FC2ブログ

一兆年の夜 第十九話 遅かれ早かれ(七)

 未明。
 場所は銀河連合鯨型胃。
「……きろ!」
(ん? ここ、は、あっの、世? なの--)
「起きろ!」
(いやここは正しくは--)
「イソプー殿!」
 イソプーは静かに眼を開けた。すると--
「こ、こはどっこ?」
 イソプーは周りが血管の色をした場所を見渡す!
「えっと俺達三名は牛亀型かっら逃げる為に水中に潜って、そっれからは?
 そうっだ! それから俺達は牛亀型より遙っかに大きな鯨型に飲み込まれっ
たんだ!」
 ようやく今の状況を理解したイソプーはこの場所がどこであるかに気付く!
(舌がなっい以上、ここは胃か腸の中だな!)
「えっとん答あえは胃の中だんよお!」
「いちいっち心を読むな、スポデューン!」
「仲いいよな、二名は!」
 イソプーとスポデューンのやりとりを見て、棟一は微笑みを隠せなかった。
「だけどここでのんびりしている場合じゃないな! 一刻も早くここから出ないと!」
「そうだっよな! 胃の中なら胃液で俺達を溶かしにかかるっかも知れないしさ!
 スポデューンは責任以て持ち上げないっと良くないな!」
 と言ってイソプーはスポデューンを持ち上げようとしたが--
(あれ? 甲羅の中心に穴っが?)
「気付かれんたか。もう僕は泳ぐん事おは叶いません!」
「あんなに堅かった甲羅にどうしって穴が空く!
 スポデューンは鈍足だけど身体が硬くて泳ぎは速いのが取り柄っだろ!
 なのにどうし--」
「今はそんな事んでえ足踏みいしんてる場合じゃなんいでしょ、イソプー!
 さっさと僕を両前足で持って下さい!」
「スポデューンはいっつもそう言う! 無理をしってどうする!」
「無理なんら棟一様が一番してますが」
「た、確かに俺は無理してるな」
「何だかスポデューンっで悩むのが腰砕っけな事に思えたよ!」
「落ち着いたな。じゃあ二名共、行くぞ!」
 三名は肛門を目指して進んでゆく!

 歩き始めてから四の時が経過。一向に腸の入口へと辿り着けない!
(な、何だか上っを見ていると今にも酸の雨が降っりそうな予感が!)
 イソプーの心配は的中した--酸の水滴は少しずつ落ちる!
 それ肺の中に残留する貝族や鯖族といった海洋種族の死体を溶かしてゆく!
「二名とも気を付けろ! 酸の雨は絶対に触れるな!
 物陰に隠れながら難を逃れろ!」
 棟一は言った事をそのまま実行した--少しずつ溶解し続ける小舟の真下に
潜り、身体に酸が触れないようにした!
 一方の二名は棟一の言われたとおりカルネアデス製の木板が十九枚重ねに
なった事で下に体積成人体型二もの空間が出来たところに潜った!
「さすっが、えっと、何て言うんだっけ?」
「カルネアデス町に生えんるう木で出来た板だね」
「と言う事っはもうカルネアデスは--」
「暗闇なあ話んは良くないよ。今は酸の雨を乗り切らんなあいと!」
 二名は棟一が無事である事と、自分達が生きてここから出られる事を考える!
(腹の虫が五月蠅っいな! そう言えばここに入ってどれくらい経った?
 無事に出られてキュプロ町に入ったら鱈の腹みたいに飯に食っらいつきたい!
 その為にも俺達三名は生きないと良くっない! 生きないと!
 周りは見えないけど棟一様は無事っかな?)
「ふあああん。ここでじっとんぃ、てぃぅ、の、ぉ--」
 今までの疲れが押し寄せたのか、スポデューンは今にも眠りそうだ!
「寝たいっのなら寝ればいいだっろ! 俺も寝たい気分になってきぁ、し」
 眠りそうなのはイソプーも同様であった!
 やがて二名の体はうつ伏せになる--それに併せて眼もゆっくりと閉じてゆく。
(このまま眠るのっか? それもいいや……)

 未明。
 したたり落ちたさんはイソプーの前左足の甲に直撃した!
「アジイ!」
 思わず両眼を開けて周りを見渡す!
「ど、どうなってるか! こ、こんなにも酸が侵食しってるなんて!」
 もはやカルネアデスの木板では酸っは防げない--そう思ったイソプーは急いで
脱出を試みる!
(飛び出したのは良いけど外はもう踏むだけで酸で足っが! 皮膚っが!
 は、早く出っないと良く--あれ? 誰かを忘れている気っが!)
 イソプーはさっきまでいた場所の方角へ振り返った--それは
決して見てはいけないモノ
だった!
「あ、ああ。あ、あ、あ、あ?
 何でっだろうか? 俺は何をしってるんだ?
 例え腰砕けに言っても俺は親友を見放すような事をすっる雄じゃないのに!
 ないのにいい! うっわああああああ!」
 イソプーが見たモノ--それは足が遅い為に酸の雨を直接浴び続けて息絶えた
スポデューン・スポーンの変わり果てた姿……。
(俺はどうしようもなっく罪深い! 足が速いっせいで俺はスポデューンを
死なせた!
 もうあの頃のスポデューンを見る事が叶っわない!
 俺は、俺っはああ!)
 彼は悲しみの中でふと我に気付く--酸で自らの身体が傷ついている事に!
(そ、そうだ! 俺は生きないっと!
 親友の死を乗り越えるとかそんなんじゃなく俺は生き残ってスポデューンや村で
死んだ皆、それに鬼ヶ島の者達を弔っう為に生き残らないっと!)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR