FC2ブログ

一兆年の夜 第十九話 遅かれ早かれ(三)

 八月十九日午前五時一分八秒。
(ようやっく見えたぞ! 後数十の分を漕げっば鬼ヶ島の第二西岸へ辿り
着っける。もう少っしだ! もう……え?)
 イソプーは小舟と鬼ヶ島の間に浮かぶ何かを発見。
(あれっは? 人族? なっのか? くそ! 俺がもっう少し力があったら!)
 自らの力の無さを悔いながらも彼は浮かんでいる者の近くまで小舟を近付けた。
「オーイ! 聞こえってるかー! 聞こえてるっなら返事してくれー!」
「う、ガワバ!」
 人族らしき者は意識が朦朧としており、そのまま海の底に沈もうとしていた。
「こ、これは大変っだ! ス、スポデューンを起こさっねーと!」
 イソプーはすぐにスポデューンの身体を揺さぶる!
「起きっろ、スポデューン! 俺じゃっあ海に泳げない! だかっら起きろ!」
 スポデューンは計十五回揺さぶられてようやく起きたが、寝起きの為なのか状況
をすぐに理解できない。
「な、何……あんれえは?
 た、た、大変だあん!」
 目の前に沈みかかっている者を見たスポデューンはようやく理解し、急いで海へ
浸かった--蝸牛よりも遅く!
「いくら陸上で遅っくても海の中なっら速いはず!」
 イソプーの言葉は真実であった--スポデューンは海に浸かると瞬きもしない内
に溺れた者へと近付き、背負い込んだまま小舟に戻った!
「うんしょっお!
 だ、大丈夫っか君!」
 齢十七にして十日目になる人族の少年を引き上げるとすぐに体中を揺らさない
ように触った!
「うう、あ、らた、ど、の。じ、じぶんは、ああ!」
 どうやら少年は夢でうなされているようだ。
「イソプー。夢で魘さあれんているという事は揺らあしんても大丈夫じゃんなあいで
しょうんか?」
「じゃあ揺っらすぞ!」
 イソプーは少年の両肩を掴むと上下左右共に合計七回揺らした!
 すると--
「んん? だ、誰だ? こ、ここは?」
 少年は親指の太さに等しい眼をゆっくりと開けて二名に視線を配る。
「だ、大丈夫っですか?」
「えっと『大丈夫でっすか?』かな? 似てた?」
「あんのお? それんはイソプーの真似をしいてんるの?」
「腰を砕けて良くなかったな! ここは自己紹介から始めないとな!
 俺の名前はエ……いや神武族の長である人族天同棟一と申す!」
 その名前を聞いた二名は驚愕のあまりそれぞれ二歩ずつ後退し、その場で
土下座した!
(て、て、天同棟一! 俺はとんでっもない御方を引き上っげてしまった!
 あ! 引き上げったのはスポデューンだ! ってそんな事はどうっでもいいんっ
だよ!)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR