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一兆年の夜 第百三十話 終わりの始まり キシェール最後の雄(出)

 三月十八日午後一時二分一秒。
 ライデンはレットに食べさせる筈だった昼食をレットと交代する形でやって来た春風志乃に食べさせる。志乃はライデンに一切、話し掛けないでいる物の出された食事に手を付けないという事はしない。何故なら食べないと捨てられるからである。食べ物は時間を経ると共に一般生命の口に合わなくなる。其れは遠過ぎる過去に於いても不変の真理。故に志乃は出された物を食べないという選択肢を選ばずに食べて行く--但し、ライデンは志乃の食べ方に少し顔色を変える。
(飛遊翼さんに比べて丁寧な口調の割には棘がある様な雌ではないのは確かだろう。大人しいし、慣れてくれれば楽しく会話も出来るだろう。だが、春風家の雌は食べ方をそんな風に荒っぽくするよう教育したのか? 噛む回数も少ない上に口元の汚れが食べる時間が長ければ長い程、広がってゆく様は見ていて良くない。
 だが、注意するべきか? 俺は正直、ほぼ同年代に近い雌は相手するのも難しいんだ。声一つ掛けるのも恥ずかしくてなあ。うーん、えっと何処から始めようか?)
 だが、顔色を変えるだけで目を逸らす習性はやはり変わらない。ライデンは雌への対応が如何も得手じゃない。其の為にライデンと志乃は互いの顔色を窺いながら反射的に目を逸らすばかり。結果、食事は一切の会話も交わされない侭に午後一時二十四分四十七秒に終了した。
(気が如何も上手く行かない。無言で俺は食器を片付けて水に付けて……水?)
 あれ、出ないぞ--其処でライデンは初めて声を発した。
「え、で、出ないって?」
「如何ゆう事だ。如何して水が出ないんだ? こんなのは--」
 此処此処にい居たか、大変だぞぞ--玄関の扉を破壊してでも報告しに来るのは齢四十八にして九の月と二日目に成るルケラオス獅子族の老年シシド・ミリエム。
「壊すなよ、修理するのにどれだけのマンドロン札が--」
「そうそうゆう問題か、水道局が点検しいた所にい依ると工業都市全体にい流れる水は八割近くが銀河連合と化しいているぞぞ!」
「何だって!」ライデンは其れで納得するしかない。「其れじゃあ飲んだら忽ち全身の血液が飛び出すか、腹を突き破るか或は銀河連合其のモノに成るかじゃないか!」
「リリザースのリリザースの若造と丁度通りい過ぎて例の水にい関する件を尋ねたらあいつともあろう事に忘れていたんだ……だからわしがわざわざ報告しにい駆け込んで来たんだよよ!」
「で、でも玄関の扉を壊す事、ないです、よね?」家鴨あひる族のような座り方をして震え気味な志乃。「え、えっと五武将の方、ですよね?」
「お嬢お嬢ちゃん……口元が赤茄子のたれで広がっているなああ」
 あ、ああああ--志乃は慌てて洗面所に駆け込んでゆく!
「春風の雌はあんな物なのか?」
「未だ未だ青いなあ、ライデンやや。言うべき言うべき時に言わないと彼女は此れからもあのような事をするぞぞ」
「肝に銘じる」其れからライデンは話の腰を戻す様に次のような事を尋ねる。「其れで水道局の調査でわかったけど、此れ迄に被害はどれ位でたんだ?」
「報告にい報告にい依ると此れ迄にい三名が銀河連合にい依って気分を下降化させさせた。未だ未だ死者が出ないようだが、長年の経験からすれば其れはわしの報告で最後だろうだろう!」
 シシドの爺さん、そうやって悲観的な観測は聞きたくなかったのに--ライデンは楽観論が好きな模様。

(だが、シシドの言う通り一の時より後にサイ丼が駆け付けて来て報告された三名の内の二名の体を突き破り、更には傍に居た五名に襲い掛かる。其れに依り、追加で三名が死亡。二名は其々重軽傷を受けた。銀河連合との付き合いに於いて死者が出ないというのは都合が良過ぎるという心理が其処にある。然も俺は謹慎の身だから外には出られない。謹慎を解く迄、俺は志乃と共に居ないといけないのだから溜まった物じゃない。翼以上に話し辛い雌だし、何よりも膨らみがあるせいで余計に目を逸らしやすい。如何してレットではなく志乃なのか。
 そう思っていた一の週……一の週より後に俺の謹慎が突然解除されて晴れて五武将土の将としての復帰戦に赴く事と成った。其処で俺は彼女の恐るべき鋭棒捌きを其の眼で確認する事と成る訳だ--)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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