FC2ブログ

一兆年の夜 第百二十九話 終わりの始まり 己の中にあるもう一つの己(明)

 二月百十三日午後一時二十八分四十三秒。
 場所は首都ボルティーニ中央地区中央官邸一階庭園。
 五武将は其処で集合し、齢七十四にして八の月と十四日目に成る神武人族の老年天同相武そうぶを待つ。
(相変わらず遅いなあ。相武様の傍にはシシドの爺さんとリリザースさんが居る筈なのだがな。まさか歳の余り、又倒れたのではないか?)
 何か何か言ったかか--齢四十八にして八の月と十四日目に成るルケラオス獅子族の老年シシド・ミリエムはライデンの心の声を読み取って声を掛ける。
「うわあ、何だよ。俺が考えそうな事をそう簡単に読まれてたまるか!」
「其処はこんちわ、だろ!」真面目なのは齢三十三にして三の月と十六日目に成るキュプロ栗鼠族の中年リリザース・リッザール。「挨拶は全世界共通だから少しでも抜けているんと相手に良い印象を与えるのは難しいぞ」
「二名共、ライデンは私の事を心配していたんだ」相武はライデンが気遣いをしている事を察して弁護する。「相手を心配すれば挨拶の一回位抜けていても真心は伝わる」
「相武様? 流石にちょっと理論に無きが在りそうな気がします?」齢二十一にして二十六日目に成るラエルティオ山椒魚族の青年山一サンショウ丈は反論する。「何か其れだと一回くらい大丈夫だろうって甘い考えに陥ります?」
「細かい事は気にするない」齢三十一にして九の月と二十二日目に成るエピクロ犀族の中年藤原サイ団は細かい指摘を一蹴する。「雄という者は何時でも豪快に粗立てるのだい!」
「サイ団の言う通りだ。其れにそろそろ皆が集まった所で緊急会議を開く」
 緊急会議という言葉を聞いてライデン以外は慣れた様子。一方のライデンは次のように尋ねる。
「済みません、相武様。自分は一番の若手故に其の四字熟語の意味が想像付かないのですが」
「そうだったな。未だ一の年だったな、ライデンは。そうだな、其れは……我々全員がある特殊任務を遂行してゆくという意味だ」
 特殊……相武様は未だ戦場に出るのですか--ライデンにとって齢七十を超えても戦場の空気を吸いたい相武の感覚を理解出来ない。
「礼に失するんぞ、ライデン--」
「別に言うのは勝手だ。ライデンは私が既に老いが進行して満足に指を動かすのが大変である事を心配で反対しているのだ」
「そりゃあそうですよ、相武様。そうゆうのは俺達に任せて安全地帯で偉そうに指揮だけすれば良いのですよ!」
「念を残すようだが、私に指揮は難しい。既に視野の狭まりも著しいからな」
「だったら猶更前線に出るべきではありませんよ。万が一の事があったら--」
 其の時は南雄略に居る血縁者か、レットに真古天神武を任せる--既に相武は跡継ぎを決めた後だった。
「レット……は良いとしましても南雄略に血縁者?」
「ぼ、僕も初めて聞いたね?」
「若手二名には知らないだろうんが、私達は既に把握済みだ」
「だが、地同翔和とわの息子は既に他界した後だい。其の息子には五名の血縁者が居て、内一名が病で弱った肉体と言えども天同家の跡継ぎに相応しい雄の子だい」
「病弱って……地同翔和って言ったら相武様よりも確か五つ--」
 十だ、まあ四十以上より前に亡くなった方だから正確な年齢を把握するんのも難しいだろうんが--と訂正するリリザース。
「仙者で仙者である可能性は少ない上にい幾ら平均寿命が延びいようともわし達が短い時の中でしいか生きいられないのは同じいだだ」
「で、でも病弱と言えども計算すれば子供を作れる年齢じゃないか?」
「気付いているではないか。だが、調査した時点では彼は未だ婚約者を持っていない状態だ。其れに病弱な状態で果たして精子を無事に子宮内で蠢く卵子に送り届けられるか……だ」
 卑猥ですんな、相武様--子持ちとはいえ、性的な話を好まないリリザース。
「そうゆう訳で後継者に関する話は此処迄にする。私はそうゆう後窯が居る以上は黙って命を懸けられる。そして命を懸ける対象は……エピクロ島に巣食う大樹拠点型銀河連合だ!」
(大樹拠点型……だと!)
 ライデンにとっては其の意味する所--仁徳島及び応神諸島のようにエピクロ島も終わりを迎えようとしていたという意味!
「銀河銀河連合共め……其処はわしの魂の故郷だというのにに!」
「僕もだい。奴等め……其処迄本気かよい!」
「どんどん水の惑星で暮らす僕達の魂の故郷が……消えて行く?」
「だが、任務は果たすんしか道はない!」
「行きましょう、みんな!」
 天同相武と終期五武将は例え救えない事だとしてもエピクロ島に向かわない訳にはゆかない。そして心構えは何時も島を救うという叶わない物だとしても果たさない事に明くる日はない。終わりが刻一刻と近付くこんな世界で在ろうとも進む以外に道はないのである!

(此れに関しては本筋と関係が無いので流れ作業的に紹介すると島に着いたのが二の日より後の真夜中だ。其処で俺達六名と追っかけの翼は大樹拠点型に乗り込んでゆく。其処では激しい戦いが待ち受けるかに思えた。だが、時既に遅かった。大樹拠点型の崩壊は既に始まっていた。既に突入部隊が命を懸けて任務を全うする事に気付いた俺達は逃げ遅れがないかを確認しながら限界迄救援活動を続ける。助かった物を担ぐ事もあれば結局助からなかった軍者を担ぐ事もあった。悔しさを滲ませながらも俺達はエピクロ島にて運命を共にしようと考える馬か鹿かわからん連中を独り善がりでも構わず助けて行く。死よりも生は生きている俺達にとって大事な使命だと勝手に考える程さ。
 そして脱出の時間が来ると急いで船に乗って崩壊するエピクロ島を眺める。すると其れは島型銀河連合と化して逃げ遅れの船を喰らってゆく。ああ成ってはもう何を施しても遅い。相武様は原子望遠弾の使用を許可して島型を海に沈めた。天高く上る自然の物としては黒過ぎる雲は俺達全生命体の明日予想図のように思えたよ。幾ら銀河連合を全て打倒するのが最終目標だとしてもそんな事の為に訪れる明日が血に染まって真っ黒だとすれば果たして俺達は銀河連合と一体如何異なるか知りたい!
 いや、其れに関する話は其れから一の週より後に起こった。其れは犬猿道にて翼と共に走り込みをしている時だったな。相武様の護衛とは程遠い俺達若手にとって自由な時間はやはり訓練に明け暮れる以外にない。其れから犬猿道が久方振りに再開した事もあって俺は野次者の如く犬猿道での復活走り込み大会に参加したんだ。後半の追い込みで俺と翼は有力候補だったチーチェイス・バーバリッタとの激闘を演じていたな。其の時に如何ゆう訳か銀河連合が顔を出して来た……いや、走り込み中に各区間で走者を喰らうべく顔を出していたのだな。そんな連中との戦いは生き切れ寸前の状態で始まるのだから例え相手が格が大きく下回っても勝てる見込みがない。そんな時--)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR