺を出血多量で死なせておけば鮫型に食べられる事もなかったのに。其れだけじゃない。折角、チョー磨達が命を懸けて切り開いた僅かな道を通った筈の俺以外の全員が死んでしまった。そんな傷心の中で俺は魅羅達が待つ仮設民家を目指して逃げ続けた。其の結果は改めて話す迄もないだろう。そうして真古天神武残存軍で生き残ったのは俺とレットと相武様だけに成った。俺達は最後の戦いへと踏み出す。
 其の前に--)

 五月百二十一日午後九時二分十八秒。
 場所は水没地域。其処はかつてライデンとレットが遊んで暮らしていたあの道真県第八北地区。
 其処に二名が集結する。ライデンと齢十七にして四の月と一日目に成る神武人族の少年レット・テンタウが最後の会話をする。
「如何ゆう事だ、菅原ライデン!」
「お前は新天地にて俺達の無念を晴らすんだ!」
「何を言ってるんだ、ライデン!」レットは胸座掴んでライデンの言葉に真実がないか確かめる。「そうゆう面白半分なのは聞きたくない!」
「俺の姿を見ろよ、レット」
「右腕が如何したって言うんだよ、相武みたいに移植手術を--」
 其れは仮に出来る医者を探せたとしても……今の俺に耐えられる保証は、ない--既に其れが陣痛或は分娩とぶつかり合う程に激痛を伴う事を知るライデンはそう断言した!
「希望は、如何するんだよ!」
「お前が希望を紡げ……俺は全生命体の希望がお前の子孫の先に在ると信じて、託す!」 ライデン……俺様は、俺様は--既に涙を流し始めるレット・テンタウ!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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