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一兆年の夜 第百三十三話 終わりの始まり たった一名だけの五武将(継)

 午後九時二十八分二秒。
 場所は中央地区。二名が中に入って直ぐに銀河連合は十体以上で襲い掛かる!
「待て待て、此処には未だ患者が居る中で……寄ってたかって襲い掛かるかあ!」革仙者の能力の発動や更には船の戦いで培った斬撃の極に依り、ライデンは刃毀れ起こさずに五体同時に倒すかのように斬り伏せた。「はあああああ……どんなに能力があっても俺が救えるのはたった一名だけだ!」
「体が……やっぱり重たい!」
「いけない、そして……間に合わない--」
 合わせるんだよ--其処へ齢三十五にして六の月と十日目に成るキュプロ栗鼠族の中年が両前足に持った鉄槌にて少女に襲い掛かる虎型の頭部を粉砕!
「リリザース・リッサールさん!」
「間に合って良かった!」リリザースは只頭脳に優れた五武将ではない……「てエエイ、代々のリッサール家の怪力はこんな物じゃない!」時には頭脳に引けを取らない栗鼠族らしからぬ怪力乱神の如き暴れん坊ぶりを示し付ける。「全く……私には頭だけ働かせるん事を専念させろ!」
「凄い……木の将って怪力だったんだね」
「俺は既に知っている……が披露するのが遅過ぎるのがリリザースさんの気難しい所さ」
 言うんな、今は此の状況を打破するん事が先決だ……ライデン--其れからリリザースは木の将らしく、二名に的確な指示を送って宣言通り此の状況を打破!

(リリザースが戦わないといけない程に首都ボルティーニの戦いは熾烈を極める。銀河連合による火攻めは数多の軍者を一酸化炭素中毒で次々と死なせてゆく。無論、俺だって先程の彼女だって一酸化中毒に苦しまない筈がない。そんな俺達を気遣ってリリザースは最適な進路を指示。其れに従う事で何とか呼吸を整える余裕を取る。だが彼がずっと一緒に居られるのは此れが最後。其れが中央官邸に避難して一息ついていた時だった--)

 午後十時三十七分四十八秒。
 場所は中央官邸屋上。中は既に崩壊し、今では屋上だけが残る。其処でライデンと其の少女、そしてリリザースは一息吐く--外は未だ炎の勢いが止まらない中で!
「サンショウ丈さん達は大丈夫ですか、リリザースさんよお」
「サンショウ丈に何かあれば相武様は死んだも同然だ。だから奴には相武様と共に首都中を駆け回って貰うん」
「シシドさんが死んでも、か?」
 シシドさんは遅かれ早かれあの背中の傷が開いていただろうん……其れでも最後に何かを遺せただけでも勝利だ--リリザースが言う勝利とは戦略や戦術の上での勝利ではなく、心の中を表す。
「そんなの勝利と言えるか!」
「だとしたら何だ?」
「リリザースさんらしくない発言だ。あんたは何時だって合理的で抽象的な表現を避けて来たじゃないか!」
「其れは木の将の私の考え……だが、本心は夢宇宙への思いが誰よりも強くん、そして宇宙其のモノに成りたかった!」
 宇宙其のモノに--ライデンはリリザースの私心を始めて知る!
「ああ、其の為に……はぁ」
 リリザースは何かを語る前に首に一本の望遠弾のような何かが撃ち込まれ、屋上から転げ落ちた!
「……リリザースさああん!」ライデンは屋上から下に滑るように駆け下りてリリザースの容態を確かめる。「大丈夫……か?」
「あが……ハハ、喉が、喉を、掠め、たのは、致命傷、か?」
「喋る事が出来るだけで、こんなに生命の命を左右するっていうのか!」
「如何、な、此れ?」リリザースの瞳は出血を起こしたのか、血の涙を流す。「変な、事、いきなり、言うんの、は、半名前、じゃに、ない、か」
「クソウ、俺に弾丸を摘出する術を持っていたら!」確実に助からない現実を何とか己のせいにしようと図るライデン。「如何して、如何して俺より先に、みんな死んでゆくんだよ!」
「良いじゃない、か。そ、其れより、も、重要なの、あるんだろ?」
 ああ、あんたから木の将に相応しい軍者に必要な何かを教えて欲しい--割り切ったつもりではないが、本能がライデンにそう勧めるのである!
「フウ、良いか……フウウウウウ」リリザースは深呼吸をして長話が出来る状態にする。「秘訣はない。シシドさんから何を伝えられたかを私は知らん。知らん以上は反対側を口にしても何とか受け止めろ。良いか、お前が五武将の意思を全て呑み込め!
 火には火の徹底した疾走感を、水には水の踏ん張りを、金には金の剛胆さを、土には土の無償為るん行動を、そして木には木の……何足先迄見通すん複雑な枝分かれをおおお!
 ハアハアハア……以上だ、ゴフウああああああ!」
 あああああああああ、わかったよいおおおおおおお--絶叫の受け止めをしてライデンは勢い良く吐血して絶命したリリザースを悼んだ!
「こ、此処に居たの?」絶叫するライデンの前に齢二十三にして三の月と二十二日目に成るラエルティオ山椒魚族の青年が駆け付ける。「そして、リリザースさんが?」
「サンショウ丈さん、か。おかしいなあ、何故たった一名なんだ?」
「相武様が……相武様が、死にそうなんだ?」
 ……そうか、あんた一名じゃあ難しいから此処迄走って来たんだな--息が荒いのは戦ったからではないと何故か理解するライデン。

(リリザースの遺体は残念ながら弔う時間がなかった。相武様の方を優先しないといけないからな。一応、彼女も一緒に来させた。何しろ、たった一名だけだと潜伏する銀河連合が仲間を集めて襲撃するかも知れないと感じてな。リリザースを死なせた銀河連合は後で知ったがシシドを死なせた銀河連合と同じ種類である事がわかった。何故わかったかと言えば後程語る。
 神武聖堂に駆け付けた俺が見たのは……建物の下敷きに成る相武様!)

 午後十時四十三分四十八秒。
 場所は神武聖堂表門。
 其処で三名が見たのは齢七十六にして十一の月と九日目に成る神武人族の老年が下敷きに成る。腰から下を重く圧し掛かる瓦礫の数々。幸い、腰から上は無事である……が、燃え盛る炎は何時齢七十を超える老者を死なせるか時間の問題--むしろ、今助けないと手遅れに成りかねない状況!
「ライデンか。御覧の、通り……私は!」
「喋るなかれ、相武様。今から俺達三名で相武様を救出しますので暫くの間、呼吸を弱めて寝ていて下さい!」
 寝ろ、とはな--聞こえ次第では自分を他の老者扱いされるようで他の生命から言われると余り良い気分に成らないと感じる誇り高い相武だった!
(助けるぞ、絶対に助けてやるからな!)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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