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一兆年の夜 第百二十八話 終わりの始まり 其れは正に百獣が如く(遭)

 十一月百十四日午前十一時二分十八秒。
 場所は大陸藤原中臣地方新クレイトス峡谷東側。
 其処は一の週より前に流れ星が落下。其れから一般生命の被害が拡大した事を受けて三の日より前に渡航禁止勧告が下された。そして三の日より後に五武将のライデンとサイ団は駆け付ける。序にライデンと一緒に付いて来た翼も一緒に。
「僅か四の日の内に五十七名の死者が出たんだって?」
「ああ、そうだい。最初は隕石被害と同じように幸せなく巻き込まれた一名の蝙蝠族の青年だけだったが、其処から野次者共が駆け付けて二の日の内に九名の馬族雌雄五名、鹿族雌二名、其の他二名が--」
「止めて貰えません、そうゆう悲しい事を詳細に伝えるのは」
「何で雌迄連れて来たんだよ!」
「相武様の指令で翼さんは俺の付き者として共に行動するように成ってるんだよ」
「やったのか、あれをやい?」
 何を言ってるんだよ、サイ団のおっさん--ライデンには性的な話に対する興味が薄い。
「其れにしても大体、馬族って如何して野次者に成るんだよ」
「そりゃああいつらの種族は遺伝子の段階から事件の匂いを嗅ぎつけたい気分にさせるんだい」
「何時かは野次者って単語は野次馬に変わる日が来るかも知れませんね」
 だが、言い出しっぺの俺が言うのも何だ……俺はあの爺さんから土の将を引き継いだんだ、此処で終いだ--恩義を感じるが故に真島ポニー輝彦の為にも話の腰を折る訳にはゆかないライデン。
(とはいえ、俺達五武将は全員駆け付ける事が出来ない。かと言って軍は年々減少傾向にある上に大半が拠点方や大樹型、其れに其の他の隕石被害に回されて全然回らない。だから俺達三名が向かうしかない。何という終わりの近い世界なんだよ。俺は改めて憂うなあ。
 だが、話は其処じゃない。俺達がやるべきなのは一の週より前に落下したという強力な百獣型の討伐だ。然も記録上では最強の百獣型が初めて出現したのが此処クレイトス峡谷と聞くじゃないか。一体どれだけの強さかを体感しないとなあ。何せ祖父さんが死ぬ事に成ったというあの百獣型とは別の百獣型だからな)
 ライデンにとっては思い出したくもない百獣型ではない。思い出したくないとすれば父と祖父の死に様の事。其の度に心を締め付けられる思いに駆られる。だが、其れは身体の傷と同様に一生背負わないといけない消えない傷--其れから一旦眼を瞑ったライデンは次の瞬間には限界迄開いて誰よりも先に右足を踏み出す!
「オオ、若いもんは大胆でなければなあい!」
「関係ない。本当に強い者は己よりも大きな存在に対して足を踏み出さないなんて腰抜けた事はしないさ!」
 確かにそうですね、わ、私は腰を抜かしましたわ--好き勝手に加えて一言多いのが翼の良からぬ点である。
 其れから険しくも幅の狭過ぎる道を何とか落下しないよう慎重に進んでゆく三名。特に足幅が大きいサイ団は二名よりも遥かに気苦労が大きい。其の為、進む際は壁に打ち付ける道具を使用して少しでも足を踏み外した時の均衡の崩れを抑えようとも心掛ける程に。

(俺としては寧ろ、サイ団の器用さに驚くぞ。確かに落下を少しでも軽減する道具を奴は使用したんだけどな。だが、其れでも己の足幅の半分以下の道を其れに頼る事なく渡り切っていると俺達が支援する方が何とも馬か鹿みたいで恥ずかしい気分に成ったぞ。
 此れが火の将に選ばれた生命の凄味なのか!)

 午後零時四十三分十六秒。
 三名は百獣型が潜むとされる隕石落下地へと入った。そして--
「ウオオオ、此奴……僕が、僕が力で打ち勝てなあああい!」サイ団は正面から突進して百獣型の奇襲を受けたものの、其の侭後方成人体型十も吹っ飛ばされた。「ガッハ……ハアハア、何て怪力だい!」
「サイ団のおっさん、俺達が協力してあの百獣型を倒しましょう!」
「ううう、こ、恐い!」
「翼さんが……じゃあ避難して下さい。但し」ライデンは銀河連合がたった一体だけで行動するとは思えないと考える。「隠れる場所には気を配って下さい!」
「わ、わかったわ」
 翼は恐怖と格闘しながらも戦いに巻き込まれない距離迄避難してゆく--勿論、伏兵に気を配る事も忘れずに!
「ライデンよ、銀河連合は油を断てない相手ではあるやい。だが、あいつは伏兵要らずの強さだぞい!」
「其れでもあの銀河連合だ。万が一の時の伏兵は忘れん。奴等に戦士の誇りよりも己の欲求の方が勝るのだからな」
「……だない。そう理解しないといけない」
「じゃあ行きましょうか!」
「ああ、五武将を侮るない!」
 二名は挟み撃ちするように百獣型に攻撃を仕掛けて行く!

 午後二時一分四秒。
(クソウ……体が、全く、動けねえ!)
 ライデンが持つ雄略包丁は既に刃が欠け、サイ団の持つ角は真っ二つに折れていた。二名は其々骨折していた。サイ団は左前脚の脛が折れ、ライデンは左手首が折れ曲がって指一本動かせない状態だった。其れだけじゃない、二名は肉体を動かす事も難しい程に動かない。顎への強打はサイ丼が二回、ライデンは……三回!
(眠った方が楽だぜ。だ、がな。意識を飛ばせば……死んでしまう!)
 絶対的な状況である。肝心の百獣型は傷一つ付いてないと思える程に見た目の状態が綺麗である。そしてライデンに近付いてゆく。確実に仕留める為に。
 菅原さんは……やらせません--そんな時に、三本の物部刃が百獣型に向かって放たれる!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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