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一兆年の夜 第百二十七話 終わりの始まり 五武将として(語)

 五月九十六日午前九時三十八分二十一秒。
 場所は真古天神武大陸藤原菅原地方鳳凰堂山標高成人体型百二西側。
 齢十五にして七の月と十日目に成る菅原ライデンは危機に立たされていた。其の相手は馬型。だが、前に戦った馬型と同じく砲撃戦に優れる。更には近接戦にも長けて尚且つ馬型である為に機動力の面で人族のライデンは苦手とされる。故にライデンは右腕一本だけの状態に追い込まれる。幸い、腕切断は免れる物の右腕だけでは全体の均衡が安定しない。
(唯一の勝機は速度が乗る前に奴の首筋に深い切り傷を与えれば出血多量で此方は優位に運べる。だが、速度が乗れないならば即座に超近距離でも強力な膝蹴りが待ち受ける。或は馬式山当たりと呼ばれる体全体を使った攻撃は人族の繰り出す山当たりよりも大地を蹴って大きな一撃を齎す。其の技を此の馬型が持っていないとも限らない。故に近接戦ではやはり俺みたいな人族には馬型と近接戦で有利に立ち回れる保証はないのか。
 かと言って距離を置けばやられてしまう。距離を置いた戦いを奴は繰り出す。だからこそ接近して来たんだ。だが……あの時と同じように此奴もあの馬型と同じ段階の強さなのか!)
 距離を置いた戦いで恐るべき戦闘力を発揮するからわざわざ砲撃戦が仕掛けられない距離迄近付く。だが、距離を削いだら待ち受けるのは遠い間合いからは体当たり、近い間合いからは馬型が得意とする膝蹴り及び馬蹴り、そして持参している可能性が高い山当たりと呼ばれる振り向き様に全体重を乗せた超近距離からの体当たり技……ライデンは其れを警戒--だが、警戒は馬型に付け入る隙を見せる……大地を蹴って体当たりを仕掛けに入る!
(しゃあない、距離は削げない代わりに足下にある石ころを蹴って奴の動きを少し乱しておくか!)
 そう考えつつも足元の小粒程の石二、三個を蹴り飛ばしながらもわざと体勢を崩すライデン。其れは同時に蹴り飛ばされた二、三個程の石にも目をくれない馬型の体当たりを薄皮一枚で回避する事に繋がった!
(今のは心臓に良くない。止まる寸前だった。あれを受けたら背後より成人体型凡そ五十より先は崖だ。其の侭、枝に体を突き刺さる程の落下をするだろう。全く頭ではこう想像しても実際の動きと合致しない事が多いよなあ!)
 そう納得しつつもライデンは旋回しながら再び体当たりを敢行しに来る馬型から一切目を離さない。離せば木陰に上手く隠れるか或は僅かに発生する霧に姿を隠しながら奇襲を掛けられる。其れだけに相手から目を離す事は自らの命の危機に晒す注意の無さである。
 そんな危機から脱せないライデンは二度目の体当たりを再び受けるのは其れとも回避するのかを迫られる。若しも後者を選ぶのならライデンは間違いなく勝機は訪れない。何故ならライデンの左腕には出血も伴う。其れは同時に彼の判断能力を低下させたりもする。後は痛みに依る衝撃症状が徐々に彼の肉体に波及する。其の為に後者は選べないライデン。後者を選べば例え回避に成功しても勝機を逃すという戦略上の問題に直面する。
 故にライデンは前者を選ぶ。賭けに出る程、追い込まれるのは死ぬ生命が良くやる事。だが、戦略に於いて準備期間の長さを銀河連合は用意しない。逆も又然り。其の為にライデンは馬型と戦う状況に追い込まれ、そして左腕がやられる。其れでもライデンは勝利を諦めない。勝利しなければ生き残れない……其れだけではない。勝利しなければ今後も此の馬型に依る犠牲者は増える事に成る。守る為にライデンは賭けを選ぶ。
(来たな、受けて立つぞ。但し……受けるのは、此れだあああ!)
 敢えて動かない左腕で馬型に依る凸から先迄体重を乗せた体当たりを浴びつつも吹っ飛ばされる前に雄略包丁で馬型の喉元に深く突き刺した--ライデンは後方成人体型四十五も吹っ飛ばされながらも左足の膝より下を小枝に刺させる事で何とか崖の下に落下するのを阻んだ!
「ハアハアハアハア……意識は、ある。だが、勝ったのか?」左膝下に刺さる小枝を根元ごと掘り起こしながら右足とまだ動く右手で体を動かすライデン。「イデデ……左腕の感覚が更にやばいな。其れに左足の膝から下が何か変な感じに、いや此れはやばいな!」
 そう口を出しつつも馬型の様子を伺うと其処には首に突き刺さって左に倒れて横に成る馬型の頭部に止めの一撃を刺す生命が一名。齢四十三にして三の月と二十八日目に成るエウク馬族の老年の姿が見えた。
「拝見しいいいいいたぞおおう、其処の若造。此の真島ポニー輝彦てるひこが君を後継者に選んでやあああるぞ!」
「……爺さんは誰だよ?」
「さっき紹介したああああんじゃ--」
 そうじゃなくて、何の後継者の話だ--ライデンにとって其れが気に成る情報だった。
「ああ、そうだった……じゃなくて左腕と左足が酷い事に成あああっているうううんぞ。急いで治療を受けないと将来が危うく成るぞおおう!」
 あ、そう思ったら……眠く、成って--緊張が解けてライデンの意識は暗闇に沈んでゆく。

(此の後、俺は全治三の月と宣告されたな。今後一切の戦闘行為を止めるように医者から言われたんだな。あの蛇族の医者からな。まあ、医者の立場からすればそうだろう。けれども、俺は今後戦いに出られないって知ると情けない話じゃないか。鳳凰堂山に落下した銀河連合の掃討は十分じゃないって時にこんなのは、よ!
 だが、まあ真島ポニー輝彦との出会いは俺に王を守る事の大切さを教えるきっかけにも成る。奴は五武将土の将さ。奴は馬型でありながらも遠距離戦が最も得意とする軍者らしく、其の精度は百発百中とはいかない。だが、奴の放った物部刃は必ず軍の勝利に貢献すると称される。故に相武そうぶ様に見出されて五武将の一将に成った。
 そんな彼との出会いは俺に新たな可能性を見出してゆく。其れが--)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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