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一兆年の夜 第百二十九話 終わりの始まり 己の中にあるもう一つの己(休)

 午前八時三十二分四十三秒。
 ライデンは出発しようとすると突然、齢三十五にして二日目に成るエウク蝙蝠族の中年逆崎さかざきコウモ助が飛んで来た。
「何だよ、碌でもない奴のせいで睡眠不足に悩まされる中で……場違いで残業時間の長い蝙蝠族のおっさんが何のようだよ」
「五月蠅いの、俺ほ相武様な指令わ伝えね来たんだ……逆崎コウモ助た紹介しとこうこ」
「名前は知ってるよ、何度も顔を合わせる機会があるからさ」ライデンは紹介しなくとも大方の軍者の顔と名前を一致させる努力は怠らない。「其れで逆崎のおっさん、何を伝えるんだ?」
「相武様ご命じる迄ほお前さんな五武将な権限わ止めて謹慎しろっちもんど」
 今更かよ……だが、俺一名だけでは何をするかわからんぞ--後から来た処分と其の甘い対応に文句を口にするライデン。
「心配ない、たある軍者わお前さんな所ね派遣する」
「確かに凄腕は五武将だけじゃない……だが、俺は自分で言っても何だがかなりの腕前だ。そう簡単に止められる奴なんて探せる物か?」
「居るんだやの、世界ほお前さんな思っている程狭くないせの。後ほ付け加えるたすれぼ最ま近い奴ごお前さんな所ね派遣される。んじょお生きて帰って来いや!」
 そう言ってコウモ助は去ってゆく。後姿を確認した後に深夜にやって来たルドールは声を掛ける。
「確かに今更だな。敢えて今更な事を命じる意味は何か?」
「未だ居たのかよ。帰れよ!」
「まだ話の途中だ。じっくり休みも時間も設けられる上に起き立てだと心身の活発化が始まるもんだ。さあ、朝食摂りながら話そうか」
 もう摂ったからおっさんが来る迄、出勤しようとしていたのだろうが--とライデンはルドールの寝惚けに呆れる。

 午前九時零分八秒。
 ルドールの話は唐突に始まる。
「--先ずは一般生命と銀河連合は鏡合わせの存在なのは周知の通りだな?」
「知ってるよ。だからこそ俺達が倒す度に強く成る度に奴等は其れに呼応して事を大きくしてゆくんだ」
「ああ、だが自分達は指を咥えて喰われる訳にはゆかない。銀河連合は己だけなら未だしも周りさえも理由なく襲い掛かるからな。其処で天同優央の妻君で在られた史烈のれあ様は新仙者革仙者の二つを提唱した」
「其の内の前者は昔は相武様も使い熟していたという能力で後者はレットの持つモノだ。両方共身体能力の向上以外に何か別の要因はあるのか?」
「まあな。実質後者の方に史烈様は希望を抱いたのだがな。あ、其の話じゃないな。えっと……何だ?」
「俺は両方共身体能力以外の能力について尋ねたんだよ。話位把握しろよ!」
「ああ、そうそう。其れだな。前者は代々の天同家の血統にしか使えない能力だ。火事場の爆発力とも呼べる圧倒的な力を仙者に齎す物の……やはり何か物足りない上に今後の銀河連合相手に有利に成るとも限らない訳だ」
「何でだよ、仙者の圧倒的な身体能力向上は良いんじゃないのか?」
「精密性やらが損なわれたら……果たして細かい戦い方が出来るのか?」
「頭脳労働者の分際で……確かに細かい技は戦いに於いて無視出来ないのは事実だが」
「まあ話を戻すと革仙者は天同家以外の……いや人族以外でも成れるとされる火事場の爆発力だ。然も新仙者よりも優れるらしくて史烈様の言う通り全生命体の希望に近いのは其れだ……だが!」
「だが? 如何ゆう意味だ?」
「だが、成れるには液状型を自らの物にする以外にないそうだ」
「何、そりゃあ難しいにも程があるだろうが!」
「自分には困難を極める以前だし、今のライデン君にはちいと辛い話でもあるな。何時死ぬかも知れない爆弾の為に強さを求めるなんて救い難い運命じゃないか!」
「ああ、わかった。悲しい話は良いから話の続きをしろよ」
「わかった。何方にしても新仙者革仙者も身体能力の向上を果たせても精密な動きを損ねやすい……つまり万能ではないんだ」
「身体能力が向上しても全ての場面で優れている訳じゃないって?」
「ああ、そうだ。チーター族が最速を実現しても旋回の面で他の種族に大きく引き離されやすい点を考えてもそうだし、かといって力自慢の象族が屈んだ戦いでは只の的としてやられやすい点でもそうだ。誰もが万能であるとは限らないんだよ。後は戦闘面で重要な位置を占める鬼族も学問分野では一部を除いて此れと言った功績を残さない点を考えると、なあ」
 要するに場面場面で力を使わないと今後も生き残れない……そう言いたいんだな--ライデンにとって何事も万能薬足り得ない真理は堪える物である。
(シシドも言ってたが、金の将だからって便利屋と思われると困ると何度も言ってたな。あいつもそうだが、だからこそ相武様は五武将制度を設けて自らの至らぬ所を補佐するだけじゃなくて五武将の五名も相武様を守護するだけじゃなく己の至らない所を自らだけで解決するのではなく仲間達に頼ってでも補う事の大切さを学ばす為でもあったんだな。とすれば俺を助けてくれるのは--)
 考え中に扉を叩く音が聞こえる。ライデンは其れが誰なのかを……「此の叩き方……レットか!」聞き覚えていた!
「そうだ、コウモ助からは聞かされたよな?」

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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