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一兆年の夜 第十九話 遅かれ早かれ(五)

 午前十時三十分七秒。
(やっぱりそうっだ! この海は南へ流れてっゆくんだ!)
 三名を乗せた小舟は南へと流してゆく!
「目的地であんるキュプロ町に着けんそおうかな?」
「筏を使った所で流っれを変える事なっんて出来ません、棟一様!」
「それでも北に進む事を信じろ! そうすれば海の神様は俺達を、ウワ!」
 海は情を与える隙もない--雨は激しく、風は北西より吹き付け、波は赦しを
容れず小舟を沈めにかかる!
「イソプー、あんあ!
 動いんちゃあ投げ出さあれんる!」
「スポデューンのこ、うっわあ!
 もうちょっと怖がっるように訛っれよ!」
「自分のせいだ! 自分が棟一に成りすますから神様は自分を!
 じ、があ! 自分を--」
 棟一は座りながら背中を見せるように丸まった--自らの素性を見せるように!
 その様子を見たイソプーは--
(どんな理由があったのかは知っらないが、棟一様も怖いんだっね!
 俺だってこんなの怖っい! 波でいっつ飛ばされるかわっからないよ!)
「棟一様? 僕の真似はしなあくんても良いのに--」
「少しはかけっる言葉を選べ、スポデュ、があ、塩っが痛い!
 と、とにかく今は棟一様の言葉通り俺達は信じるしっかない!」
 そう言ったイソプーは棟一の真似事をするように丸まった--少しでも小舟に
しがみつけるように!
 それを見ていたスポデューンは頭以外の部分を甲羅の奥に引っ込めた!
「便利だっな、それ!」
「動きづうらんくて困るよ!」
 どの口っが言うか--とイソプーはスポデューンを眺めながら心で突っ込む!

 それから半の時が過ぎた。雨は勢いを増すばかりだった!
(俺達の身体が左右、いや上下にっも揺らっされてる気が!
 地震みったいかな? いやここっは海だぞ! 大地と同っじ条件なのか?
 もういいっよ! こんな下らない事考えても埒が明くのっか!
 何で埒なんって言葉が出--)
「イソプー。今のん進路はあどんこに向かってる?」
「兎族の俺が海の事がわっかるか! つーか悩みすっぎてわかんなっくなってる
ぞ!」
「そうんか。イソプーでもわあかんらないか」
 その言葉を聞いてイソプーは改めてスポデューンを嘆く!
(いくらのんっびりな種族でもっさすがに良くないだろ!
 進路を決めかねてっちゃあ)
「ん?
 棟一様? うわああ!
 ところで何をさっれ、おうわ!」
 棟一は小舟の左舷中点を左手で掴んだ--同時に波が左へ揺らすと彼の身体
は掴んだ部分を中心に大きく上下した!
「グ! あ、なはあいてな、いな?」
 残った手で強打した部分を触り、空いてない事を確認。
 その後二名の方へ顔を向けて、こう言う!
「心配は用いなくて良い! 波の進路は徐々に北へと傾き、つつある。
 たぶん、だけど」
(たぶんっじゃ安心できないよ!
 でも無理を通すんっだから本当に向かっている気がしてっきたような?
 こんな俺でも楽観的っになれる日が来るっとは)
「何んかあ面白い事あったの?」
「やっぱり無理だっよ! 俺みたいな雄っはスポデューンの少ししった事で気に
すっるんだから!」
 イソプーの感情もまた現在の天候と同じように浮き沈みが激しい!

 それから二の時が経つ。
「雨、降らんなあくなったね」
「はあ、はあようやく御静まりなさいましたか!」
 今までの暴風雨がまるで本当ではないように海は穏やかになった。
「やったぞ!
 と、ところっで針路はどうなった?」
 イソプーはお日様の位置と自分達の影がどれくらいの長さかを確かめた!
「も、もしかしって北に進んだ?」
「ちょっと確認しんに海に潜る」
 そう言ったスポデューンは左舷の肩側より飛び込んだ。
「どうやらじ……いや俺はまだ死ねないな。
 あいつらの分まで生きると信じなきゃ」
「ど、どうゆうい--」
 突如としてスポデューンは甲羅状態で右舷の方向から小舟にとりついた!
「な、な、何事だ!」
 頭から尻尾まで勢いよく飛び出したスポデューンは身振り足ぶりしながら--
「じ、実はぎ--」
 最後まで言う暇も与えずそれは右舷より成人体型十の所に現われた!
(あわわっわ! ぎ、銀河連合! 剥き出してるっから正しすぎっるくらい銀河連合
だ!
 し、し、し、し、しかっも亀族の甲羅を着た牛族なんって!
 あいつら、らっは変だよ!)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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