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一兆年の夜 第二十話 二つの星 接触篇(零)

 ICイマジナリーセンチュリー六十三年四月九十二日午後十一時一分一秒。

 場所はマンドロス山標高成人体型六百六十六付近。プラトー村からおよそ成人
体型六千三百の距離がある場所。
 齢十三にして二の月と十八日目になる人族の少年はプラトー村に向けて逃げ
降りる!
「はあ、はあ、はあ、はあ」
 身長は成人体型一になったばかり。鶏量は八に満たない。
「逃げないと! ここから逃げないと!」
 髪は灰色。顎まで伸ばしており、前髪はやや眉毛に届かない。
門忍かどに姉さんも狭間はざま姉さんももういない! 死んでしまったんだよ!」
 両眼の瞳は青黒い。眼の大きさは人差し指より小さい。
「僕には無理だったんだ! 棟一むねいち兄さんの代わりなんて!」
 鼻は兎族のように可愛らしく、そして小さい。
「父さんも母さんも七生ななお様ももういない!」
 耳は伸ばすと顎の部分まで伸びるくらい大きい。
「うわ! いでで」
 唇は上下とも小指より僅かに細いが、口は拳が入るくらい大きく開けられる。
「ち、血だ! わあ、顔を擦っただけで血が出た!」
 顔立ちは端正で普通とはかけ離れた雰囲気を醸し出すが--
「も、もう死ぬ! この血で死ぬ!」
 心は血が出ただけで騒ぐくらい弱い!
「何を騒いでるのよ、参花さんか
 あんたも神武の雄ならたかが血が出たくらいで泣き騒がないの!」
 齢十九にして二の月と二十二日目になる人族の少女は参花と呼ばれる少年の
背後に立ち、彼を叱責した!
「そうは言っても痛いもんは痛いんだよ!」
「だからって我慢くらい出来るでしょ! でなきゃ母上がお腹を痛めてあなたを産んだ
意味がないでしょ!」
 脇まで届く黒髪をなびかせながら彼女は参花を叱りつけた!
「でも母さんはもう--」
「弱気にならないの! 雄でしょ! 雄ならしっかりしなさい!」
 両眼は小指よりも小さいが、瞳には光で満ち溢れる。鼻は馬族に近い形をして
小指よりやや長い。両耳は人差し指の長さ。唇は上下とも大きさが異なり、下唇の
方が大きく、親指よりやや細い。顔立ちは黄金の比率で占められている為、誰が
見ても美しい。
 そんな彼女は右腰にぶら下げた二式雄略包丁を抜くと、参花の額ギリギリのところ
で止めた!
「ヒイ!」
「『ヒイ!』じゃないでしょ腰砕け! 雄ならこのくらいで怖がるんじゃないの!」
「腰砕けじゃなく、参花だよ弐高にたか姉さん!」
「それくらいわかるわよ!」
「だけどやっぱり僕には無理だよ! 天同の家を背負うなんてとて--」
「何か言った?」
「だ、だから天同の……」
 突然破裂したような音が響く--参花の右頬は赤く腫れていた!
「痛いよ、弐高姉さん!」
「クダクダ言わない! あなたはいつになったらしっかりするのよ!
 でないといつまで経ってもあなたは--」
「え?」
 それも突然であった--弐高の首から上が銀河連合獅子型の口に入ったのは!
「姉さん? 姉さんの方こそ腰を砕けるのはやめてくれない?」
 天同弐高はもう動かない。故に獅子型は首から下まで食べに入る!
「う、う、うわあああああ!」
 弐高の死を目の当たりにした参花は彼女の死体に背を向けて山を駆け下りて
ゆく!
 何度転ぼうとも、何度擦り剥こうとも参花は逃げる!
(痛いよ痛いよ痛いよ!
 でも弐高姉さんが目の前であんな事になる方がもっと痛い!
 む、無理だよ! 僕には天同家の雄なんて務まらないよ!
 もうこのまま逃げ続けて静かに生きたいよ!
 銀河連合と一生関わらないまま生きたいよ!
 僕には希望なんて務まらないんだ!)
 参花が山を下りた瞬間、雨が静かにやがて激しく降り注ぐ!
 まるで今の彼を叱責するかのよう降り注ぐ!
 それでも彼は現実逃避をした!
(死んでも弐高姉さんは説教するんだね!
 でも無理なものは無理なんだよ! 僕には天同の家紋は重すぎるんだ!)
 参花はプラトー村の方へ走る--息が絶え絶えになりながらも!
 やがて雨は止み、お日様が一帯を照らす。
 同時に時の流れは翌の年に移ってゆく……。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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