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格付けの旅 デュアン、格付けの旅は此処から始まる 破壊された月にて

 月……其れは兎が餅を衝いたり、フェミニズムに満ちた神アルテミスが支配したり或は冷戦の時代にワシントンの国とレーニンの国が宇宙競争の度に話題と成ったり色々忙しい身。一方でアマテラスの国では太陽と月と海の神の中で最も影が薄い月の神。駄目姉属性の太陽と問題児の海は何時も神話の主要存在として振舞う中でたった一柱の月は一切登場しない程に影が薄いにも程がある。
 と改めて俺がしっかり破壊してやった月を見て俺は思う。こんなにも破壊したと成れば少しは残骸がディー圏外に飛んで行ってもおかしくない。だが、如何ゆう訳かエーテルが支配する俺達が住む此の宇宙は其れでも重力の存在を以って残骸さえも圏内に留めようとする。常に宇宙塵は人の反応速度では捉え切れない速さで周回するのに如何ゆう訳か未だに残骸を含めてディーは支配従っているように思える。やはりアイスマンを仕留めるだけじゃあ駄目かな?
 そう思っていると月に先客が居た。そいつは何と盲目の預言者である事!
「あら、未だディーの引力に縛られている訳?」
「此処は無重力だぞ。如何して俺に声が届くんだよ!」
「そうゆう貴方も私にとやかく言える筋かしら?」
 俺はデュアンロールで音を拾っているんだよ--一応、当時の俺はデュアンロール無しでは無重力内を動き回るのも臆する質さ。
「其れよりもデュアン。貴方は知りたいと思わない?」
「俺か? 俺の人種はデイズ人だろ?」
「其処」
 其処……如何ゆう事だ--ノイズンが其れに着目する理由が如何も怪しい!
「警戒は正しい行動だけど、時として本能が後ろに下がらせるわよ」
「良いから早く言え!」
「一つずつ片付けるわ。『第三次魔導戦争』は御存知よね?」
「ああ、説明してやろうか?」
「質問しているのは私の方よ。貴方は答える側に成りなさい」
「へい、よっと」俺は次のように答えた。「あの戦争で惑星ディーは魔導学園を中心とした魔法絶対主義の星と化してしまった……そうだろ?」
「ええ、あの戦争で価値を得たガガーブ・アイスマンは魔導学園に依る独裁政治を形成して其れに反発したグルービィ・マクスウェルは反旗を翻した訳よ。そして貴方というイレギュラーに依ってアイスマンの野望は絶たれ、魔導学園の完全独裁の野望は挫かれたわ」
「実際はあの星に存在する賢者『ディー』が裏で糸を引いていた……と言いたいのか?」
「未だ核心に至っていない事実はあまり口にするべきじゃないわよ、デュアン・マイッダー」
「はいはい。そんで話は終わりか?」
「いいえ、話は未だ終わっていないわ。寧ろ如何してあの戦争を契機にデイズ人が迫害されるように成ったのかを貴方は未だ知らない」
「いや、知ってるさ……天才科学者にして千年に一人の逸材であるデイズ人『マーラ・ストームブリード』の仕業という事をな」
 相変わらず情報を入手するのが早いわね--褒めたって何も出ないのに……全く!
 俺が『マーラ』の存在を知ったのは学園内での資料を読み漁っている時だ。彼女は天才科学者にしてあらゆる分野では悪魔のような才能を発揮。彼女も俺の心を救ったあの男と同類ではないかって一時期思っていた。だが、さらに調べてゆく内に其れは幻想だとわかって来た。彼女は生まれた時から悪魔に魂を売った少女だってな。其れから年を摂り、やがては魔導砲の開発を着手。其の理由は戦争に勝つ為だとか今後の世界の秩序作りだとかそんな物ではない。単純に世界を戦乱の渦に巻き込まんが為に其れを開発した。そう、彼女は世界を他化自在天にする事を夢見ていた……つまり何か、『第六天魔王』だよ。彼女は究極の天を惑星ディーに具現化しようとしていた。だが、其の試みは失敗に終わる。『第三次魔導戦争』の終盤に起きた『ラグナロク』に依ってな。
「何か考え事?」
「ああ、ところで尋ねたい事がある」
「何かしら? 予言の関係する事なら幾らでも答えられるわよ」
「じゃあ『ラグナロク』は答えらえるか?」
 やはり其れについて興味津々の模様ね……残念だけど『ラグナロク』は今回の予言と無関係よ--ノイズンめ、こうゆう時に口を噤みやがって!
