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一兆年の夜 第百三十話 終わりの始まり キシェール最後の雄(想)

 午後八時四十一分一秒。
 キシェールとルドールに依る議論は始まる。
「はっきり言ってICイマジナリーセンチュリーが一兆年まで続くという明確な根拠は一つもない……そう言っておこう!」
「其れを決めるのはストルム・ササーキーと初代キシェールと呼べるキッシャ・キシェールのみだっぢん。一兆年は続くという根拠ならあるっぞ!」
「其れは聞きたいな。太陽暦を四倍と閏日を足した暦は八百年迄で其れからは太陰暦の設定にした上で然も通常の暦の日数を何と無理矢理元通りに調整して……此れが如何も『肝過ぎるんだ』」尚、鉤括弧の部分は現代の世界で良い意味に成らない言葉として使われるのではなく、重要機関としての意味として遠過ぎる過去に於いては使用される。「果たして八百年の時点で如何やって通常の暦の日数を無理矢理ICイマジナリーセンチュリーの日数と合わせるのは如何やってるのだ?」
「其れについては時点のずれを調整する為に我が一族では用いられているっぜ!」
 其れが如何して八百年の時点なのかってのが肝過ぎるんだよ--余りに重大故にルドールとしては其の時期に誤差修正を仕掛ける理由に納得がいかない様子。
(何か良くわからんけど、ICイマジナリーセンチュリー八百一年からいきなり違う計算方法に成る事がルドールさんにとっては納得がいかないみたいだな。俺には納得のいかない気持ちとやらを如何も理解する気が起こらん。
 そして--)
 此処で話しの脱線は始まる。其れは何の脈絡もない事である。
「大体なあ、ICイマジナリーセンチュリーとかいう確かとも思えない曖昧な尺度を如何して守り抜く必要があるというんだよ。あんたが死んだら後継者は誰も居ずに此の暦は自然消滅するだろうが。如何してこんな物の為なんかに一族を懸けて守り抜くんだ!」
「何だとせん。じゃあ天同家を守り抜く意味は何なんだッと。そう言ったざる。其れはルドールの若造よっし、秘境神武が既に水の惑星から姿を消した事への言及に成るっど。其れは看過出来ない言い分だし!」
「天同家は消えてしまったらそうも如何。命脈が断ってしまったら其処で自分達全生命体は銀河連合に喰われる運命にある。ならばこそ天同家の命脈は続いて貰わないと困るのだ……だが、ICイマジナリーセンチュリーは別だ。あれは受け継ぐ者達が居なくなったとしても何ら問題はない。大体、余りに複雑に組み込んだ暦何て今の宇宙と惑星の周回軌道そして自転の段階でも余りにも突拍子が過ぎるじゃないか!」
「其れでも此の終わりが近付く世界に少しでも後世に受け継ぐべき遺産はあるだろっざ!」
「だったらICイマジナリーセンチュリーは除外されるだろう。美味しい料理とか名物の踊り、其れに名作版画に名作石板集なんかを後世に残す中で何故ICイマジナリーセンチュリーなんだ!」
「何故なら……其処に全生命体の希望が託されているからだっさ!」
 其れを断言するキッシェル。何故断言出来るのかをライデンもルドールもわからない。だが、志乃は徐々にキッシェルの思想に染まってゆく。其れを一瞬で気付くのは只一名。
(如何せICイマジナリーセンチュリーは最後迄関係性を齎さないかも知れない脇役かも知れないのだぞ。特にICイマジナリーセンチュリーは俺が感じた思いとしては説明が出来ない信仰対象のように何となく進行するような暦としか思えないんだぞ。なのに如何してキシェール家を始めとする生命や春風さんみたいに目を輝き出す生命が出るのか今一理解が出来ない。
 其れを理解出来るのは神様だけ? ああ、教えられ得るなら教えてくれよなあ……俺にも夢宇宙と対話出来る術が持てるなら、さ!)
 ライデンだけではない。此れにはルドールも流石に彼の代弁をするかのように次のように語った。
「あのなあ、偶像崇拝もそうだけど信仰の為だったらそんな物は残す必要性はない。ICイマジナリーセンチュリーに何か惹かれるような物でもあれば説明出来るように俺に言ってみろよ!」
「世の中には説明も出来ない数々の事だってあるっしか。例えば不完全性定理何かはそうだっそ」
「科学は未だ限界に達していない!」
「一般生命が全てを見通すには……我々は矮小なのっぞ!」
 其れじゃあ議論とは何なのか……ICイマジナリーセンチュリーの意義を問うている内に信仰話に移っているじゃないか--漸く脱線に気付くルドールが居た。
ICイマジナリーセンチュリーは歴代のキシェールが革を改めようとしても実現出来ない守り保つに相応しい暦だっど。此れに反論するならばもっとICイマジナリーセンチュリーにとって代わる暦を取り出すべきっそ!」
 クソウ、対案なのか……其れを言われたら俺に勝ち目がないな--対案ないと議論とは一方通行に成るのが筋である。
「そろそろ終わりか? もう十分だし、あんた達はさっさと帰れ……夜は遅いぞ!」
 ライデンは議論し疲れた二名を帰路へと向かわせた……

ICイマジナリーセンチュリーに関しては結局、必要なのか如何かを問われて対案を出すか出さないかを持ち出す事でキッシェルが勝ち逃げしたように思える。しかし、説明出来ない点は大きいぞ。ICイマジナリーセンチュリーは説明出来ない為に後世に迄守り通すには説得力が少な過ぎる。キッシェルは議論に勝ちはしたが、余りにも際どい勝利は勝てなかったルドールに分がある様に思える程だろう。
 だが、ICイマジナリーセンチュリーは結果として志乃の心に引き継ぐ思いを強める事と成る。其れがきっかけで彼女はとんでもない提案をして来る。信仰の為にあの提案をしたとしたら今なら明白に理解出来る。だが、あの議論から一の歳も過ぎた後に成ってだからな。中々あの時は志乃の提案の意味を理解するのも難しかった。余りにも唐突過ぎて俺には理由を尋ねるしかなかったからな--)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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