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一兆年の夜 第十九話 遅かれ早かれ(六)

 午後一時十分一秒。
 場所は麁鹿火海。
 三名を乗せた小舟は北へと逃走中。
「速すっぎる! 牛頭なのにどうして亀族並みの速さっで泳げる!」
 小舟は徐々に距離を縮められてゆく!
「流れは北に向かう! 同じ条件下では速さが全てを分かつのか!」
「ググググ--」
「何? 『これが限界だ』って?
 ど、どうすれっばいい!」
 イソプーは筏を動かしているスポデューンを代弁しながらも小舟の速度ではすぐに
追いつかれる現実を嘆く!
「嘆いた所で銀河連合は俺達を逃がしちゃくれない!
 どのみち追いつかれるのならここは船を提供するしかないな」
「て、提供! それってつまり俺達が小舟を捨てって海に投げ出されろと言いった
いんですか!」
「ウググ、ググウグ」
「『それしか道がないなら棟一様の言う事に従う』って?
 全くスポデューンはっよう。いいだっろう!
 俺もそろそろ命を懸けないと!」
 イソプーとスポデューン。両者の眼は今までのような能天気なものではなくなって
いた--死を意識する者の眼に変化する!
(とはいえすぐに実行出来るなんって思いたくない!
 俺達はたっだ南鬼ヶ島の現状を知らっせる事を果たせなっくて悔しかったからだ!
 棟一様を全力で守りたいとかそうっゆうわけじゃない!
 これは俺達二名が死を覚悟して生き残っる為に進むんだ!
 死にたいっから覚悟を決めるんっじゃないぞ!)
「以外だんよ! 初めてイソプーと意見が同じんにいなるなんて」
「オイ! 心を読っむな! 緊張が解けったじゃないか!」
 二名の顔付きは微笑みに変わっていた。
「お喋りはここまでだ! イソプー殿、それにスポデューン殿!
 そろそろ飛び込むぞ!」
 棟一は小舟の船首に軽く左足を乗っける。
「銀河連合はもんう追いつきました!」
「まさっか棟一様は--」
 牛亀型が小舟の船尾を噛みついた瞬間--
「二名とも! 船首に乗っかれ!」
 その合図と共にイソプーはスポデューンを持ち上げて船首の左より少し後ろに
乗っかった--すると小舟は前に倒れ、振り子のように船尾は勢いよく上に持ち
上げられ、掴んでいた牛亀型は前方に吹っ飛ばされた!
(わああ! 沈む! 沈むけっど銀河連合を飛ばせたよ!
 ただ、前方に岩がっないから死に至らないけっど)
 三名は海に潜ってゆく!

 午後一時三十分八秒。
 スポデューンを船頭に棟一は甲羅の両端を掴み、イソプーは棟一の衣服の襟を
掴んで数珠状に泳ぐ!
(スポデューンが頼っりだ! 水中では速いかっらな、スポデューンは!
 それにしてもどこにいっる? 確かに俺らよりも北にいるっはずなのにな?
 もしかして死んだっかな? いやそんなっはずはないぞ!
 それにしても息は続くっかな? スポデューンは良いけど、俺と棟一様は陸上の
種族っだからこれ以上は)
 イソプーと棟一の心を読めるのか、スポデューンは息継ぎさせる為、海の外に
向かった!
「プハアア! はあはあ、息は長く続っかないな」
「そうだね。僕だってん呼吸をすんるう場合は海草近くうでん漂う水泡に近付くよ。
 そうしんないと窒息で死ぬかも?」
「かも? ってあのなあ--」
「声の音量を下げろ! さっきの牛亀型が後ろにいるぞ!」
「後ろって……え?」
「そおんんなあ!」
 二名が振り返った時、牛亀型が彼等を食らう為に先ほど小舟を追っていた時と同じ
速度で迫った!
 しかし、三名の両眼が限界まで開く理由はそれではない!
「あ、あ、有り得ない!」
 牛亀型の後ろで全長成人体型十四以上ある鯨型が牛亀型ごと三名を口の中へと
放り込んだ!
(どうして同族まで食っらう! そんな事っがどうし--)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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