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一兆年の夜 第百三十二話 終わりの始まり エリオットの記憶は流れ星の中に(終)

 午後六時五十七分二十一秒。
 場所は首都ボルティーニ第一北地区。
 ライデン達計二十八名は燃え盛る首都を見て驚きを隠せない。只燃えているから驚くのではない。
(国が燃える事とは建物の燃える数次第で其れが演出される訳じゃない。だからこそ此の獣其のモノのような焔を見て如何して驚かずにいられるか。其れに俺が命じなければ襲い来る炎型銀河連合は部下を焼き尽くしていただろう!)
 ライデンは銀河連合が其処迄やる事は知っていても燃やす事で自らの同胞を送り込む事迄は想定していない。隕石に依る波状攻撃の本当の理由は只建物を破壊したりするだけではない。島を乗っ取る事や水や氷に姿を変えて全生命体に牙を向ける訳でもない。銀河連合にとって攻撃とはあらゆる方法を用いる事に他成らない--だが、一般生命の常識が銀河連合の様々な戦略と戦術を限定的に思考してしまう故に想定出来ないのである!
「隊長、僕達は如何すれば良いのでうか?」
「お前等は外に逃げて来た者達を出来る限り多く救出しろ……但し、中には銀河連合を運んでしまった者も居るから慎重にな!」
「わかりましたああい。我々は全責任を持って任務を果たして参りまあうす!」
「そして俺は首都にて相武様を命懸けで救出する!」
「無茶です!」
「無茶も何もあるか。俺には仙者の力がある。全部救えと言うのは無茶でも一名救える事は無茶ではない……出来る事を無茶とは呼ばん!」
「そ、そうでっすよ。ライデンさんなら出来ますって」
「だがる、ライデン君。此れは大変難しいぞ。何せ首都と言えども今じゃあ銀河連合の都合の範囲内だる。我々が都合良く相武様だけを救助できるように仕組まれていないると推測する」
「有難う、其の推測は正しい。だからこそ俺はあんた達を巻き込まんと自らの力で相武様だけでも助ける使命を課すのだ!」
「……死ぬのは苦しい筈だがる?」
「死んだ事もない連中は俺も含めてそうだろう。けれども其れは死んだ者からすれば勝手な想像だ……そうゆう話は死んだ後にじっくり話し合えば良いじゃないか!」
「わかったる。では御武運を」
 じゃあ行って来る--そしてライデンは炎の中に飛び込んでゆく。
「行きましったよ、葛西隊長」
「止められないる。雄の道は何時も雌の道と違ってつまらない意地でも張らないといけないという誇りがあるんだる」チョー磨は雄とは雌と此れ程戦いに赴く姿勢が異なる事を説明する。「戦いの無い時代だったら恐らくは子を遺すような荒々しさもつまらない意地も無かろうる。けれどもる、此れは戦いだる……皮と肉だけの結果にも銀河連合の存在が雄の道を切り開いて時代に遺す事の重要性を齎してしまったる。戦いというのは雄が雄の潜在力を最大迄高める為に存在するかも知れないる。雌はそうして戦いの時よりも子を宿す事の意味も待つ事の意味も見出してゆくる。雌には戦いは相応しくないる。其の理由は次世代を遺す為に雌がわざわざ戦場に赴く何て生産的だと思うか……余り良い言葉ではないのはわかるる。けれども私には其れ以外の表現が出来ないる」
「生きて下い、菅原ライデン隊長……僕達は隊長のお陰でこうして生き続けておりす!」
「そうだああい、隊長が居ないと俺達が如何してこんなに生きていられる理由を思い付かないんだああい」
「僕達は死んでいてもおかしぶないし、今だって戦いが恐い……でも隊長が居たら恐さを少しでも緩和出来ぶ!」
「そうでっす。ライデンさん、絶対に生きて戻って下さっい!」
 炎の中に飛び込むライデンの身を案じる二十七名。彼等の大半は後の戦いで死んでゆくだろう。其れが戦いの情け無用な側面だろう。けれども少しでも生き延びれば其の者達は次の世代に種を遺し、反抗の機会を授ける。そうして戦いは多くの命を失うよりも膨大な誕生を齎す--其の矛と盾のような関係性こそ正に全生命と銀河連合の関係と結び付くとは……一体如何した物なのか!

(こうして首都ボルティーニが陥落する話は終わる。正直、どのように陥落するかを物語るよりも首都ボルティーニに辿り着く迄の話のように聞こえたのは謝礼を籠めて罪を認める。俺としてもちゃんと話をすればこんな風に誤った解釈を招く事もなかった。けれどもこうゆう話をしてしまう性格なのは認めてくれ。
 では次の五武将の終焉については少し休憩してから始める。其の話は確かに相武様を救出する話ではある。けれども俺の宣言通り一名を救える事は其れ以外を死なせる事にも繋がる。あくまで大きい目標を持つのも構わないが出来ない事はしないんだ。けれども其れ以外を救わないと問われたらそうではない。竦いたかったさ……でも、出来なかった。其の理由は休憩を挟んでから話し始めるから待ってくれよ!)

 ICイマジナリーセンチュリー三百十三年九月八十日午後七時十分十秒。

 第百三十二話 終わりの始まり エリオットの記憶は流れ星の中に 完

 第百三十三話 終わりの始まり たった一名だけの五武将 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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