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一兆年の夜 第百二十四話 天地相為す そして天同相武は赤き革新者と出会う(十)

 八月六十一日午前零時三分一秒。
 場所は巨大島型銀河連合第八南東側。
 最早学問の島と謳われた仁徳島はもう存在しない。其処に存在するのは学問すらも喰らう食欲の塊--銀河連合は応神諸島に於ける戦いを想定して船から出て来た突入部隊の面々に次々と特攻を仕掛ける!
 其れは最初の十の分の後に十五隻あった巨大船を七隻迄減らす程の被害を与えた。そんな中で相武が乗る巨大船は一名の頂点に近い鬼族の雄に依る獅子奮迅の戦いに依って未然に沈没を防がれる!
(何処が衰えが激しくてまま成らない肉体だ……市の一歩手前に成ると一般生命はああ迄強く成れるというのか!)
 間近に見た相武は改めてザルノスケは壮絶な生命だと感じた!

 六十四日午後十時二分一秒。
 場所は巨大島型第二中央拠点型第五区域。
 相武とザルノスケだけと成った精鋭。其れは決して他の五武将が命を落としたからではない。二名だけである拠点型内部に潜入を果たした後。既に相武もザルノスケと同様に頂点に近い程、経験値の高い生命であった--其れも切り札である新仙者の能力を残した侭で!
「相武様、無理為さらない照下さい、此処科羅先端俺一名妥化照全て於蹴散らすつもりです!」
「其れをそっくり其の侭お前に返す」既に皮の肉を返す術も身に付けた後の天同相武だった。「懐かしいなあ、此の左腕に今も生き続ける翔和と共にこんな所迄潜り込んであの新心臓型と戦った記憶が!」
「そうです祢……斗思った矢先似」ザルノスケは目が見えない……「フフ……感じる曾、久しい那亜」自らの視力に死へと追いやった何かを視つめる。「見て下さい、相武様。いきなり……相武様乃命於お守りする似端荷牙重過ぎる相手斗凡そ二十数乃年ぶり似戦いましょう科!」
「如何やらお前は戦場で死ぬには相応しい相手と最後に戦えるかも知れないな」
 戦場? とっくの昔に諦めた--ザルノスケは晩年に成って漸く養子を貰い、老後の楽しみを得た後だった!
「オイオイ、ずっと口癖のように言って来たのに……まあ、其れもお前の勝手だろうな」
「亜亜……妥牙、強い。俺模決死乃覚悟於決める時牙来た」次は己の番……「翔和様、菅原ライド、ソレイユ十九代、メエジン・メヒイスト、カバジン・ジョンソン、ワンダロー、菅原カン十郎、ヤマビコノアリゲーデン……全く俺依り先於越しやがっ照!」だが、其処には恐怖心はない。「漸く俺端俺自身似決着於付ける時牙来た!」
「倒せるか?」
「其れ端……やってみなけれ芭わからん事です那亜亜!」
 ザルノスケは心臓型指揮官型と数瞬も打ち合い、そして……金棒が吹っ飛んだ時--其処には立ったまま肉の塊と化したザルノスケの姿を相武は見た!
(ザルノスケ……何も言うな。お前は勝てなかったのは決して恥じる事ではない。良く見れば心臓指揮官型の全ての隠し腕が全く使い物に成らないほど赤く染まっているのが見える。そうだろう……お前はそうゆう奴だ。決して老いのせいで勝てなかったのでは……ない!
 だから其れを活かす為にも私は……久方振りに力を解放する!
 涙が流れる時、相武は眼だけでなく肉体全体迄新仙者の状態にしたまま、其の指揮官型に向かった。最初は抜かない神武包丁で隠し腕が使えないとは言えども防戦一方の相武!
(ザルノスケが隠し腕を全て潰すしかない状態だったんだ。幾ら新仙者でも戦闘の際が乏しい私では……押されるだけか!
 ……だからって俺と翔和が共に過ごして来た時間は、こんな物じゃない!)
 一瞬出来た隙を見付けるとわざと両膝を崩した状態からの右手の力だけで指揮官型を吹っ飛ばす。まさか自分達だけが出来る心の隙間を衝く戦法を模倣されて指揮官型は一旦下がりつつも暴れるように相武の周囲を回って集中砲火を浴びせて行く!
「確かに読めない。先程迄と違って動きは既に考える事を捨てた……だから如何したか!」相武は柄で指揮官型の顎を強打させると抜き放ち……「貰った……何!」だが、指揮官型は白刃取りで致命の一撃を防いだ。「ハアハア……こう成れば、あれしかない!」
 相武はある方法に全てを懸ける事にした。神武包丁はやがて叩き折られる。如何ゆう風に折られるのかは相武にはわからない。
(……ニャレーダーとの出会いがなければ私の人生は如何成っていたのか? だが、地同翔和と出会った運命だけは変わらない。常に天地相為してずっと生きて来た。彼の重い物も背負って生きて来た。時には彼から受け取られた物に耐え切れずに死に掛けもした。ずっとずっと私は強くない侭に此処迄辿り着いた。そして私の人生は此処で終わりを迎えようとしている……のか?)
 一瞬、相武は走馬灯が流れるのを躊躇う。此の日の為に生き続けるのが己の使命なのか? 相武は其処で考える。だが、時間は刻一刻と己を棄権へと晒してゆく。
(罅を起こしている……もう直ぐ、叩き折られる。此処で対処を誤れば私はザルノスケの元へと向かうだろう。今迄借りて来た翔和の左腕を返還する時が来る……だが、違う!
 私はザルノスケに託された……此処で指揮官型を倒すとな!)
 相武の肉体を放出する光は青から蒼に変化を起こし、其れは神武包丁が砕けると同時に--相武の左腕に信じられない力を乗せて指揮官型の生命線を粉砕する一撃必殺の手刀を繰り出す事に!
 其れは間一髪……相武は三撃も指揮官型の攻撃を受けた。出血量は無視出来ない程に。だが、勝ったのは……天同相武--指揮官型は仰向けに崩れ落ち……奈落の底へと突き落とされてゆく!
(終わった……最後に翔和から与えられた左腕を、左手の骨を粉々に砕いてしまった。やっぱ……成れない事はする物じゃないな。特に仙者と言えども、老いた骨で手刀なんてやっちゃいけない事だよな……なあ?)
 其れから拠点型は崩れ始める。其処に相武を救出する生命は一名も居ない。全員、拠点型が崩れ始めると一目散に外へと出た後だった。相武を助けようと中へと入ってゆく生命も居たには居た……だが、崩落中の拠点型の肉塊の下敷きに成ってゆく。一体どれだけの軍者が下敷きに成ったのかを知らぬままに相武は意識を暗闇へと追いやってゆく。
「……本当に其れで良いのですか? やっと見付けましたよ、相武様。今度こそ、私の事を……と認めて下さいね!」

(其れは誰なのかはわからない。声は確かに彼女の様な気がした。だが、若過ぎる。彼女は生きていれば齢四十過ぎでないと説明が付かない。故に私は最後迄其れを彼女だと認める事が出来なかった。
 其れでも目を開けたら私を見つめるラディルを始めとした五武将の生き残りと再会を果たした。勿論、左腕も施術が早い御蔭で万全とはいかない迄も三の月もあれば元通りに戻った。まだまだ翔和との付き合いは続くみたいだ。
 そして--)

 ICイマジナリーセンチュリー三百十年二月六十日午前十一時一分三十八秒。

 場所は真古天神武藤原大陸大中臣地方道真県第八北地区。
 齢六十二にして六の月と二十三日目に成る天同相武は既に視力も陰りが見え始めていた。既にあの戦い以来、新仙者の能力を使う事も出来ない程、衰えは進行していた。其れでも相武はそうとは感じさせない程の振る舞いを見せて周囲を驚かせてゆく。
(ラディルからの頼みで私は此処迄来た。ある赤子こそがひょっとしたら天同家と縁があるのではないかと頼まれたとあればな。だが……おや?)
 やあ、そうぶさまあ--齢六にして六の月と十四日目に成る菅原人族の男児である菅原ライデンは幼いながらに必死で相武を案内してゆく。
「変わっているね、君は」
「えへへ、ぼくってできてるのかな?」
 ああ、出来ているさ--其れから相武は三十九の年ぶりにライドの自宅を訪ねる。

 午後零時三十二分一秒。
 場所は一階建て木造建築。相武が前に訪れた其れよりも既に三度も再築が為され、今では少しの大地震では崩れない耐震構造を実現した。
「此れから私はある赤子を紹介する」齢三十八にして六の月と十四日目に成る菅原人族の中年……「はあ、最近じゃあ新基準が設定されて此の歳でも中年扱いされるように成ったなあ」つまり昔は老年だった年齢に達する元五武将の菅原ラディルは驚きを隠せない。「今は俺と共に引退の身であるエリフェアトゥもいきなり老年から中年に若返って驚きを隠せないからなあ!」
「其れは良い……本当にお前は迷宮の洞窟内で例の赤い瞳をした赤子を拾って来たのだろうな?」
「ああ、紹介するよ。オイ、ライゼル!」
 急かさないでくれよ、親父さん--齢二十二にして六の月と十四日目に成るラディルの第一子ライゼルは生後七日目に成る赤子を抱えてやって来た。
 相武は其れを見て何か雷のような物が走ってゆくのを感じた!
『--おっと以上だ。此れが行方知らずだったもう一名の天同と出会う迄の物語さ。何か
此処で終わりを迎える事に服しない思いの読者も存在するだろう。だが、此れ以降は少し
話が異なる。如何にも私の視点からでは真古天神武の終わりを描くにも無理がある
みたいだ。如何にも彼の視点も必要に成る。
 そう、此れから彼に手綱を渡そうと思っている。では此れで--』

 未明。
 既に余命幾許もない相武は吐血が続く。其処へある青年が尋ねる。
「相武……なあ、相武」
「呼び捨てにするなって言っただろうが、レット。幾ら血縁上は遥か先の叔父でもお前の方が若い」
「そっちじゃない。やっぱり相武を置いて俺様は新天地に向かえない!」
 いや、向かうのだ……お前こそが全生命体の希望を繋ぐ鍵だ--相武は青年レットの背中を強く念を押した!
「もう親友も死に、俺様だけに成ってしまった。五武将も全員死んでしまった。俺様がもっと力を持っていたら--」
「生命は何時か死ぬ。其れにどれだけ優れた仙者でも全てを守り抜く程……お前は豪いのか!」
 クウ……全く、相武は俺様に何時もそう言って--其れを言われる度に返す言葉が見付からないレットだった。
「良いか、生きろ。そして新天地で再起動するのだ。其れが私の遺言……命懸けで実現するのだ、レット・テンタウ!」
「ああ、全くもう何を言っても聞きそうにない」レットは背中を見せながら次のような言葉を相武にぶつけて走る。「だからもうあんたは其処で死んでいった者達と一緒に過去の産物に埋もれていれば良いんだ……畜生!」
 レットが去ってから一の時より後……銀河連合の雨は遂に相武が潜伏するある場所に向かって--

 ICイマジナリーセンチュリー三百十年二月六十日午後一時零分零秒。

 第百二十四話 天地相為す そして天同相武は赤き革新者と出会う 完

 第百二十五話 終わりの始まり 青年はまだ終わりを知らない に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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