 結局、『ラグナロク』に関係する話を聞き出す事が出来なかった俺。代わりにノイズンは今夏の預言を俺に報せた--『波旬』は近々、貴方の所に来るわ--と。だったら猶更に『ラグナロク』を俺に伝えるべきじゃないのか?
 そんな訳で俺はノイズンが去った後も破壊された月を調査する。其処にかつての先輩の遺体があるのではないかって期待もする。だが、無重力の世界はどの世界だろうが共通する事だろうけど、真空でおまけに空気が逃げて行く。其の際に極冠とほぼ変わらないのに沸騰したような状態に成り、最終的には空気袋の状態で息絶えるそうだ。そして死体は永遠に星の衛星の一部と化して周回するそうだ--然も宇宙塵並の速度でな。
 少し話を変えるけど、宇宙空間内では幾ら速度を上げても肉体に圧し掛かる『G』は感知されないそうだ。お陰で俺は益々宇宙を気に入って星の中に入る事を躊躇いそうな位だ。
 G……其れは重力度指数を表す単位。大体1Gが一般的なディー型惑星の重力指数だそうだ。但し、惑星ディーだからって全てが1Gという訳ではない。赤道の北か南かに依って1.1Gだったり0.9Gだったりと安定しない場合もある。要するに1Gとは平均Gの事を指す。少し変わるけど、俺の体重は60だ。此れは1Gを基に算出された体重だ。だが、2Gだと俺は其の倍はある120に成る。如何ゆう意味か……此れが他の惑星では測った体重に大きな誤差がある証拠なのだ。其れを参考にして惑星ディー内で高速移動すればする程全身に圧し掛かるGがどれ程の物かをほんの少しだけ検証するととあるマナバードの操縦士は普段から平均7から8G程の重みが掛かるそうだ。そして俺以外だったら9G迄が限界。此れはあくまで鍛え上げた操縦士の限界を表す物だ。だが、6Gから心身に影響を及ぼすそうで7Gから少しでも気を抜くと『ブラックアウト』現象に成るそうだ。まあそうゆう話は別枠で紹介する。其れよりも平均7から8だとすれば操縦士の体重が俺よりも10重いと仮定すれば大体560の重みが掛かるそうだな。そりゃあ意識を失うな……考えてみろよ、『カビゴン』に圧し掛かられる事を。そう考えればマナバードの操縦士達には感謝で一杯だ……水から実験体に成る事で無能共にGの恐ろしさを知らしめるのだからな。
 俺は彼女の死体を二日掛けて探した。だが、其れらしい物は惑星ディーの重力圏内や月の重力圏内には見付からない。如何やら重力圏を振り切って『マーズ』に迄、吹っ飛ばしてしまったか……俺のリフレクトブレイカーで?
「其処で何をしている?」『マーズ』へ向かおうとする俺に声を掛ける影が一つ。「余が折角帰還している時に宇宙空間を平然とする下等生物が居たとはな!」
「誰だ、てめえは? 下等生物……って人間様の事か?」
「如何にも。余は他化自在天の主……『第六天魔王波旬』よ!」
 ノイズンの予言通り、奴と鉢合わせする俺。
「もう少し時間を置いてから鉢合わせると思ったけどな。案外早い出会いかよ、『波旬』さん!」
「何、デイズ人と呼ばれた者達同士は惹かれ合う関係にあると民族史は伝えるがな」
「其れは初めて聞いた……魔導大戦の時に書物が焼かれたか?」
「『マナ書物』に保管された記録だがな」
 マナ書物……其れは石板媒体或は紙媒体と違ってデータの中でのみ記される物。抑々マナ書物とは何なのかはマナネットワーク世代ならば良く耳にする言葉だ。其れは--
 独り言か……寂しい者だ、お主は--背後を取られた……説明してる場合か!
 何とかデュアンロールで月から『ハーレ』の表側に転送を入力する事で強力な一撃を避けられた俺--だが、デュアンロールから出る事が如何に自殺行為かを味わう!
