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一兆年の夜 第百二十五話 終わりの始まり 青年はまだ終わりを知らない(終)

 十一月六十四日午前十一時三十二分四十三秒。
 場所は迷宮の洞窟地下十二階最北側。
 其処は新たに掘り進められた区域。だが、昨の日より前から突然現れた銀河連合の襲撃を受けて工事は中断。洞窟内の銀河連合を掃討しようと現地軍は奔走する--も未だ早期解決には要員が足りない。
(だから俺達十名で銀河連合共を倒しに来ているだろうが!)
 ライデンはレットこそ呼び出す事が実現出来なかった物の齢十二にして十の月と二日目に成る菅原猿族の少年菅原サル次を始めとした齢十三から十一迄の少年達だけで銀河連合掃討を図る。だが--

 午後三時一分四十八秒。
「何だよ、このし子型っは……ギャア!」
「サル次イイ!」サル次を始めとした少年九名は突然現れた獅子型ならぬ……「ウオオオ……俺が死ぬ訳にはゆかない!」百獣型に依って全員食べられた。「絶対に仇は……取ってやる!」
 ライデンは百獣型の攻撃を避け切れない。常に顔を狙う爪攻撃を躱す度に皮膚に僅かな出血を伴う。腕を裂く攻撃も本者が意識しない所で出血線が入り続ける。
(イヅッ……右腕に血が流れる)
 痛覚は後から来るのか、何かの衝撃が伝わる時に漸く気付く程にライデンは全身傷だらけで思った以上に出血している事に漸く気付く。
(躱し切れていない。俺はずっとあの獅子型……いや、正確にはサル次達を死なせたあの百獣型の攻撃を受け続けたのか。だとすれば何処が良くなかった?)
 ライデンは世間からすれば強くない生命。だが、己は強さを極めたと思い込む。故に何処が良くないのかを客観視出来ない。当然である。己以外の九名が死ぬような判断を簡単に下してしまう程に熟し切れない少年はいけない点を気付くには若過ぎる。
(此の侭じゃあ勝てない。何だよ、話が異なるじゃないか。こんな筈はなかった。俺は強いと思っていたんだ。レットに褒められるような強さに近付いたと思っていた。親父よりも賢くて祖父さんよりも強いと思っていた……なのに俺は液状型に乗っ取られた一般生命どころか、あんな百獣型に、に、逃げないと!)
 考える事も儘ならなく成ったライデンは背を向けて上の階に走ってゆく。だが、百獣型から逃げられない--天井をも蹴って跳んで来る其の身体能力の前に圧し掛かられた衝撃で右肩を脱臼する事に!
「あぐっつ……右の、痛みと同時に、感覚、が……」思った以上に叫び声を発しないライデン。「う、ぐ……い、痛い、よお!」
 百獣型は決して離さない。対象を喰らう迄、絶対に離さない。ライデンは自らの至らなさと熟し尽くし足りない部分を此処で漸く痛感。だが、痛感するとより一層恐怖は襲い来る。既に恐怖に依って怒りは逃避行へと切り替えたばかりのライデン。だが、余りにも巨大過ぎる恐怖感は時として父の死で意識を失ったライデンと同じような状況を生み出す。そう、ライデンは木を失った。そして--

 午後十時五十九分四十一秒。
 場所は迷宮の洞窟入り口前。
 気が付けばライデンは外に出ていた。目の前にラディルが居る中で!
(祖父さん? 何故俺が?)
 ライデンは血塗れなのに自らの状態が自棄に熱を帯びて、然も周囲が冷ややかに感じるのを理解してゆく。其れから如何して祖父が目の前にいるのかを一瞬では考えが浮かばない。だが、一瞬を超えた時に漸く……「そうか、俺は意識を飛ばしている間に祖父さんに助けられたのか!」と自らの至らなさと熟し足りなさを痛感し、悔いた!
「いいや、少し異なるぞ。お前は自らが意識をしない内に……ライデンンン!」
 え--後ろを振り向くと其処には血塗れの百獣型が今にも首を抉り取らん勢いで振るではないか!









 未明。
「話は其処にぇ終わり?」
「ああ、祖父さん、そして親父との思い出は此処で終わる。此処から先は無二の親友であるレットとの出会いと奴との下らない友情のお話さ。あいつが来てから俺は祖父さんが来る迄一名で居る事もなく成った。時にはあいつのお締めを変える度に苦労した思いでもあったかな?」
「あにょう、ラディルさんの最後にゃ?」
「既に語った以上の事を如何してやるんだよ。そうゆうのはあんまり好きじゃないな。兎に角、俺の物語は気紛れだから何が飛び出してくるかわからないぜ。時にはかなり大昔の話も来るかもしれないからな。覚悟しとけよ、短くも長い俺の物語を!」
 未だ時間は止まった侭……同様に未だ此処へと至る物語が始まる気配もない!

 ICイマジナリーセンチュリー三百十一年十一月六十四日午後十一時二分零秒。

 第百二十五話 終わりの始まり 青年はまだ終わりを知らない 完

 第百二十六話 終わりの始まり 其の名はテンタウ に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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