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一兆年の夜 第百三十二話 終わりの始まり エリオットの記憶は流れ星の中に(旅)

 九月七十九日午前六時二十一分。
 場所は海洋藤原。
 成人体型縦六十、横二十、高さ十の電動蒸気船。其の動力は蒸気機関ではなく、原子望遠弾に使用される天王子或は冥王子。其れ等を核分裂させる事で爆発的な動力を獲得するに至る。残念なのは此れを使用する電動蒸気船が少なく、現時点では十隻を下回る勢い。そんな船に乗るライデンとコウモ助は喜びに満ちる。
(此れなら間に合う。明くる日まで掛かりそうだけど、何事も無ければ朝方には到着するんじゃないか?)
 だが、幾ら核分裂に依る莫大な動力を得てもやはり定期的に港へ停泊する必要がある。だからこそライデンは其れを踏まえて早計さん……勿論、そんな都合良く進むとは限らない。
「ライデンな坊主、わかっているた思うきだ」
「わかってるよ、そん位は。如何せ銀河連合が来るに決まっているのはわかり切る」
「おお、逆さまね確認するた……本当ね来た。じょお俺ほ寝るじ!」
 待て、こんな緊急時に寝るんじゃねえ--蝙蝠族の夜行性に叫ぶしかない。
 コウモ助が夜目で遠視したのは……何と全長成人体型四十の鯨型。ライデンにしてみればルドールやキッシェルと逸れるきっかけと成ったあの鯨型を想像する。だが、同時に次のような事も想像する。
(確か此の船は軍事船だったよな。ならば巨大な水棲銀河連合を相手に何処迄戦えるかも確認しないといけない。観測班に依ると幸いなく此処に強力な生命が泳いでいない。鯨族だって泳いでいない。当然だろう、船旅の時にうろつく何て交通事故の始まりだからな。其れを回避する為に船は報せを届ける。幾つもの会話術を使ってでも報せるからな。
 とそうじゃなくて俺は万が一にも雄略包丁を持参して構える。果たして軍事船の実力は如何か?)
 ライデンは直ぐ様、中へと入ってゆく。そして五武将だからこそ入室が認められるある場所に入る。

 午前六時三十分十八秒。
 其処は砲撃室。砲撃者三名に整備者一名、そして総指揮者一名の体制。
「此の様に……始まったるな」齢三十一にして一日目に成る仁徳蝶族の中年にして砲撃総指揮者を務める葛西チョー磨はライデンに説明していると直ぐに切り替えて指揮を担当する。「良いかいなる。鯨型に絶対近付けるんじゃないぞる!」
「わかっていぶ」
「僕達は此の日の為に訓練しちゅ来たよ」
「恐い……でも恐くて当たり前」
 其々豚族、鼠族、蜘蛛族ではあるが砲撃に関しては三名共特性も相まって間隔良く撃ち込んでゆく。特に繊細な動きをする蜘蛛族は力こそは他の二名に比べて低い。けれども其れを補って余りある正確に狙いを定める技術は他の二名を凌駕する素質を持つ。
「三名は良くやっるさ。でも僕の動きは三名とチョー磨さんの足下にも及っばない!」齢十九にして十八日目に成る鬼ヶ島兎族の少年にして者員足りずから砲撃室に於ける主任整備士に任命されたウサール・ドウワンは自らの能力の足りなさを嘆く。「もっと早く捌けたっら、捌っけたら!」
「己を強気にしろる。今は真古天神武のあらゆる場所で洪水が起こり、水没した市町村だってある状態だる。寧ろ二名いや三名必要な砲撃室で二発分を補充出来る働きぶりに感謝するる!」
 ハハ、お褒めを感謝しまっす--ウサールはチョー磨に感謝する。
「俺も手伝おうか、ウサール?」
「え、良いのでっすか?」
「見ているだけでは意味がない。俺も整備を手伝ってやるさ」
「気持ちだけでも受け取っておく……が、如何やらそう成りましたるね」
 本当だ……血の渦潮を噴き出して鯨型が沈んでゆく--ライデンの出番は未だ此処ではない。

(此処を含めて最初の二戦は俺の出番はない。俺は見てるだけで何もしない。いや、出来ない。何しろ、俺が出来るのは俺の大きさでも何とかしないといけない銀河連合だけで巨大だと物に頼るしかない。然も物はたったの一名だけでは何とか出来ない。二名以上が協力して動かしてゆくからこそ其れは縦横無尽に動く。だよな、俺はそうゆう大切な事を忘れていた。俺がこうして強く成れるのも首都ボルティーニに向かえるのも全ては誰かの助けがあったからさ。サイ団の死も他の五武将や相武様を思う事も全ては恩返しの為さ。
 そうだ、俺の出番があるとすれば三戦目……如何しようも出来なくなった時に俺は--)

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Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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