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一兆年の夜 第二十話 二つの星 接触篇(二)

 未明。
 参花は三名の女性に遊ばれていた。
「恥ずかしいよ門忍姉さん! 抱っこされるのは嬉しくないよ!」
「何を言ってらして? 参花ちゃんは私から見ればまだまだお子ちゃまなのよ」
「参花君の言う通りよ、お姉様。もう十三にも成る子を抱っこするのはちょっと--」
「そうゆう狭間姉さんは僕のほっぺや身体を触るのはやめて!」
「どうして? 参花君の身体を触るの気持ちいいのよ!」
「二名のお姉様! 参花で遊ばないの! 困ってるわよ!」
「もっと言ってくれ弐高姉さん!」
「参花も参花よ! 何お姉様達に遊ばれてるのよ! あなたがしっかりしないせいなのよ! わかる?」
「そんなこと言われても僕には--」
「雄ならしっかりしなさい! あなたはいずれ天同の跡継ぎなんだから!」
「まあまあ弐高ちゃん。参花ちゃんをあまり叱りつけるのは良くないわ。この子はゆっくりと成長させる方が良いわ!」
「相変わらず門忍お姉様は参花に甘いんだから!」
「私としては参花君にはいつまでも子供でいて欲しい。だって大人になるとほっぺたを触れないんだし」
「狭間姉さんは僕を何だと……え? あれ? 狭間姉さんは?」
「狭間ちゃん? 狭間ちゃんはたった今--」
「門忍姉さんは?」
「二名の姉様ならもう--」
「に、弐高姉さんまで!
 えっと僕を捨てないでよ! 僕は姉さん達がいないと何も出来ないんだよ!
 姉さんはどこなんだ! ねえ、聞こえてる?
 お願いだから返事をしてよ! 僕のたった三名の肉親なんだから置いていかないでよ!
 姉さん! 門忍姉さん! え? 何で門忍姉さんは腰から下がないの?
 狭間姉さん! いやいや! 首だけ何て腰砕けはやめてほしいよ!
 二名はいなくなるなんて良くないよ! せ、せめて弐高姉さんでも!
 弐高姉さん? え? 何で首から上が見えないのよ!
 そんな腰砕けたことはやめ、あ、あ、ああああ--」
 参花の周囲は黒く無情の光に包まれ、やがては白く暖かな光が覆い被さる!

 ICイマジナリーセンチュリー六十三年七月七日午前十時零分四十八秒。

 場所は天同読五道。仮説民家の集合群。中央に配置された民家。
「……ああああああ!」
 天同参花は叫ぶように上体を起こした!
「あ? こ、こは?」
 自分が起きた場所がどこであるかを確認した。
「あの、気が、つきました、か?」
 齢二十三にして一の月と一日目になるクレイトス飛蝗族の女性はクレイトス製陶器
のお椀に入ったお粥を前右足で掬いながら参花に食べさせようとした。
「いいよ! 僕の力で食べられるから」
 そう言いながら参花は女性が差し出したお椀を右手に取り、お粥を飲み干した!
「済み、ませんが、その食べ方は、宜しく、ないのでは?」
「虫さんが食べ物を欲しがって五月蠅いのでこれでいいよ!
 ところでお姉さんの名前は何と呼べばいい?」
「お世辞は、よいの、ですね。私の、名前は、ライ子。名字は、来栖。先祖は、かつて、
クレイトス村に、住んで、おりました。宜しく、お願い、します」
「来栖? ああ、代々僕の家に仕えたクレイトス飛蝗族の来栖家か!
 宜しくね! 僕の名前は--」
「知ってるよス! あの神武族の長である天同の御曹司だろス?」
 割り込むように齢十八にして三の月と二十三日目になるメデス蟷螂族の少年が
参花が寝ていた仮説民家に入った。
「ジンバル! ちゃんと、団長の、許可、とったの?」
「別に増えないもんかス?」
「そうゆう、問題じゃ--」
「いいじゃないか。僕は今となっては天同の名折れだし!」
「名折れとは謙遜をス!
 俺の名前はジンバルでス。名字はムシャリーニでス。メデス蟷螂族のムシャリーニ
家の第二子でス。宜しくお願いいたしまス!」
 ジンバルと呼ばれた少年は参花の前で両刃を後ろに下げて深々と頭を下げた!
「こちらこそ宜しく、ジンバルさん」
「あ、あの、私も、参花様に、頭を、下げる、べきかしら?」
「別に良いよ、ライ子さん。ところでここはどこなの?」
 その声に反応する形で齢三十五にして四の月と二日目になる成人体型一と
コンマ四になる神武鬼族の中年が高さ成人体型一とコンマ五しかない仮説民家の中
に腰を屈める形で入ってきた。
「うわ!」
「『うわ!』斗端礼尾欠くなあ! 俺乃名前端カゲヤマノイズモノキミだ!
 宜しく!」
 イズモノキミと呼ばれる中年は自己紹介をした後に参花へ右手を差し伸べる。
参花はそれに応える形で右手で握った。
「こちらこそ宜しくお願いします。少し怖かったけど」
「鬼族端代々怖がられるものよ」
「見た目に反して中身は礼儀正しいんだからス!」
「騒がしいな! どうやら起きられたみたいですね、参花様!」
 聞きつけるようにエリオット・ボルティーニは仮説民家の中に入り、すかさず
イズモノキミを押しのけて参花の正面まで近付く!
「あ、あんたはえっと--」
「エリオット・ボルティーニだ!」
「そんな事はいい! どうして僕の名前を知ってるんだ!」
 参花は自分の名前を知る理由を問うた!
 エリオットは右人差し指で右頬を軽く擦りながらこう答える。
「勿論、あなた様を知らない生命は一名たりともいませんから!」
「いや、答えになってないよ! エリオットさんは眼が見えないんでしょ!
 なのにどうして僕の事が天同参花だってわかるのさ!」
 もう一度問うた!
 しかし--
「まあそんな事は置いといて参花様!」
 礼を欠く対応で答えをはぐらかされた!
「置いちゃ良くないよ! こた--」
「それよりも自分達はこれから大マンドロス町の奪還に向かう!
 あそこは国家神武亡き今となっては我々の故郷ふるさとだ!」
「あのさあ! さっきから質問をはぐ--」
「参花様! あなたは取り戻したくないのですか! あなたの兄である天同棟一が
死んだ地を!」
「そんなのどうでもいいだろ! 兄上が死んだのは僕が物心つく前だし!」
「そうか。だったら門忍、狭間、弐高はどう思ってる?」
「三名の姉さんの事を言われても!」
 棟一との思い出を知らない参花でも亡き三名の姉の思い出は知っていた。
(きっと門忍姉さんは雷様の如く怒るだろうな! 狭間姉さんなら怒りながら僕を無視
するだろうな! 弐高姉さんならいつも通り叱られる!
 僕の知らないマンドロス町を知ってる三名だよ! きっと……)
「わかった! エリオットさんの言うとおり大マンドロス町奪還しに行くよ!」
「それでいい! では征こうか皆の者!」
 参花は意志を固められないまま謀り無き遠征の旅に出る……!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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