 其れは……空気だ。こうして冷静に状況を説明するのは滑稽だが、説明しよう。俺は生まれて初めて宇宙の恐ろしさを味わう。苦しい、呼吸するのも大変な奴だ。宇宙飛行士共が着ている服を拝借するべきだったか? そうすれば酸素生成魔法何かでオキシジェンを確保しつつも真空の世界を如何にか出来たんだけどな。
 と説明していると野郎が追って来たぞ。何で此処に居るとわかるんだよ。デュアンロールから手掛かりを掴んだというのか!
「情けない姿を晒しておるな、同胞」
「ぐが、があっが」本当は音さえも出ないから俺にしか聞こえない声で苦しみを表現する。「あう、あぅ、こぉおがゅ」
「そうか、宇宙空間の適応は未だだったか。其の程度で宇宙を適応出来ると勘違いする愚か者め……良かったな」
 背を向けた? 如何ゆうつもりだ、『波旬』!
「余が直接手を下す迄もない……宇宙が汝を絞め殺してくれるわ!」
 『波旬』は去った。残った俺は呼吸も儘成らず、然も俺の体が膨張する。あらゆる物が沸騰していやがるぞ、此奴!
 デュアンロールも呼び出せない。俺は何とかして此の状況を打破しようとあらゆる方法を模索。無重力に抗う方法を模索。そしてある方法を思い付く--心臓の鼓動を使った『鼓動詠唱』!
 鼓動詠唱……其れは『肺呼吸詠唱』及び『しゃっくり詠唱』を経て身に付ける心臓の鼓動音だけで呼び出したい魔法を唱える詠唱法。人間業ではない為に俺みたいな奴に相応しい詠唱術とも取れる。
 肺呼吸詠唱……其れは肺呼吸に依って行われる詠唱法。普段は口、喉、肺、或は腹部を使った連動詠唱が魔法詠唱の基本中の基本。ところが其れを経ずに肺呼吸のみで行う詠唱法も存在する。此れを用いれば喉をやられても肺呼吸一つで魔法詠唱を可能とする。此れが可能に成ると横隔膜を広げるしゃっくりと呼ばれる症状を用いた『しゃっくり詠唱』も実現する。
 しゃっくり詠唱……其れはしゃっくりを利用した独自の詠唱法。俺はしゃっくりの現象を上手く詠唱法に用いる事で陰陽結全ての属性の魔法を極める事に成功したと此処で述懐する。
 こうして俺は心臓詠唱でデュアンロールを呼び出し、中で安静にする事に成功する。とはいえ、俺が宇宙に適応出来ないとは情けない。類稀な魔術回路とは一体何だ。宇宙一つすらも抗えなくして如何して神殺しが出来るというか。そう俺は自らの弱さを恥じる。如何して俺はこんなに弱い。如何して俺は宇宙を克服出来ない。俺はそんな苦悩を何と一光年もの間、考え続ける--デュアンロールの中で!
 正確には一年十三日間も半永久的に魔力を供給するデュアンロールの中で宇宙を克服する術を探し求める。そうして見付けたのが俺固有の魔法である『アートオブマギ』!
 アートオブマギ……今の所、全容を語るには少し余白が足りない。そして未だ俺も掴み切れない魔法の極致。けれども俺はリフレクトブレイカーを突き詰めた結果、此奴に辿り着いた。無重力には逆に考えて対処すれば良い。来るなら返せば良い。そう思って俺は此奴を得た。
 とはいえ、未だ付け焼刃の固有魔法故に此奴を得た所で第六天魔王波旬と戦っても勝ち目がない。幸い、一年以上も奴が来なかったのが良かったのか良くなかったのか。兎に角、太陽系を出て半年が過ぎる今日此の頃。俺は光よりも速く動くには未だ未だ遅い。もっと光速に近付かないといけないな。だが、そう成ると俺だけが歳を摂らなく成って移動した時間だけは正確に成ってしまうなあ。確かある小説では亜光速の船に密航して自分だけ歳を摂らずに往復で八十年の時を経て帰還を果たしたってな。やはり何処迄行ったって人類は距離に抗えないという訳か? 距離に抗う為には『ワープ』を得るしかないのか?
 いや、『アートオブマギ』を得た俺にはわかった。光に抗えない人類が唯一距離に抗う方法を。『時空線』を俺は見付けた。其れに乗っかれば仮に亜光速でも予約設定の如く乗っかって辿り着けば実質上の『ワープ』は可能。
 という訳で考察する俺はディー以外の惑星に到着。さて、何が待っているかな?


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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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