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一兆年の夜 第百三十三話 終わりの始まり たった一名だけの五武将(引)

 午後八時十八分四秒。
 シシド・ミリエムの背中は何かで噛み千切られたように最早手の施しようがない状態。出血量が少ないのはシシド独自の……いや、獅子族独自の筋肉引き締め術である獅子剛と呼ばれる秘伝術のお陰--だが、其れもシシドの気が緩んだ時に全てが解き放たれる。
「もう楽に成れ。既に死んでいてもおかしくない傷だぞ!」
「未だ未だ、未だ未だ、若い衆にい勝ちを譲らん譲らん。だからだからさ、わしは最後迄強さを表明しいたんだだ!」
「痛々しい姿を晒して迄、強さを表に明かす事の何処に真の強さがあるんだよ!」
「オイオイオイオイ、気が緩んで……っぐ、グググ!」シシドは既に吐血した其れを胃の中に投入し続けて十四の分が経過。「うおおおおう……見苦しい所を見せてしいまったなな」
「変に吐血した物をわざわざ呑み込んで迄……あんたはそうまでして生きたいのか!」
「長生きいを長生きいをするとなあ、死ぬのが、死ぬのが恐く成るウウ」徐々に背中の傷口から血が浮き出す。「昔は、昔は、戦いの中で死ねるなら……本望だと思ったささ。そ、そ、其れが今や、ハアハア」
「俺には良くわからんな、長生きするとそう考えてしまうのは」流石に諦めたのか、ライデンはシシドの思ったようにする事を決意。「あんたの弱気は良くわかった。其れでもそんな事して迄俺の所に来たからには最後迄納得がゆく事を口にしろよ!」
「わかった、わかった、話すささ」其れから背中の出血量が水道の蛇口を全開迄開いた時に出る量に成る迄、シシドは語る。「五武将は、五武将は、他の二名は今も戦っている戦っている。だがだが、安心しいていられないい。何故なら何故なら、中央地区にいて二名は相武様を……相武様を守りながら戦っている!
 何処迄も何処迄も保てるかはわしにいもわからないい。若しかすると若しかするとこうしいて語る間に死んでいるかも知れないない。だからだからわしいは此処で急ぐぐ!
 此れからは此れからは五武将の全てはお前が引きい継げ引きい継げ。土の将だの金の将だのと背負うんじゃないい。たった一名だけでも全てが出来る五武将にいお前は成れれ!
 其れが、其れが、お前に引きい継ぐべき五武将だあああああ!」
 そして、シシドが精神力のみで封じて来た出血は勢い良く溢れ出て、最早彼を肉の塊にしてゆく……だが、ライデンの瞼から涙が出るような事態には不思議と陥らない。何故か?
「ああ、あんたは俺を後継者にしたのは金の将だけを引き継がせる為だけじゃなかった。藤原サイ団の持つ称号である火の意思を以って勢い良く駆け抜ける火の将
 山一サンショウ丈の持つ水のように倫やか且つ何事も体を張るという水の将
 リリザース・リッサールの持つ木のように体型的且つ戦略的且つ戦術の許す限り攻略する頭脳の木の将
 そしてあんたの、シシド・ミリエムの持つ金剛の力を以って全てを払いのける黄金の強さと精神力の金の将
 そして……俺の持つ足に地が付き、更には振動を感知したら的確に支援に向かうという土の将
 そうだろう、そうだろう……他の四名に確固たる地位に相応しくない或は誰も五武将の名を受け継ぐ者が現れなければ!
 そうだ、俺自身が例え一名だけに成っても五武将全てを担ってやるぞおお!」
 足下にシシドの亡骸がある中でライデンの瞼から涙は流れない。代わりに革仙者の能力の解放こそ彼の涙の代わりとする--溢れ出んばかりの赤き光はモノ知らぬ者からすれば銀河連合に精神を乗っ取られかねない程の膨大な量……先程迄一酸化炭素中毒で意識が混濁していた少女が目を覚ます程に!
「な、に? あれ、あれは、仙者の、相武様が、相武様、の見せた、モノ、なの?」
 彼女は物音を出して上体を起こそうとする。其れに反応してライデンは涙を堪えんばかりの形相で彼女を睨み付ける!
「ヒ、ヒイイイ……あ、あひ?」
「あ、御免。起こして何だが、直ぐに此の老者を弔いに懸る……あ、君は安静にするんだ。未だ、医者の文言が効いているだろうに」
 い、いえ、わ、私も、私も、うぐっ--少女は下半身が言う事を利かないのか、何度命じても腰から下は動かせずに思わず横に転がる所だった!

(結局、彼女には暫く寝るように再び勧めた。一酸化炭素中毒者がいきなり快方に向かうなんてレットみたいに身体能力の高過ぎる奴じゃないと難しいしな。ン、彼女の名前だって? 其れは未だ先だ。其れよりも死んだシシドを弔う方が先だからな。背中が食い千切られてあんだけ出血したのに……此れが重たい。恐らくは死とは持ち運ぶ時に重く圧し掛かるんだろうな……心が!
 そんで一の時しか掛けられなかったが、学校自体を火葬場にして弔うしかなかった。丁度外の火の粉を利用して、な。其れからシシドの火葬を終えた俺と彼女はサンショウ丈とリリザース、其れに相武様が居ると思われる中央地区を目指す。中央地区の--)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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