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一兆年の夜 第百三十三話 終わりの始まり たった一名だけの五武将(戦)

 八十一日午前零時五十三分二十一秒。
 場所は第五南東地区。ライデンはたった一名だけで一酸化炭素中毒と格闘しながら探し回る!
(何処だ、何処に未だ生存者が居るんだ? クソ、眩暈がして来た。そろそろ外に出ないと本当に意識どころか体が言う事を利かなく成るぞ!)
 一酸化炭素中毒は息を止めれば解決するような軽い症状ではない。死の寸前では小指一つ動かすのさえも儘成らないのが恐ろしい所。ライデンがこうして走り回る事が継続出来るのは一重に革仙者の能力……ではない。
「今は三名も仲間が死んだ……割り切れない心が何処かに或る限りは、銀河連合!」身体能力が頑丈だったから耐えられたのではない……「身に覚えがないのは承知ではあるがな、なあ」益してや精神力ではない、一過性の怒りで我を維持しているからである。「シシドさんやリリザースさんを倒した憎き相手と対峙する時に此の感情は如何しても操作しないと痛みの感覚が鈍って困るからだよ!」
 ライデンの前に立ちはだかるのは一体だけではない。背後にも、そして地下水道に通じる蓋の下からも銀河連合は顔を出す。其の数、何と十五体。
「さあ、やろうか!」
 ライデンの雄略包丁は抜かれる。其れは決して綺麗な刃身ではない。既に此処迄に七体も斬り落とす程に使い込む。だが、刃は未だ新品同然の切れ味の侭……何故か? 其れはライデンが斬撃の極に到達した証--其れは決して並大抵の鍛練では身に付かない上に銀河連合を無数に相手しても身に付くには余りにも険しい道程!
(頑丈な部分を見極めないから刃は刃を毀れる。かと言って柔らかい部分を探すのは逆に頑丈な部分にぶち当たる。ならば斬撃で重要なのは一つ……呼吸を合わせれば良い!)
 ライデンが辿り着いたのが呼吸を合わせる事。其れは皮と肉なのか、銀河連合を体内に取り込んでから革仙者に至る迄に得た経験が彼を斬撃の極へと登り詰めたである。
 其れからライデンが三歩前に進む--と同時に計十五体の銀河連合は一斉に飛び掛かる!
(今の俺は息苦しい……が、逆に此れが絶好の調子!)

 午前一時十一分十一秒。
 ライデンは全て倒す。刃毀れ一つ起こさずに全てを斬る。だが、呼吸は更に荒れる。
(体が重たいな。所詮たった一名だけじゃあ此処迄だろう。革仙者の能力……は使えない。距離が遠過ぎて却って意味がない。其れに速度が速ければ目的地に着いても高速道路で馬族の講師が確かこんな事を言ってた気がする。追い越し道やら何やらを使って誰よりも速く進んでも最終的な時間差は通常の速度で走るよりも大して変わらないってもんだ。其れ所か余計に体力を消耗して自らを危機に晒すからな。
 だから……ン?)
 ライデンは未だに燃え盛る建物の中に焼け焦げて火が近付かない黒炭の一階建てを見付ける。其の中が決して空気が新鮮とは言えなくとも入りたい衝動が勝ると自然と体は動く。中はやはり臭いも含めて依り苦痛を味わうだろう。其れでも数よりも吐く空気を増やす事で如何にかしても呼吸を継続するライデン。其処迄しての使命がライデンを動かす。
 あ、見付けたぞ--建物内にて何かに隠れた侭、中を出ようとして気を失う齢十六にして五の月と十五日目に成る六影狸族の少年を発見するライデン。
「クソ……大分やられているな、だが!」ライデンは自分の容態で彼は助かると判断。「俺に比べれば未だ苦しみの症状は大丈夫だ……絶対に助けてやる!」
 ライデンは何か燃え切れていない布を少しだけ墨を落とすと其れを狸族の少年の口と鼻の近くに当てながら自分の体に巻き付ける。そして、一刻も早く外に出る為に一瞬だけ革仙者で勢いを付けてから通常に戻って走ってゆく!
「急げよ、急げよ急げよ……勢いは坂道に行けば減速が始まるからな!」
 僅か三十三の分の後に辿り着く。しかし……少年は助からなかった。

(時間を掛け過ぎて死んだ。そして俺の意識は未だ覚醒状態の最中にあって少年の死を却って眠け覚ましにしていた。未だ救える命が何処かにある筈だと考えて外に出て十の分もしない内に体が動いていた。最早何の為に動くのかを俺は如何も思い出せない。時間が掛かるほど助からない命が増える事位は知っている筈なのに、なのに!
 そうだな、あの時の俺は行動原理に意味を見出せない。今なら其の意味を答える事が出来る……が、当時の俺は其れが銀河連合に体を乗っ取られる一歩手前だと考えていただろう。其れ位に未だ、革仙者に成っても体内に居る奴は俺の体を乗っ取りたくて仕方がない。そうだ、当時はそう思っていた。
 実際は--)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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