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一兆年の夜 第百二十九話 終わりの始まり 己の中にあるもう一つの己(醒)

 午後十時零分三十八秒。
 場所は不明。
(此処は何処だ? 何だ、首に何かが巻かれてあるけど? というか俺は何をしていたんだ? 何で俺は飛遊翼の膝枕……ではなく、サンショウ丈さんの背中に頭を乗っけるんだ?)
 ライデンは気付かない……今の状況を!
「おや? うわあああ?」突然、叫んでライデンを放るサンショウ丈。「ま、まさか銀河連合が目覚めた?」
「一体如何したんだ? 俺が銀河連合って?」
「……何だ、喋るのなら其の可能性はない?」
 疑問文風の訛りはわかり難いって--ライデンは溜息を漏らすのだった。
「其れは僕から言おうやい」サイ団はルドールと共にライデンの所に駆け付ける。「既にある苛立ちだけが残る奴の言う通りにライデンは体内に銀河連合が移植されていたんだい」
「……サイ団さんよお、幾ら何でも其れはおかしな話じゃないか。だが、笑えない話だな」
「笑い話をしに来たんじゃないよ?」
「ああ、そう言えば久し振りだな。自分の事覚えているかい?」
「いけ好かない奴だったな。だが、そんな事ではない。ルドール・バルケミン、聞かせろ!」
「何を?」
「俺が銀河連合に? 何時から俺が銀河連合に体を預けるように成ったんだよ!」
「其れがわかれば苦労しない。何せ自分の事は自分で調べなくちゃ成らんもんだぜ」
 そうだよ、ライデンがわからない事を僕達がわかる訳ない--とサンショウ丈はライデンが何時から銀河連合に体を乗っ取られたのかを知らないと代表して弁じた。
「やっぱり信じられないな……は、そう言えば飛遊さんやチーチェイスは?」
「二名は無事だい。だが、少し穢れ走りと……んあい?」
「如何したの?」
「穢れ走りでは此処は第四関門だったな。とすると銀河連合が襲撃したのが此処だな。五世代期位前も穢れ走り道では銀河連合が襲撃したんだってか」
「何だい、そりゃあい?」
「いや、そうゆうのは後にして重要なのは此処迄来るのに大変な心拍数の上昇が予想される。自分なんてこんな物だから第一関門の時点で息が切れて諦めるなあ」
「ハ……まさかライデンの心拍数はい!」
「言われてみれば……何で俺は誰よりも平常過ぎるんだ?」
 ライデンは疲れて休息を取った後にしては体の重みや筋肉の疲労を感じない。此れはある事にも関係するとルドールは次のように語り始める。
「一応、確か二名の誰かはライデンの出血量について証言していたってなあ?」
「命じるない。僕が何とか聞き出したんだい。何でも一般生命なら死んでもおかしくない膨大な出血量で止血したって輸血したって間に合わない速度だった……とあい」
「じゃ、じゃあ俺は?」ライデンは膝を崩して両手で自らの顔を覆い始める。「俺は何なんだ? 如何してこうやって生きてるんだ?」
 そりゃあ未だ未だ知る必要に迫られるなあ、身に宿した液状型が乗っ取る事もないままに主の中で蠢く真意を--ルドールは結論を急がない雄。

(其れから俺と翼は暫く顔を合わせる事もない。あの一件以来、彼女は俺を避けるように成った。勿論、相武様は翼の思いを理解して彼女を実家に引き戻した。普通なら引き戻す事は余り良くない。けれども俺に会う事に比べれば遥かに良療治だろう。其れだけに彼女は心に傷を受けた。其の傷を治すには敢えて離れていた実家に戻して忘れる位の時間を過ごさせる以外に道はないだろう。まるで飛遊美兎の人生だな。彼女も婚約者の前に好きな生命が居た……思い出したが、ルドールと次のような話もあったな。
 其れはな--)

 三月十七日午前一時二分一秒。
 場所は六虎府工業都市第三西地区菅原ライデン邸寝室。
(フウ、流石に読み物に集中していると時間だけが過ぎていった。最近は石板書物さえも活版印刷技術の発展に依って安く仕入れる事が出来るように成ったんだって。大昔の生命には理解がし難いな。俺なんか田舎暮らしだしな、暮らして一の年以上も過ぎれば故郷に帰るのが難しく成って来るなあ。便利な物に慣れちまうと如何しても代価を払うように便利から離れたくなく成るのは良くない傾向じゃないかな?
 考え事はあかんな。最近は俺の事や飛遊さんの事もあって全然眠れない。折角の穢れ走り道もあの一件で中止に成ってしまった。でも構わないか、何れは死を迎える……死を?
 俺が恐れるのか!)
 ライデンは死を恐れる余りやはり眠れない。書物の読み過ぎで眠れないのとは別の不眠の理由が其処にある。そして窓から覗く青年の顔がライデンの右横眼に映る。
「中に入れよ、誰かは何となく映った陰でわかるんだよ」
 はあ、何だよ何だよ--そう呟いてルドールは玄関迄回って扉を三回叩いて中には居る事を許可されるのだった。
「んで要件は?」
「飛遊翼の姿に関して……ではなく」
「変な事を前置きにするなよ、さっさと言え!」
「実は体内に銀河連合を宿す事はな……革仙者へと至る近道かも知れないんだ!」
 はいはい革仙者ね……何だってええ--思わず叫び声を上げて胸座を掴むライデンであった!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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