FC2ブログ

一兆年の夜 第百二十六話 終わりの始まり 其の名はテンタウ(序)

 未明。
 未だに終わりが見えないライデンとニャレーダーの周囲。ニャレーダーはライデンの気を遣う。
「気にするな、俺は未だ死ぬつもりはない。けれども、時計は止まらない」
「止めて見せましたにゃ。だからこうして貴方にお話をしているにゃ」
「そうだな。一体何処迄……ああ、そうだ。今度は俺にとって唯一無二の親友でもあるあいつの話でもしよう。大丈夫だ、前に比べたら短い話に留まるつまらん話さ。其処迄長くはない」
 大体そういう時に限って話が長くにゃるんでしょ--ライデンが頭脳労働者の一面を持つ事を理由にそう皮の肉を指摘するニャレーダー。
(だろうな。昔から親父に『今日は昨の日に比べて早く帰る』と信じた為に其れよりも遅い時間に帰って来られると一体どれだけ満足し得ない感情が芽生えた事か。あの日もそうだったな。そして祖父さんもそうゆう日に限って帰って来なかった時があった。確か--)

 ICイマジナリーセンチュリー三百十年二月二月五十六日午前八時七分十一秒。

 場所は真古天神武大陸藤原菅原地方道真県第八北地区菅原ラディル邸。
 齢六にして六の月と十日目に成る菅原人族の男児である菅原ライデンは朝五時に起床して食事を始めとした家事を八の時迄に終わらせる。
「ごちそーさまあ」たった一名でも神様に感謝する心は忘れない。「ごちそーさまあはたしかかみさまにごちそうをありがとう、だったかなあ?」
 其れから食器を片付け、生ものを小さな体という条件の下で分けて行く男児ライデン。
(おとうさんだけじゃなくおじいさんもおそいなあ。なんでだろう、なんでおそいんかなあ?)
 齢六の男児にとって通常通り帰って来た身内が今回に限って帰宅しない場合は安心出来ない思いが募る。だが、ライデンは既に父が通常通り帰宅しない事を経験済み。故に一の週迄帰宅しない場合があってもそんな心境に成る事はない。寧ろ、自分の力だけである程度の生活の糧を得る手段を持ち得る。
 そんなライデンだったが、そうゆう思いの時間は僅か二の日位で済んだ--齢三十八にして六の月と十日目に成る菅原人族の中年が生後三日目に成る赤子を連れて帰宅してゆくのが見えた!
「おじいちゃん、おじいちゃんだあ!」ライデンは喜びを隠さない飛び跳ねるような走りをする。「よかったあ、てっきりぎんがなんとかごうにくわれているんかっておもったあ!」
「俺がそう簡単に食べられるかっての……其れよりも見りゃあわかる通り、少し大変な拾い物をしてしまった!」
「おじいちゃんのかくしごお?」
 オイオイ、歳相応の言葉しか覚えないようにしろよ--孫であるライデンが既にそんな単語を覚えている事に其のような返事をした後、溜息を吐く。
「まあ良い、迷宮の洞窟内である飛蝗族の坊や……だったか?」
「だった?」
「まあ良い。其の方が連れて来た赤子だったが、突然にして其の方が行方を晦ましてしまった。昨の日からずっと探していたんだが……今の日の朝に成ったので一旦、食事も兼ねて--」
「あ、おじいちゃん。そのひだりうでのきずはあ?」
 何、軽傷さ--尚、大分前の話では百獣型に左肩を噛まれて以降、一切動かなくなった旨の説明をした……が後にラディルはある名医の施術を受けて一の年より後に前に比べれば柔軟でないにしろ、動ける迄に回復した事を付け加える。
「それでそのあかちゃんは?」
「ああ、此れは大事な大事な借り物だ。何れ、元の方に帰す為に俺達が大事に育てなければ成らない」
「え、かえすの?」
 ああ、もう一度時の扉が開いた時に必ず--知っての通り、此の赤子が元の時代に戻る事は二度とない。

(俺がほぼ覚えていない歳頃の中で初めて弟の代わりが出来た。死んでしまった弟に代わって奴は元の主に帰すという期間限定的な意味合いで育てられるように成った。まあ最初はそんな借り物同然のあいつにどれだけ苦労した事か。直ぐに泣くなら未だしも尿を掛けたり、突然糞を出したりやりたい放題。喜びの動きでは俺と同じく歳相応に苦労させられた。其の癖、俺よりも早く物事を覚えたり未だやった事もない技術を模倣したり……正直背中を追っかける筈の存在が気が付けば先頭に立つ存在に変わってしまった。当時は奴の成長速度の速さに劣る様な感情が芽生えたのは確かに真実だ。
 まあ其の話は後にして先に話すべきは奴が言葉を覚え始める頃だったか? 二の年? 一の年と十の月? 其れが--)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR