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一兆年の夜 第三話 あたいは生きる(二)

 あたいの名前は春風実兎。二十五の年になる今時流行りな雌の子よ。
「えっと確か今時流行りという言葉は一体どれくらい言われ続ける気だ?」
 ウルサイわね! いつだって良いじゃないの?
 彼ってこうゆうところには繊細なのよ。ちなみにあたいはテレス人族出身よ。
「自分はプラトー人族のユーリディス・バルケミンだ。
 齢は二十八と九の月にして三十日目になる。」
 月と日数まで言わないの! ちなみに好きな食べ物はソクラさくらんぼよ。
「自分はプラトー松茸しか好きな食べ物はないな」
 ユーリディスって好き好きじゃないが多いから困るのよね。
 えっと、あたいが好きじゃない食べ物はアルキバウムクーヘンよ。あの感触は好めないわ。
「ところでどうしてお前は独り言のように頭の中で自己紹介する?」
 そ、そうだったわ! すっかり忘れていたのよ。
 今あたいは大好きな彼の家にある台所で春風家伝統の料理を作っている所だったわ。
「でも材料がこの山でしか採れない物ってのは辛いわ」
「泣き言を吐くな。今ある材料で極めし者を作ってこそ料理家という者だろ!」
 あたいは料理家じゃないっつーの! こうなったらあたいのユーリディスへの愛の力で奇跡を起こしてやるわよ!
「愛だけじゃ駄目だ。他には神々への感謝の気持ちを忘れるなよ!」
 また大事なことを忘れてしまったわ! ああ、ごめんなさい神様達。
「全く世話の焼ける雌だよ」
 ハイ、返す言葉もありません。
 料理を作り始めて一の時を経て、完成。
「水加減もばっちりなプラトー松茸ご飯と塩加減ばっちりなプラトー椎茸尽くしの山菜味噌汁よ!」
 これは超自信作! 必ずユーリディスはお--
「美味しくない。それ以上語るまい」
「えっ! どうしてなの?」
「食べてみろ! そしたらいかに美味しくないかが分かる……」
 試しにって--あれ? おかしいわね、こんな味になるの?
「うん、失敗しました……ごめんなさい!」
 せっかく愛と神様への思いを込めて作ったのに! あたいはなんて罪深いんだろう。
「だからといって残すのは食の神々に失礼だ!
 最後まで付き合ってやるから残さず食べるぞ、いいな?」
 ええ、どんなに美味しくなくともあたいは食べないと。
 食べ始めて四十五の分。ようやく全て食べました。
「「ごちそうさま」」
 我慢するのは辛いことだと改めて知ったわ。
「昨日の夜もそう思っていただろ? 何回そんなこと考えれば気が済む!」
「ウルサイわね! 人の思ってることをいちいち読まないでくれる?」
「食後のついでに申し訳ないけど、いつまで自分の処に居候するつもりだ?」
「決まってるわよ! 一生ここで--」
「それだけはやめろ! お前はとっとと山から降りろ!」
「断るわ! あたいは一生ユーリディ--」
「そうゆうことじゃないぞ! ここに残ればお前は兄である智のように死んでしまうぞ!」
 えっ? どうゆうことなの?
 あたいの兄が……兄が死んだって?
「頭が整理出来ないんだ……けど」

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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