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一兆年の夜 第百二十五話 終わりの始まり 青年はまだ終わりを知らない(序)

 十一月六十四日午後七時一分四十七秒。
 場所は菅原ラディルの自宅。
 第八北地区にはライデンの父ライゼルが建てた木造建築もあれば昔から改築を繰り返して使い慣らすラディルの木造建築もある。ライデンは昨の日に銀河連合の襲撃を受けた事をきっかけにラディルから家に戻らない場合はラディル邸で寝泊まりするように言われた。
「ごちそう、さま!」
「有無、御馳走様」昨の日の夜中にライデンを救出した祖父ラディルは孫の作った料理を美味しく戴いた。「此の歳でこんなに美味い料理を作るなんて……俺は幸せだ!」
「おとうさんがずっとかえらないひがつづいたからぼくがためしにつくったんだよ。おじいさんがおいしかったらそれでいいよ」
「ライデン、あまり難しい言葉を使う可からず」
 それ、おじいさんのくちなんとかせだよ--単語が未だ熟し慣れない一名の孫は必死に表現する。
「はあ、ライゼルがもう少し稼ぎに焦らなければ孫息子の世話を任されずに済むのに」
「そうゆうおじいさんはなんでなんとかぶそうをいんたなんとかいしたの?」
「引退、だな。此の歳で引退するのは一昔では珍しい事ではない。おっと、星々を眺めたいか?」
 うん、さくのなんとかびもみたね……みたいみたい--ライデンは既に星を見るのが好きに成った。
「ではお祖父ちゃんに付いて来なさい」

 午後八時三十分四秒。
 星々を見て興奮する幼きライデン。そろそろ子供は寝る時間。ラディルはライデンを寝かし始めようと次のように声を掛ける。
「そろそろお父さんも帰宅した頃だろう」
「ううん、おとうさんはこんなじかんにかえらない」
「いや、もう遅い訳だしライデンも眠たいだろう?」
「ぜんぜん」
「いや、俺は良いんだよ。大人は寝る時間も遅いし、睡眠時間……ううん、と--」
「そのすいみなんとかんじかんってなあに?」
「其れは五時から寝て十時に起きたら五時間の睡眠時間さ。だが、一般生命にとって健康的なのが大体五時に寝て十二時或は十三時迄--」
 じゅうさんじなんてないよ、おじいちゃん--ライデンは未だ午前と午後を掛け合わせた時間の概念を知らない。
「オホン……まあ兎に角、歳を摂る程に寝る時間も短くなる。反対に言ったらライデンみたいな子供は幼い程睡眠時間が欲しく成る。だからそろそろ家に帰って--」
「じゃあおじいさんのところでねるー」
「其れじゃあライゼルに後で何を言われるかわからないんだ、済まないね」
「おとうさんはいいよ。いえにかえるのがおそいおとうさんが……あ!」ライデンは流れ星を見た。「わあああ、かっこういいいいい!」
 子供にとって流れ星は願い事を叶える格好の良い物。だが、大人達にとって其れは顔を険しくさせる代物!
「ねえ、いっつもながれぼしみるとおこったようなかおするよねえ」
「あ、ああ」直ぐに取り繕った笑顔に成るラディル。「じ、実はお祖父ちゃんも喜んでいるんだよ!」
「うーん、よろなんとかでいる? ほんとうにー?」
そ、そうだよ。はははは」
 うーん、おとなってわからない--幼いライデンにとって流れ星がどれ程恐いモノかを知らない。

(あれが恐いモノだって感じるように成ったのは……どれ位からかな? そっから先は記憶の海に落としてしまった。俺は気が付かぬ内に祖父さんがあんな顔をした理由に気付いてゆく。年齢を重ねる度に如何して大人は隠し事が好きなのかと怒り苛立ち、悩んだな。其れは十三の時だったか? レットと顔を合せなかった日の内の一つだったかな? 祖父さんと激しく喧嘩した時だった。其の喧嘩は今でも俺の心を締め付ける……あの時、俺が爺さんに当たらなければ--)

 ICイマジナリーセンチュリー三百十一年十一月六十四日午後十一時三十二分一秒。

 場所は真古天神武大陸藤原大中臣地方迷宮の洞窟入り口前。
「祖父さん……何で俺の為に、俺の為に駆け付けたんだよ!」
「可愛い孫を、可愛い……グフッ!」ラディルは腹部に貫通した何かを抜こうとしながら俯せに倒れた。「ガッグ……ハアハアハア、抜け、ない」
「そ、そんな事よりも……お前が、お前があ!」
 ライデンは雄略包丁を抜いて背後からラディルを貫いた熊型に突進してゆく!
「絶対に許さないぞ、銀河連合ウウウウ!」

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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