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一兆年の夜 第百三十二話 終わりの始まり エリオットの記憶は流れ星の中に(行)

 午前九時二十九分八秒。
 場所は船の甲板。
 猪村イノック栖は此処で息を引き取る。死因は左米神に受けた物部刃の様なモノが時間を置いて抉り込み、脳に到達したのが原因。
「イノック栖さんがアア、ウワアアンン!」
「そんな……あんなに元気だったイノック栖君が呆気なく死ぬなて!」
 此れご戦いど……軽傷た思われと傷ぢま時間わ置いち効果わ発揮するころの--とコウモ助は年齢を問わずに戦場の恐さを端的に述べた。
「悲しみに浸っている時間はない」ライデンは指揮官として現実は情が非ずである事を告げて行く。「銀河連合は知っての通りこうゆう所で攻勢を掛けて来るさ!」
「本当じゃないのカカ、さっきよりも数が倍イイ!」
「僕達はイノック栖君の分まで頑る!」
「頑張るじゃなえ」コウモ助は蝙蝠族独特の音波を出してから計二十七体の銀河連合の巣に飛翔してゆく。「仕上げち行きいい!」
 四名だけで二十七体と戦う事に。其の途中でライデンの持つ雄略包丁はたった一体斬撃するだけで刃毀れを起こす。其れでもライデンは切れ味の良くない其れを駆使して何と二十体も倒すという天下無双ぶりを発揮--勿論、刃はもう頸動脈を裂けないと倒せない程に欠けた後だった。
(愛刃は別に良い。又、研ぐか新しい物を何とかすれば良い。問題は此の戦いで--)
 ライデンにとって相棒よりも寧ろ瀕死の部下の方が優先事項--イノ匠は計十一度も噛み付き、斬撃、突撃を受けて既に致死量の段階迄血を流していた!
「コウモ助さんよお、イノ匠は助かるの--」
 良くないね決まっている……今ころ医者な所ね行く迄どれだけ掛かるんどや--既に翼遅れな段階である事をコウモ助は告げた。
「アッグ……ああ、イ、ノッ、ク栖さ、んが、ガ、ガ」そして後押しするようにイノ匠は死んだ者の幻を見ていた。「ああ、行く、ヨ、ヨ。今、直ぐ、ニニ」
「其れは幻よ、イノ匠君。ね、イノ匠ううん!」
「……イノ匠はイノック栖の横に寝かしてやろう」
 イノ匠は死んだ……幾らライデンが誰よりも働いても助からない命は助からない。其れが戦い……其れが戦の争い--個者戦ならば自ら犠牲に成れば済む……しかし、戦の争いは集団で戦う為にどれだけ個者が力強くても必ず誰か一名は死ぬ!
(俺を含めて後三名。だが、あいつらは休みを与えない。此れ以上は此処で戦っても意味がない。悔しいだろうが、俺は指揮官として適切な判断を取るしかない!)
「何でよ、イノック栖君弥猪三君の仇が取れないじゃなか!」
「出来る物ではない。俺は既に包丁が此処迄欠けている。ハイラ道は傷こそ大した物がないけど、既に望遠刀の弦が伸び切ってまともに射撃も出来ないじゃないか。コウモ助に至っては予備の物部刃が空っぽだと明白。こんな状態で戦え、と? 二名はその為に死んでいったのではない……二名の為にも此処は退くんだ!」
 ライデンな言う通り……此れほ逃げるんじゃのえ、再攻勢する為な布石ど--コウモ助はライデンの意図を読んでそう説明した。
「わかりまた。僕は貴方の命じるが侭に退きす……では、二名共又後で!」
 弔いたい二名、だが……更に増えた銀河連合の数は二名を奴等の食糧にする事を許すしかない--全員悔しそうに歯を食いしばりながら退散してゆく!

(銀河連合の数は恐ろしい物さ。幾ら武器保管庫から補給しても奴等はいけ好かないが如く数を増やして襲い掛かる。其れでも俺は甲板を捨ててでも内部で何とかするしかないと決めた。というよりも午後三の時迄はずっとそんな所で奴等に挑み、切り抜けて来た。何とかハイラ道やコウモ助の命を助けながら他の部隊の新米軍者達十五名を集めて防戦を敷いて行く。其の際に死んでいった生命は居なかった。実際、怪我の状態が良くない場合には必ず後方に下がって検査するように命じた。一応、液状型に依る乗っ取りも想定しないといけないからな。
 そんな風にして雛共は立派に成長してゆく。困難にぶつかりながらも俺の知らない所で成長してゆく。其れは俺にとってもコウモ助にとっても喜ばしい場面である。だが--)

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Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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