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一兆年の夜 第百三十一話 終わりの始まり 急激な氷解は惑星の水位を押し上げる(主)

 九月六十五日午前六時一分七秒。
 場所は不明。
(此処は……海に流されて、其れから俺だけが? 俺だけ? ルドールやキッシェルの爺さんは如何した?)
 ライデンは心だけでなく、声に出して二名を呼ぶ。返事がしない。そして二名の姿も確認されず。当然、彼等を表すような物も浮んでこない。其処でライデンは一旦、海水を目に浴びる覚悟で潜る。其れも空腹を訴え始める一の時と四の分の後迄潜る--勿論息継ぎの回数は十の分に一回或は三十の分に一回の間隔で。
(クソウ、腹が減っては意味がない。其れに……居ねえじゃねえか、俺の探し方が良くないのか!
 如何してこんなにも悲しいんだよ、あいつらの事が。どっちも話するだけで苛立ちを募らせるような頭脳労働専門且つ才能型の禄でもない性格だ。常に上から目線で尚且つ鬱陶しい……なのに居なく成るとこんなに悲しいなんて!)
 其れは遠過ぎる過去だけの話ではない。好きではないが何故か付き合いの長い者達が突然居なく成ると如何しても物悲しさを齎す。銀河連合みたいに感謝の気持ちで一杯な性格ならば幾分か救えた気持ちに成るだろう。だが、全生命は情に厚い故に居なく成ると急に悲しさと寂しさが襲い来る。ライデンにとっては此れが如何してなのかを納得出来る説明が出来ない……いや、納得出来ない事が歯痒い気持ちとして襲い来る物だ。
(……二名の無事だろうが死んでいようとも関係ない。今は俺の無事を何とかするのが正解だろうが。他の五武将が心配だろうし、レットだって俺が行方知らずで在る事を我慢出来ない筈だしな。そうしないとあの二名も何処かで見ていようとも俺が死んでしまえば納得する筈がないと思っている筈だ……絶対に何処かに陸があるから其処へ辿り着くべく泳ぐぞ!)
 ライデンはこうゆう時に短期間ながらに革仙者の力を使って自らの手足へと落とし込み具合を確認しながら泳いでゆく。
(如何な、幾らこうゆう能力を持っても……使う方が逆に疲労度が増すじゃないか。所詮、こうゆう奴は万能じゃねえ。万能じゃないからこそ過信を避けつつも自らの基本を極めて行くしかないんだな。
 にしても、休める所……あった!)
 ライデンは革仙者を使った反動で僅か成人体型三百泳いだだけで息切れを起こし、今にも沈みそうな状態。長い事海に浸かる事で発する皮膚荒れも油を断ってられない。そんな中で見つけた謎の筏。誰も居らず、そして彼は其れに乗っかると仰向けに倒れる。少しでも息切れ気味な状態を緩和する為に。
(皮膚が如何も脆い。ずっと海の生活ばっかりで状態が良くないな。おまけに……腹が減った。若芽あるだろうけど、一々取るのも難しい。何で懐中種族が一名も居ないんだよ、此処に……居ない!)
 懐中種族の存在がない事を疑問に思ったライデン。だが、其の前に息切れ気味な状態を何とかするのが先決だった。
(考えるのは陸に上がってからにしようか。にしても熱いなあ、ひょっとすると南雄略か武内大陸辺りに漂着するかも知れない。ま、水位の上昇で生じた影響については陸に上がってから改めて考えるとしよう)
 ライデンは何も喰わずの状態であったが自らの衣服に海水を溜め込んで海に浮かぶある代物を使った状態で独自に飲み水を獲得しながら少しずつではあるが喉を潤してゆく。気休め程度であるとはいえ、ルドールとキッシェルから教わった豆のような知識がこうゆう場面で役に立つ事を感謝して……三の日が過ぎて行く。

 九月六十八日午前四時十二分三十四秒。
 場所は不明。
(既にもう限界が訪れようとしている。此の筏でどれだけ漕いでゆこうとも陸は見えない。やっぱアリスティッポスの氷が解けた影響が強過ぎるのか? こんなに迷ってばかりで俺はちゃんと目的地に辿り着けるのか? ひょっとすると俺は--)
 おおおい--其の時、ライデンの耳にそんな音が聞こえる。
(今、誰かが呼んでいたような? 起き上がりたくないな。だが、上ばかり見るのも余り宜しくない場合もある。例えばこんな感じで誰かが呼ぶ幻の聴こえを感じ取るような事に成るからな。誰だろう、俺を呼ぶ声は?)
 ライデンは起き上がり、朦朧とする視界で何とか周囲を見渡す。だが、見の眼は筏しか明白に見えない程に遠目では確認も出来ない状態に成っていた。其れでも見の眼の代わりに観の眼にて周囲を見渡し、僅かに動く何かを捉える!
 オオオイ、オオオイ--そしてライデンは徐々に聞こえて来る山椒魚訛りを聞き取り、其れがサンショウ丈の声であると確信する!
「此処だああ、此処ダアア……サンショウ丈さあああん!」
 生きていたかああい、菅原ライデエエンやい--そして藤原サイ団の声もライデンは聞き取った!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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