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一兆年の夜 第百三十五話 終わりの始まり 最後の一名に成っても(回)

(其の前に少しだけ俺とレットと相武様だけに成った真古天神武軍の様子でも語るか。そうだな、あれは--)

 五月百十六日午後十一時二十七分四十二秒。
 場所は鳳凰堂山標高成人体型百二十南東側。
(残り百名を切った。僅か六の日の内に五千以上居た残存軍が僅か九十八名なんて!)
 ライデンが指揮を執り、各個撃破を続ける物の銀河連合も同様の方法を取って徐々に残存軍の数を減らしてゆく。僅か六の日の内に五千二百十八名居た軍者の数はライデンも含めて九十八名に迄減った。
「レットさん達は何時に成ったら来られまか!」齢十九にして四の月と四日目に成る菅原岩狸族の少年菅原ハイラ道はライデンに尋ねる。「一向に来る気配がありせん!」
「あいつも孤軍奮闘している所がある。其れに……やられたよ、銀河連合の軍勢に!」
「隊長……此の侭では--」
 少し静かにしろ……考える時間が少しでも欲しい--幾ら考えても鳳凰堂山を放棄する以外に道がないと考えてしまうライデン。
「……」ハイラ道も既にライデンと同じ考えに至る物の、其れでも黙っていられる程未だ歳を摂っていない。「やはりもう命が大事す。さっさと山を放棄するべきであます!」
「言うんじゃない、ハイラ道。其れは安易過ぎる結論だ。大体、なあ」ライデンは此処を放棄する事がどれだけの意味を籠めるかを口に出して語る。「放棄する事は容易くても却って迷宮の洞窟に手を伸ばす事だ……そう成ってはもう遅い、何もかもが終わりだ!」
「で、ですが……此れ以上は、此れ以上僕達は……命を落とす意味なて、なて!」
「ああ、命を懸けたって……迷宮の洞窟に伸ばす手が遅く成るだけなのは、わかり切っている!」其れだけじゃなく、銀河連合に亡骸を提供する事の意味を理解してこう口に出す。「奴等が命を賭した連中の肉体を砲弾のように使用する事位は……わかっているから此処を去るのが正しいんだってのは、わかり切っているぞ!」
「だったらもう……此処を放棄しましょう!」
「出来たら苦労は」ライデンは既に包囲されている事を察知する。「しないさ……何処に守りの薄い部分があるんだよ!」
 え、え、真実、じゃなの--ライデンの言う事の意味を目で見ただけで理解する若き副官!
(此の侭では全てが滅する。かと言って何もしないよりも--)
「菅原殿、此処は我々に任せて貰えまするか?」齢三十一にして八の月と二十六日目に成る仁徳蝶族の中年葛西チョー磨は志願する。「貴方に救われたる命はこうして果たす時が訪れましたる!」
「チョー磨さん自ら……だが、チョー磨さんは指揮する或は支援する以外では足止めは難しいだろ。此処は俺達が--」
 いいえ、菅原ライデン殿は生きて……我々の念の無きる事を果たしてる下さい--チョー磨は思わず鱗粉を出す程に覚悟に満ちる!
「隊長、如何しすか?」
「……雄の言った事を此処迄貫かれては仕方ない。だが、出来るのか?」
「出来まするとも。何故なら葛西隊はたったの二十名にも見たしませんるが、私が全力の鱗粉で目を潰したる所を兎族の班と蜻蛉族の班で一気に押しのければ道は……開かれまする!」
「やって見せろ、後十五の秒に奴等は来るぞ!」
 やりますよる、有言実行を其の眼でしかと見届けなさいる--そしてチョー磨はやや南側に展開する分厚い陣形に向かって上下の四枚羽を広げて加速してゆき、鱗粉を撒きながら……銀河連合の総攻撃を一身に浴びてゆく!
「ああ……葛西さんが、葛西さんが!」ハイラ道は葛西チョー磨と彼に続くように次々と銀河連合に倒されてゆく部下達の姿を眼を逸らさずに見届けながらも次のように指令を送る。「今あああ、全速力で其の穴を潜り抜けんだああ!」
 残った七十八名は葛西チョー磨を始めとした二十名が命を懸けて切り開いた道を心臓がはち切れんばかりの勢いで走ったり飛翔して行き……僅か二十三名だけが脱出に成功--其れ以外は全員銀河連合に捕まるか或は次々と迎撃されてゆく!
「隊長、みんなみんな--」
「言うな、ハイラ道。俺達はなあ、俺達さえ生き残ればあいつらの死は何の意味もないモノではなく成るんだ。言うんじゃない、言ってしまったら意味が……意味が結局何だったのかと問いたく成るじゃないか!」
 そして山を下りて、平原に辿り着いた頃には既に日が変わっている時間帯……

(チョー磨の死は避けては通れない。奴が道を切り開かなければ今の俺はない。当然、其処には俺の愛弟子でもある雛同然のハイラ道だって命を懸ける意味がない。だからこそ俺はチョー磨の余計な行動を如何にか糾弾したい気持ちに今だって感じてしまう。奴が志願しなければ俺は魅羅とお腹の子の死を知る事もなかった。奴があの時に鱗粉撒き散らしながら銀河連合共の総攻撃を一身に浴びなければハイラ道があんな事を名乗り出て折角の死に場所を見付けた俺をわざわざ悲しみの縁に立たす事もなかった!
 其れだけ葛西チョー磨の自己犠牲は余りにも勝手過ぎたんだよ!)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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