FC2ブログ

一兆年の夜 第百二十五話 終わりの始まり 青年はまだ終わりを知らない(初)

 未明。
 場所は不明。だが、周囲は赤黒く染まった世界。空も海も周囲の大地も全て一般生命にとって見るに堪えない。なのに二名の生命が其処で話を始める。
「菅原ライデンさんですにゃ」齢二十九に成ったばかりの謎の猫族が齢二十五にして十一の月と二日目に成る菅原人族の菅原ライデンに尋ねる。「もう直ぐ周囲は貴方を圧迫し、跡形もなく喰らうでしょうにゃ。にゃのに如何して平気ですか!」
「ゲホゲホ……既に俺は致命傷を受けて無事じゃない。なのに」ライデンは其の女性がある何かを使って周囲の時を止めている事に不思議がるライデン。「俺の知識に依れば時を止めるって同時に空気が凍り付き、俺だって震えて寒がっていてもおかしくない筈なんだけど?」
「ええ、実際の常識ではそうにぇす。あらゆるモノは時を止める際に凍り付くモノにぇす。でも……あたしの時代では凍り付くという問題をある方法を用いる事で常温の状態で時を止める事に成功しにゃした」
「成程、俺が残り少ない命だから寒さを感じない……訳じゃないか。だが、どれだけ保つのだ? まさか俺がくたばる寸前迄時間を止める事が出来るのか?」
「時が動き出すのにゃ……ライデンさんの命が尽きるほんの少し前です。其れは長話をするには十分過ぎる程、貴方は語る事が出来ますにゃ」
「何と都合が良いか……まさか世界観補正にも訴えて如何にか時を堰き止めているのか?」
「正解ですにゃ。未だあの恐るべき銀河連合の侵食が未だ始まらない昨今でありますにゃ」
「何だそりゃあ?」ライデンは其の女性が銀河連合について其の先迄知っている事を察する。「如何ゆう事だ、えっと名前は何て言うんだ?」
「時間旅行者のニャレーダーですにゃ」
「其れでニャレーダーさんよお、あんたが若しも時間旅行者だからってあんまり此の時代に後の時代の知識を運ぶのは良くないんじゃないか?」
「大丈夫ですにゃ。だって貴方は既に想念の海にあたし達の時代の知識を運んでゆくのですにゃ。仮にあたしが此処で貴方に情報を与えてにょ与えた事実さえも世界観補正は矛と盾がぶつかるから結局伝わる事が無く成りにゃす」
 成程、時間旅行の矛と盾だな--ライデンは此処で在りし日の事を思い出す。
(そう言えば昔、祖父さんが生きていた時だったな。俺は当時、親父の帰りを待つのでついつい--)

 ICイマジナリーセンチュリー三百九年十一月六十三日午後八時三分一秒。

 場所は真古天神武藤原大陸大中臣地方道真県第八北地区。
 一階木造建物の出入り口にて齢五にして六の月と十四日目に成る菅原ライデンは自分で作った夕食を食べ終えて父の帰りを待ち続ける。
「おそいなあ、おそいなあ。いつになったらおとうさんかえってくるかなあ?」アマテラス文字を熟すには未だ未だ幼いライデンの言葉は歳相応に幼い。「きっとああしてばっとやっているんだよ、きっとだよ」
 だが、子供は論理を理解する能力がない代わりにわかりやすい表現で父が帰らない理由を探る。そうすると必ず……「きっとぎんがなんとなごうのせいだ」に至る--銀河連合も何でもかんでも理由付けの対象にされては立つ瀬もない。
 そんな風に考える内に何かがライデンの家に近付く。気配を察知したライデンは振り向いて直ぐに……「お、おとうさん……じゃない」血の気が引く--わかりやすい其れが本当に現れると子供は案外恐がる!
 そして、尻餅する。尻餅すると何としても動こうとして服を汚してでも後ろに下がる。後ろに下がるのを本能で疲れる作業だと気付けば背を向けて膝部分を塗れた土で汚しながら前のめりした状態で走り出す--均衡が良くないので直ぐ顎から倒れて俯せの状態で暫く上体を起こすのに時間を掛ける。
 上体を起こし終えて振り向くと其れは大きな口を開けて食べる準備に入る。当然、ライデンは悲鳴を上げる--そして……大きな口を開けた其れは頭部を貫通する何かを突き刺されて血を流しながらライデンの左手側に凭れるように倒れた!
「間に合ったわ、全く」齢三十七にして六の月と十四日目に成る菅原人族の中年がライデンの元に走る。「後少し遅かったら初孫を死なせる所だった!」
「あ、あお、お、お……おじいちゃああああん!」
 ライデンは祖父と思われる中年の所に態勢が崩れそうな状態で走って飛び込んでゆく……

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR