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一兆年の夜 第百三十話 終わりの始まり キシェール最後の雄(回)

 三月四十日午後八時二十八分四十三秒。
 場所は六虎府工業都市第三西地区菅原ライデン邸。
 ライデンの謹慎はあれで完全に解除された訳ではない。真古天神武はライデンの体内に潜む銀河連合が安全だと判断出来る迄万が一以外は謹慎を解除しない方針。引き続きレット・テンタウの五武将土の将代理を継続。其の事についてライデンは一切の文句は告げない。心の中でも同じ。
(今は復帰出来るように春風と何度も組み手をする。にしても春風は普段は自信無さ気なのに戦いに成るとまるで別の者みたいに雰囲気が百八十度変わるなあ……丁度半円を描くように)
 尚、半円を描くのは性格だけではない。攻撃方法も半円を描くように軌道が予測出来ない志乃の戦闘様式。ライデンは其れに依り、午後七の時から始めた組み手五回中何と四回も志乃に先手を取られていた。
「如何ですか、え、えっと」
「見事だ。其の調子でお願い--」
「やってるなあって」其処へキッシェルが尋ねて来る。「玄関が開いてあったのでやって来って」
「あのなあ、其処の蠍族のおっさん。此れは危ないから巻き込まれても命の責任は取れるか保障出来んぞ!」
「そ、そうですよ。其れに政府の体内検査は--」
 ああ、既に済ませた後だって……銀河連合の方は心配は無用だっぢ--其の言い回しから二名はキッシェルが既に寿命が尽き掛けている事に気付いた。
(如何ゆう事だよ、そりゃあ。何で其の言い回しなんだ……まさか膵臓癌に罹ってもう余命いくばくもないとか言うんじゃないだろうなあ?)
 余命が短いのは膵臓癌……ではない。キッシェルは脳に腫瘍が見付かっていて何時死んでもおかしくない状態だった。其れでも医者の執刀を好まないキッシェルは癌が発見されても摘出せずに其の侭、迎える事を臨んでいた--何故ならキシェール家は彼の代で最後に成らざる負えない宿命があった。
「何だって……精子が出ない?」
「ああって、私は如何も一名子で尚且つ幼い頃に精巣を摘出して以来……医者というのを非常に遠ざける正確に成ってしまっと!」
「そ、そんな事が……で、でも命に係わる事だったから摘出されたのでしょ?」
「一の歳の話だから親から聞いただけで覚えていなっさ。其れにこうして生きて来たのも何だし、ICイマジナリーセンチュリーについての基本的な事を知らせようと思ってで!」
「基本的な事とは?」
「気に成りますね、其れは」
 ICイマジナリーセンチュリーは通常の太陽暦を四回も足した暦とは限らない。閏日も含めて四の年を一年に統一する奇妙な暦でありながらも途中で計算方法が切り替わる様に設定される。其の切り替わりの目安がキシェール家の統一見解として八百年からとされる。だが、如何して其処から切り替わるのかを明確に答えられるキシェール家は此れ迄登場した事がない。皆、教えを忠実に守るだけで其処から更なる発展はしない。キッシェルも同じだった……だが、彼は忠実に守るだけで済まないキシェール家の雄に成った--其れがICイマジナリーセンチュリーを受け継ぐ誰かに託す事を強いられる運命にある。
「其れで俺に聞かせるのか……生憎俺もあんたと--」
「いや、お前さんは如何も引き継がんような気がするって」
「何だよ、じゃあ何しに此処に来たんだよ!」
「其処のお嬢ちゃんに用があるんだ……なあっし!」
 え、私……とても私にはそんな話は荷が重過ぎますよ--志乃は自分の様な生命には相応しくないと左手を左右に揺らして断りの表現をする。
(俺も同じだ。春風さんも如何やら難解な暦の話を引き受けられないそうだな。後は……あいつが居たな。でもあいつの名前を出すのは好かんしなあ。其れにあいつはそうゆうのを引き受けるようないい性格をするのか--)
 よお、空いていたので入らせて貰うぞ--噂をすれば齢二十四にして七の月と十九日目に成る仁徳人族の青年ルドール・バルケミンが勝手に入って来る。
「出たな、如何して噂をしたら出て来るんだよ!」
「挨拶が先だろうが、菅原ライデン。自分はルドール・バルケミンって……オオ、あんたはあのキッシェルじゃないか!」
「出たなっそ、今度は議論に打ち勝ってやるぞっそ!」
 ああ、此処で議論をしようじゃないか--二名が見えないようにルドールとキッシェルは勝手に議論を始めるのだった!

(奴等の議論についても少し紹介する。此れがICイマジナリーセンチュリーに絞った話かと思ったら何と今後の全生命体が辿る道についても二名は暑く議論した……あの頃は良かったな。今と成っては此れが俺達の生活の中で最も幸せだった時代じゃないかな? 此の議論を機に真古天神武は最早国としての希望は何処吹く風へと向かってゆく。
 では早速だが、其の議論について紹介しよう。確か出だしは--)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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