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一兆年の夜 第百三十話 終わりの始まり キシェール最後の雄(会)

 三月二十六日午前二時四十二分十三秒。
 場所は六虎府経済都市第三無者地区。
 其れは生命の数が零に成って事実上、無者状態の地区をそう呼ぶ。然も今の時期は水の惑星中、銀河連合の流れ星に依って年間三十万近くが生命増加の速度よりも上回って既に水の惑星の全生命体は少子高齢化の時代へと突入した。其れは何も銀河連合に依って齎される物ではない。既に行き過ぎた福祉政策は此れ以上の幸せを一般生命に求める事も飽き、かと言って福祉を削れば昨の日に比べて満たされない思いが沸き起こる。そして福祉は削られる所か日々上昇してゆく--軍事費と共に!
 そんな場所に齢三十一にして十の月と十七日目に成るエピクロ犀族の中年藤原サイ団と共に駆け付けるライデンと志乃。
(春風の方は蘇我鋭棒、か。然も斬撃に重きを置いた仕様だな。何よりも取っ手の部分が大変に巻に巻いているから打撃だけでも恐らくは殴り倒す事も可能じゃないか? まあ俺の見立てでしかないがな。其れよりも此処に集合する一般生命達の動きが気に成る。調査班に依ると其の中心地に銀河連合らしき剥き出しを目撃したとの事。現地の軍者を派遣したい所だが、やはり者手不足が原因で俺達三名が派遣される事と成った。出来るならシシドさんを入れて欲しかった……が、相武様の護衛が少ないと便が良くない事もあってあの爺さんは此処に派遣されなかった。
 さて、話は変わるかな?)
「二名共、万全の態勢かい?」サイ団は確認を取った後に中心部に居る猿型に聞こえる声で号令を掛ける。「では……駆け抜けるぞい!」
「ああ、狙いは其処の猿型ああ!」
「え、えっと……ご、御免為さいね!」
 三名は誰の目にもわかる様な距離迄近付く。猿型が自らの身を守る為に傍に居た猪族の熟女の首に両後ろ足で回しながら両前足で叩いて足を止めに入る。
「出たない、如何ゆう狙いなのかは大方見当がつく……がい!」
「ゆ、許してくレレ。あたし達イイ、体中ガガ、体中ガガ」
「僕達はもういけないんだる」
「何故にこんな事に成られようかあ!」
 計十八名は体内の水分に気持ちの良く無さを感じ、更には近付いて来た銀河連合に依って益々動かされる状態に陥る。即ち、反した行動を採れば死は免れない。一般生命が死を覚悟出来ない事を逆手に取った銀河連合の何とも腹立たしいやり方と捉えよう。三名はそんな銀河連合が楽して一般生命を食べる為なら何をしても構わない精神に怒りが湧いても何も出来ない己をもっと腹立たしくも感じる。一般生命に命を捨てるように促す事は勝手が過ぎる……ならば救出に最善を尽くすのが軍者の務めであろう。戦士は何とも得をしない役割を担うか……だが!
「悲しむのは未だ早いぞ。銀河連合に自ら如何しようもない状態なのは何もお前達だけじゃない。俺だって同じだ」ライデンは何と蠍族の青年の尻尾が急所に届く距離迄近付いた。「ほら、如何せ自ら如何しようもないと思うなら俺を如何にかしてみろ!」
「ヒイ、い、いけなっさ。そんな自ら死のうとする精神は良くなさっげ!」
「す、菅原さん!」
「大丈夫だ、えっと春風さんで良いか?」
「え、えっと……あ、菅原さん!」
「え……来やがったな、って!」既に猿型の動脈は人差し指の長さ迄、斬り込まれて結果として……「オイ、何で動いたんだ!」猿型は血飛沫を上げて仰向けに倒れた事を確認するライデン。「用意しない行動は結果として多くを死に追いやるのだぞ!」
「申し、訳ないです」やったのは志乃。「で、でもえっと、菅原、さんを、放っておけ、なくて!」
「速いぞい、今の動きはい。如何やら前任者のレットに近い技の巧みさで更に前任者の飛遊翼に迫る勢いじゃないかい!」
 そ、そんなに言われたら……あわわ--恥ずかしがり屋の志乃は泡を出して気を失った。
「全く助けて貰って有難うっさ……と伝えるべきッと?」蠍族の青年の所に近付き、更には彼の視線の先に体を向けるのは齢三十九にして六の月と七日目に成るメ既に殻は白みを帯び出したメデス蠍族の中年。「だな、坊やっち?」
「俺のお陰じゃないし、今のは殆ど賭けに近かったんだぞ。助かるか如何かなんて曖昧な所なのに……其れに礼をするのは其処で伸びている奴にするべきだろうが!」
「あんたは……まさか彼の暦学者一族最後の雄であるキシェール博士なのかい!」
「え、キシェールってまさか--」
 気付かれてしまって、そうだ……間抜けな私こそが一応キシェール最後の雄だ--後にメデス蠍族のキッシェル・キシェールとの出会いは余りにも鮮烈極まる物であった。

(キッシェル・キシェールは最初の内は只の苦労者にして先祖の七光りに苦しむおっさんだと思っていた。だが、家に招いて話をする内にそいつがルドールと似るように苛立ちだけが募る程に頭が良くて皮と肉を幾らでも口にする大変腹立たしいおっさんである事が判明した。然も其のおっさんと志乃は後に意気投合してしまうのだから世の中わからない事だらけだな。
 話の続きだが、あの出会いから二の週より後だったかな? キッシェルを家に招いてしまい、悔いが残る俺は--)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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