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一兆年の夜 第百三十四話 終わりの始まり 魅羅と生きる水の惑星(想)

 九月八十一日午前零時二分二秒。
 ライデンは比較的空気の新鮮な場所に魅羅を降ろす。其処に駆け寄る生命が一名……「隊長、たった一名じゃあ心苦しいでう!」齢十六にして七の月と十四日目に成る菅原狸族の少年菅原ハイラどうである。
「いや、ハイラ道。此処は俺だけで何とかする。お前は相武様の命令に従って自らの使命を果たせ!」
「いえ、此れは相武様直々の命令でありす!」
「本当だろうな?」
 ほ、本当でありす--ハイラ道は眼を逸らさず更には瞬きをせずに答える。
「……わかった。だが、俺の所に来たからには余計な事をしないように俺が命じる。氷はないか?」
「そう指示すると思って持って来また!」仕事の出来るハイラ道である。「他には全身の黒炭を落とす濡れた布もあますが」
 全く未だ未だお前は一名前じゃない……今は命じられる事を熟すようにしろ、命じられる前にやる事は余りするなよ--此方の考える事を先んじるハイラ道を見て笑みを零すライデンだった。
(此奴は……将来は化けるぞ。だが、如何化けるかは俺も知らない。若しかしたら俺の重い事なりに成るかも知れん。けれども、こうゆう若造の存在は俺みたいな未だ未だ若造の身にとっては喜びにも繋がるからな!)
「よ、喜んでおりますね……ライデンさん?」
「余り無理をして喋るな、魅羅」
「いいえ、ライデンさんにお話をしたいのです」
「何のお話だ?」
「えっと其の……何でも良いです。子供は、居りますか?」
 オイ……そうゆう話は好きじゃないんだよ--恋愛話が何よりも避けたいライデンは魅羅の言った其れに顔を逸らす程に赤らめてしまう!
「御免為さい、そ、其の、ライデンさんは、えっと、雌の、雌の生命と、如何、如何思って--」
「いや、其れ以上は言うな」ライデンは恋愛話を避ける為にハイラ道に後の事を依頼。「という訳でハイラ道、後は頼んだ!」
「え、ちょっ隊長ウウ!」

(俺は約二名も同年代頃の雌を知る。彼女達は其々に俺に対する応対は弟を面倒看る姉だったり或は兄を心配する妹だったりとやはり異なる。だが、此れは恋なのか? 恋が齎す物なのか、魅羅は俺を同じ目線で見るような気がした。年齢は生きていたら志乃と殆ど変わらないというのに如何も魅羅は志乃とは大きく異なる雌のようだ。益してや翼でもない。技の質ならば若しかするとあの二名と其処迄変わらないかも知れない。最も翼は生死がわからない生命と成ってしまった。志乃に至ってはICイマジナリーセンチュリーを受け継ぐ筈が果ててしまった。
 そう思うと魅羅も死と隣り合わせかも知れない。そう思い、俺は魅羅との関係を作る事を避ける為に単独で救出者探しに出たんだろうな。五武将の全てを自らの力で証明したいという思いの他に魅羅への期待と将来への安心出来ない想いを避けたかったのだろうな。そして目覚めると--)

 九月八十八日午前六時一分一秒。
 場所は六虎府工業都市第一西地区避難病院。
 其れは一階建て且つ仮設民家同様に組み立てが可能な簡易病院。其の中の三番寝床にてライデンは目覚める。其れから看病していた魅羅と会話を楽しむ。
「--そうか、あのおっさんは未だ生きていたのか!」
「スネッゾル先生と知り合いですか、ライデンさん?」
 おお、目覚めたかエエ--齢三十八にして九の月と十六日目に成る雄略蛇族の中年スネッゾル八代は久方振りにライデンと再会を果たす。
「あんたが……生きていたのか」
「生憎様……ググッエエ!」だが、スネッゾルは逆巻くように何かを堪える。「フウウウウ、今のは気のせいじゃエエ」
「……魅羅、退出してくれないか?」
「え、何でですか?」
「此れは重要だ。今から俺はスネッゾルさんに俺の症状について二、三尋ねないといけないんでね」
「でも--」
 ライデンの言う通りだ、魅羅君は下がってくれエエ--スネッゾルは自らの権限を行使して魅羅を下がらせた。
 魅羅が聞こえない隙間だらけの医務室にてライデンとスネッゾルは話をする。
「そうか、俺の左腕は最低でも三の月は動かしてはいけない……か」
「其れでもお前は昔みたいに無茶をするだろう……アッグ、ゲホゲホエエッ!」蛇族の吐血は膨らみが口元に向かって流れて行き、他の生命と比べて一気に吐き出される。「ハアハア……其れ迄、に俺は、長く、持つ、かエエ?」
「医者の養生が足りんぞ……何でずっと己を大切にしなかったんだよ!」
「あの氷が一斉に流れて行き、其れから全土で津波の被害を受けた生命を……少しでも助けるのに、如何して休んでいられるかエエ!」
 あんたが死んだらもっと助からないんじゃねえか--其れだけに自らを省みずに命を救おうとするスネッゾル八代の行動にライデンは涙を流さずにいられない!
「流すな……医者が減ってくれれば少しは医学という名の権力を揮う医者は少なくて感謝される一方だエエ」
「患者が来る事を心待ちにする医者なんて医者と呼ばんぞ……何て事を言うんだ、そんな風にあんたは自らの使命を捉えていたのか!」
 ああ、ずっとずっと俺は此れについて悩んでいたのだエエ--誰かを助ける故に誰よりも助けた命が死んでゆく様を目撃し続けたからこそ起こるスネッゾルの悩み!
「……其れで医者であるあんたの診療ではあんたの寿命は、どれ位だ?」
「余命と呼ばんかエエ。以てして……一の年生きられるだけでも有難いエエ」
「最近か、全く……だったら医者の活動を休めば寿命を延ばせるんじゃないか?」
 其れだけは己の誇りに懸けて断らせて戴くエエ--わかっていても尋ねたく成るのが生命の性……ライデンの思った通り、スネッゾルは医者として全うする覚悟は出来ていた!

(そして一の年と二十七の日より後の雪が海を積もらせる夕刻にてスネッゾル八代は三十九の人生に幕を閉じた。俺の知る生命が死んでゆく。レットや相武様、其れに魅羅だけしか近しい者が居ない。
 ……魅羅という少女の事が徐々に俺の中で膨らんでゆく。其れはある日の事--)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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