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一兆年の夜 第百二十八話 終わりの始まり 正に百獣が如く(任)

 午後三時零分五十八秒。
 場所は中央官邸表門前。
 ライデンと翼は敷地内に入るのに時間を要する。
「わかったぶ。確かに臨兵キューぞうの言ぶ通りだ。良し、通れぶ!」
「やっと入れるのか。全く相武様のこうゆう所がいけない……と言う祖父さんの言葉は正しかったんだな」
「はい、去る年に此処へ来た私も相武様の変幻自在な対応には苦労しました」
 だな--やはり雌の前では視線を逸らしながら会話する初心なライデンが其処にあった。
(やっぱ俺には雌は難しい。俺の故郷には雌も居たけど、みんなすっかり肥えたり変な風に馴れ馴れしく主婦会話に昂じていたんだからな。だが、飛遊翼は如何も苦手だ。初めてだよ、こうゆう雌と出会うのは!)
 よおよお、やっぱ菅原ライデン君でしたかか--二名を迎えるのは齢四十七にして八の月に成ったばかりのルケラオス獅子族の老年にして金の将を務めるシシド・ミリエム。
「爺さんじゃないか。あんたが俺達を出迎えるのか?」
「ああ、そうだだ。其れに其れにしてもライデン君よよ」シシドはライデンの両眼を見つめる。「目指して目指してみないか、カゲヤマノザルノスケが後期五武将迄守り抜いた金の将とやらはは」
「其れが出来る生命を一名知っておりますよ。なので俺は辞退させて戴きます」
「其れ其れは勿体ないなな。聡明聡明で才覚ある若き君が金の将を目指さないと成ると……如何しようもないなな」
「そりゃあ誰だって天同生子よりも強いと自覚したいさ。自分の強さに溺れてみたいさ……だが、上には絶対的な上が居るとわかったら意地を張ってでも頂点を目指すよりも諦観して自らの強さについて考察し続ける方が良いに決まっているだろうさ」
「成程成程、只の諦観ではなく哲学的な強さへの追求なのか……益々、気に入ったぞぞ!」
「ミリエムさん、そろそろお喋りを止めて案内して貰えませんか?」
 堪忍の浅い翼は急かし始める。其れに気付いて二名は喋る事を止めて目的地まで向かってゆくのだった。
(翼さんは黙っていると何時もこうじゃないのか? 余り一般生命の心理学を俺は知らないし、彼女について初めて会って間もない。けれども、徐々に彼女について何かを知ってゆくかも知れない。
 いや、そうゆうのよりも先に二の年より前に出会った他の五武将達と改めて挨拶と化しとかないといけないな)
 ライデンは心を改めて飛遊翼を気にする己を何とか誤魔化し始める……

 午後三時十一分三秒。
 場所端中央官邸一階特別訓練室。
 其処では様々な器具が用意され、各々が其々の訓練に没頭する。詳細については余裕があれば紹介する。
(此処にポニー輝彦の爺さんは……居ないか)
 既に引退した生命は姿を現さない。ライデンは改めて居なく成る生命の事を思うと死んでいった者と如何違うのかを考察する。
(仕事を辞めた生命、軍を離れた生命、学校を卒業した生命……其々は互いに何時か又会えるから悲しみは少ない。
 だが、戦いで死んだ生命、病に勝てずに死んだ生命、寿命を迎えて死んだ生命……親父や祖父さんを思い出せばわかる通り二度と会う事が叶わない。
 そう思うなら前者の方が未だ心の苦しみも多少は無事で居られるのではないか?)
 おや、お久し振りですな……三の年ぶりですか--齢二十歳にして十二日目に成るラエルティオ山椒魚族の青年山一サンショウじょうは数値を間違える。
「オイ、如何ん考えても二の年ぶりだろうん」齢三十二にして三の月と二日目に成るキュプロ栗鼠族の中年リリザース・リッザールは注意しつつも挨拶をする事を忘れない。「あ、済まないな。サンショウ丈は何時も呑気で……如何も改めて紹介するんと私は木の将を務めるんリリザース・リッザールだ。彼は水の将を務めるん山一サンショウ丈だ」
「宜しくね?」
「如何も山椒魚族は全ての会話が疑問文だからどれが断定でどれが疑問なのか判別し辛い!」
「私も同じ意見ですね」
「んなもんは感覚で読み解けやい!」齢三十にして九の月と八日目に成るエピクロ犀族の中年藤原サイどんは難題を突き付ける。「何でも理屈で証明出来ると思うない!」
「犀族らしい力業溢れる理屈じゃないか、其れも?」
「僕を理屈だ俺と称するかい、若造の分際でやい!」
「サイ丼、自己紹介は未だか!」
「別に良いだろう、奴は菅原ライデンだって僕は知っているやい」
「俺もあんたの事は藤原サイ団だって知っている」ライデンは何とか思い出せた模様。「……で良かったよな?」
「正解だい」
「はあ、大丈夫なのですか?」
「何時も何時もこんな感じいだよよ。何何もポニー輝彦が引退しいたからって終期五武将の空気が変わる筈かか!」
「だが、如何してそんな終わりそうな雰囲気の前が気が付いているのだ」
「あ、確かに言われてみればそうですね」
「ああ、気付いちまったか。此れは相武様がそう命じたからさ。其れに対してポニー輝彦を含めた私達は賛同して私達で最後にしようんと思っているんのだよ」
 たった其れだけでライデンの心の中で何か思う所が浮かぶ。
(終わりを幾らでも受け入れられる此の四名は如何して平気なんだよ。俺には如何しても終わる事に抵抗感がある。まだ生きたいと思う心が残る残らない関係ない!
 いや、疑問すべきなのは如何して四名は其れを受け止められるか……だろ? まさか既に明くる日を知っているからか? いやいや、天同家の仙者でもない限りは明くる日を予め知るなんて出来る筈がない。全く此の疑問を解消する勇気が俺にあるのか?
 ……今は無いな)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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