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一兆年の夜 第百三十四話 終わりの始まり 魅羅と生きる水の惑星(接)

 午前九時十二分一秒。
 場所は迷宮の洞窟八階相武の間。其処は相武が避難した時から臨時の間として急造され、現在も工事が進められる。其処が相武の間として使用される主な理由は一つ。代々の大王及び法王が隠居して死ぬ為の地であるアリスティッポス大陸は既に無くなり、新たな魂の拠り所として此の迷宮の洞窟が選ばれた。そして躯央の提示した迷宮の洞窟の地下建設を進めるという計画も同時並行に進められる--相武が其処に骨を埋める事でより、作業者達の意欲を高めるという狙いも籠めて。
「来たか、おや?」其処で待つのは齢七十八にして十一の月と十七日目に成る既に髪は白色の烏族でも敵わない程に白髪且つ髭も同様に真っ白な相武が其処で足を組みながら横目で三名を見つめる。「君は……足尾魅羅君だったね」
「覚えてくれて光栄であります、相武様。そして両足の方は、そんな風にして痛みはないのですか?」
「二の年より前に私の足は既に死んだ……六十五の年より前に失った左腕の激しい痛みを相対的に思い出しても大して軽い」
 そう言えば相武様は左腕を移植すると同時に魂も受け継いだという話をリリザースさんが言ってましたね--ライデンは相武の左腕の元の持ち主が地同翔和とわである事を思い出す。
「ああ、移植した頃から自分の物にする迄はずっと其の痛みに苦しめられた。其れに比べれば両足の痛みは耐えられる」
「で、でも無理はいけません。相武様の為にも毛布で--」
 其れでは座る事を止めてしまうだろう--あくまでも座禅に意義を見出す相武である。
(無茶を言うぞ、相武様は。座禅は余計に足の感覚を無理にでも思い出す物だぞ。既に足の筋肉は二の年近い地下生活ですっかり痩せ細ってしまってもう立つ事も出来ないって言うのに……いや、二の年より前に既に下敷きの影響で機能しなくなったという方が正解だな。切除せずに済んだのは正に相武様の中にある翔和様の魂が御守り為さったとしか言いようがない。何処迄相武様を生かすつもりだ……いや、礼儀が成っていない事を承知で俺は考えるけど何処迄翔和様は相武様を生かせる気なのか?)
「と、ところで相武様」
「何かな、レットの事か?」
「あ、レットの事もありますが俺は少し気に成る事を尋ねたいのです」
「何かね?」
「南雄略に居ると思われる後継者は現在も御無事でしょうか?」
「其れか……心配は無用だ。わしが密かに結成させた調査班の報告に依ると南雄略は溶けた氷の影響を受けずに済んだ。其れに流れ星の影響もほぼ少なくて助かった。何よりも嬉しいのがあそこに居る地同の血は既に五名の後継者を産んだとの報告があった。其の内の一名を此処に連れて来るように要請した」
 レット以外の後継者が此処に--其れはレットが益々元の時代に還る口実でもあるとライデンは確信し始める!
「待て、ライデン。あくまで其の一名の保護者が許可を取るか如何かに懸る。若しも取らないとすれば天同家は今後空白状態が続くだろう。今度こそ私の代で滅びを迎えるだけだ」
「何で許可を取らない事を前提に語るのですか」
「南雄略は現在、生命の数が減り過ぎて困っている」
「そっか、少しでも生命が居れば南雄略の伝統文化は存続されるのですね」
「外から生命を連れて来るという選択肢もある……が、其れはあくまで生命の数がもう増えないと仮定してからの話だ」
「だからこそ相武様の要請を断る可能性があるという訳か……うーん」そうするとレットが元の時代に還るのは未だ未だ先に成りそうだとライデンは考える。「そろそろ俺はレットが心配に成って来た」
「済まないな、ライデン。急に呼び出しをして」
「いえ、此方こそ……では、異変が起こった箇所を背後に居るチョウ磨さんに尋ねたいと思います」
 え、気付かれていたのですかる--ライデンの気配察知の高さに驚くのは齢三十三にして十日目に成る葛西チョー磨。
「二の年ぶりですね、葛西さん」
「えっと……誰でしたかる?」
「首都ボルティーニで俺が救出した足尾魅羅だ」
「あ、あの時の少女ですか……二の年も見ない内に雌らしく成長しましたるね」
 ライデンさんはそうゆう所も全然見ていませんから困ります--未だにライデンに対する怒りが収まらない魅羅。
「そ、そうだったのか……じゃなくて」だが、ライデンは話の腰を折る訳にもゆかないのである。「相武様の無事は確認された……其れよりもチョー磨さん、異変は何処で起こったのですか?」
「そうでしたるね。今から案内しますので三名共、逸れないように付いて来て下さいる……ではウサール、案内をる」
 はいっさ--齢二十一にして二十八日目に成る鬼ヶ島兎族の成年にして工事現場乙区域指導官に就任したウサール・ドウワンはチョー磨と共に三名を案内を任される。

(其の現場にはレットの姿はない。だが、楽な案内ではない。此の案内に依って俺は助けられた生命も助からない生命も同時に生み出す。わかってはいても助からない生命を思い出す度に俺は……歯痒い気持ちに成ってしまうもんだよ。如何して割り切れる筈なのに死を見る度に悲しみが去来するのかわからない……怒りや喜びと同じく飽き足らないモノなのか?)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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