FC2ブログ

一兆年の夜 第百三十一話 終わりの始まり 急激な氷解は惑星の水位を押し上げる(微)

 九月六十三日午前三時七分四秒。
 場所は未明。其処は周り全て海だらけ。ライデンとルドール、其れにキッシェルは筏に乗って遭難していた!
「こんな物で本当に陸に着くだろうなあ、ルドール!」既に呼び捨てのライデン。「まさか船が津波一回で船底に穴が開いただけでは済まずに脱出用の樹脂船がまさかの穴……仕方なく最寄りの材木が沢山こびり付いた氷にしがみ付いて急場凌ぎで此奴を作ったのは良いけど……よお!」
「こっちも必死なんだよし!」キッシェルは幾ら蠍族の鋏があっても弾き飛ばされるかわからない状態であった。「ウオオオ、何時爆弾が弾けるかわからん程の緊張感だっせ!」
「楽しんでいる場合じゃないよ、爺さん。此れは……うおおおあああ、揺らされるぞ揺らされるぞ!」ルドールは予め空けて於いた木と木の隙間に左手を挟ませながら何とか持ち堪える。「此の隙間であっても何れは侵食の影響下は避けられないな!」
「後は俺達が此処三の週も睡眠が足りないんだよ」
「わしは二の週は睡眠摂れない日が……うおおアア、兎に角必死に眠け覚ましの術を考え付けせさ!」
 出来たら……ウオあ、苦労してねえなあ--肉体労働が主体のライデンでさえも其の術を自力で思い付けない!
 其れからライデンは眠気と激しい暴風雨、そして揺れる波に苦しめられながらもある物を見付ける。其れは……銀河連合--全長成人体型二十五を優に超える鯨型!
「ぎ、ぎ、銀河連合……こんな時に如何してわし等はこうも力無きかせ!」
「いや、此処は銀河連合に運んで貰おうか。なあ、ライデン君!」
「ああ、そうだ。少し無茶苦茶ではある……が、此処でみんな一緒に深海で眠るよりかは銀河連合の体内で何とか嵐を乗り切ってやれば可能性があるぞ!」
 其れはかつて銀河連合に呑まれた生命が生還を果たしたという逸話を信じて出る賭け。だが、三名にとって荒波に流されて死ぬ確率の方が遥かに高い。ならば鯨型の防護壁を利用して生き延びるという遥か昔の一般生命が羨む共存の方法を以って生を掴む以外になかった--そして、三名の乗る筏は予定通りに鯨型の巨大な口に一口!

 未明。
 三名は鯨型の喉を通ってゆく。予想は出来たが、喉元でも銀河連合は押し寄せる。其れを何とか躱しつつも流れて行く三名の筏。
「何という事じゃせ。此処の方が嵐よりも安全だとはせ!」
「とはいえ、完全に安全とは言えないのが俺達に向かって来る菌型の連中と何でも溶かす胃酸だな。胃に入ったら間違いなく……ウワアアア、もう一つあった!」
 此れは……肺--三名の乗る筏を呑み込む大きさである以上は息継ぎの際の空気量は尋常ではない物と成る。
「外の嵐とは違った体内の嵐が其処にある訳だな……一階でも吹っ飛ばされたら追撃する菌型無数にとって絶好の食料として飛来する訳、か!」
「俺達は餌に成るつもりは生まれた時から一度だって無い!」生命は銀河連合の餌に成る為に生まれたのではない……「なのに奴等はずっと俺達を食べる為にあらゆる事をして来たからな」其れは遺伝子に刻まれた確固たる思いである。「時には奴等は信じられない行動を起こして此方の神経を逆さに撫でて来やがるとな!」
「怒りで我を忘れたら喰われるぞせ、若造ぞち」
「まあそう成るわな。兎に角、自分達は何とか抜け切って第二の難関である胃に到達しないといけない」
「溶けたら溶けたで飛び移る為の何かが浮かんであるんじゃないか?」
「飛び移る……ライデン君、勘を違えていないか?」
 ルドールが説明しようとした時、其れは真っ直ぐ二名に思い知らせる--胃酸は熱無くして発するとは限らない!
(何て熱気だ……ルドールが言いたかったのは此の事か。一気に灼熱の世界へと降り立ったぞ!)
「わ、わしは最近迄凍結の世界に暮らしていたから……堪えるぞす、此の暑さぜ!」
 此処からが……本番だ、自分達の--果たして無事に三名は銀河連合の嵐を乗り越えられるか?

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR