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一兆年の夜 第百二十四話 天地相為す そして天同相武は赤き革新者と出会う(六)

 八月四十日午前一時二分十八秒。
 場所は真古天神武首都ボルティーニ第四北地区新谷深夜酒場。
 かつて地同翔和が相武に対してやってしまった事に心を痛めた時に通った酒場。店主は齢四十一にして五の月と九日目に成るボルティーニ豚族の老年新谷ブタ重兵衛。ブタ彦の第一子に当たる白髭が目立つ老年だ。彼は齢四十三にして八の月と三日目に成る神武鬼族の老年と菅原カンガルー族の中年の注文に応えて盃に入れた酒を滑らせる。其れを手或は足にとって飲み口を傍に近寄らせてゆく二名。息の合ったかのように一口飲んで盃を机の上に置く姿は信頼関係がないと実現出来ない光景だった。其れから二名は静かに語り始める。
「白状すると言葉ガ見付カラナイ、其れだけだ」
「やっと話すよう似成った那、カン十郎。余り似模心身辺乃影響科羅本当似口牙利けない生命似成った乃科斗思った曾!」
「酒が俺ニ話スヨウ命ジテ来たんだ。」そう言って再び盃に足をやり、一気に空にすると意地を主張し始める。「酔いが醒メレバ何時モト同ジヨウニ誰トモ口ガ利けない生命に成るさ」
「親父さん、もう一丁」尚、此の店の主であるブタ重兵衛は何時の間にか常連客達の間で親しみを籠めて『親父』と呼ばれる。「今日端早起き模出来ない位似呑む是!」
 注文打ち切りは二の時だぶ--尚、閉店時間は最長で午前三時から。
「良いノカ、俺ミタイナ奴ニ付キ合って?」
「既似初期乃五武将端俺妥化似成った。幾ら後継者牙集まった所照五武将乃目的牙相武様於最後摩照お守りする斗いう使命於忘れてしまって端意味牙ない」既に一杯目を飲み干し、誰よりも早く二杯目も飲み干したザルノスケはガン十郎にある事を託す。「妥科羅お前端必ず俺より模生きろ。俺端後十乃年命妥牙、お前端摩妥摩妥大丈夫妥。良い科、生きる乃妥!」
 へ、敵ワナイナ--カン十郎は二杯目の時点で酒を止める事と成った。

(ザルノスケが酒に付き合ってくれたお陰でカン十郎は徐々に元気を取り戻し、後期五武将の一将としてザルノスケと共に引っ張って行く形と成る。因みに中期と同様に後期も一時的に顔触れは変わりやすい。だが、其れでもメエジンやワンダローが死んだ事で中期五武将は終わりを告げて此処から後期五武将の時代へと移り変わる。ザルノスケとカン十郎、そしてヤマビコノアリゲーデンは中期から引き続き将として任される。
 問題は歯抜けである火と木を誰にするかで討論された。確かザルノスケがカン十郎を酒に連れて行ってから一の週より後の日だったな。寒い時期には如何しても心身共に活動が鈍化しやすい。そんな時に最高官であるあの雄はある事を閃いたな!)

 八月四十七日午後三時四分一秒。
 場所は中央官邸二階会議室。
 必ずしも五武将の事で会議する訳ではない。だが、相武は残り二名の代わりを求めて試案に耽る。
(沖田スラ冬至は正に火の様な生命であり、あの速度には誰も敵わない……が、其れは空戦に於ける話であって全体的な印象では彼は守りには向かない。依って外そう。ワッシェジェーンは火のように炸裂した戦法を得意とする雌。だが、惚れっぽいのは余りにも守りに向かない。雌故に如何しても雌の特性が任務を熟すには向かない場合もある。其れが雌雄の差と呼ぼう。どれだけ雌が雄より強かろうとも最終的に本能に傾きやすい雌では限界が来る。
 ウウム、火の将の代わりが中々決まらない。木の将はあいつに決まった。確か菅原ラディルだ。ライドの孫に当たり、望遠刀の腕も奴譲りだ。違いは何方かと言えば戦術家で時として戦略的な提案も試みる。だから私としても助かる。奴ならば代わりは十分に務まる、とな!)
 木の将である菅原ラディルは後にある生命と出会い、其れが今回の物語の鍵に成る。其の話に入る前に先ずは残り一将は誰にするかである。
「相武様っち? 相武様っち?」
「……」
 相武様っち、まさか……集中為さっているのですかっち--齢二十九にして九の月に成ったばかりの若くして最高官に就任したクレイトス鼬族の青年イターバ・ボランロウディは大きな声でそう呼ぶ。
「わっ……何だ、イターバか。もう承認の時間か?」
「いえっち、承認為さらなくとも会議は順調に進んでおりますっち。ですがっち、今度もやはり上手く進みません弟子たっち。やはり世の中の動きに対応出来るだけの技術力を我々は持ち合わせていませんっち」
「そうだよな。其れで会議はまだ終わりの時間じゃない筈だろ?」
「終わったも同然ですっち。後は福祉費の下方修正をしたいにも結局っち、福祉費は増額の一方ですっち。最大の公約である福祉費の下方修正が如何にも出来そうにありませんっち」
「真古式神武も確か末期の頃は福祉に重きを置き過ぎて軍事費に回すお金が流れなかったとは良く聞くなあ。然も福祉費は下方修正すれば此の民主主義が反映しやすい真古天神武では直接的に福祉を大事にする政党に勝ちを譲る事にも繋がるそうだったな」
「ええっち、生活が何よりも大事ですっち」
「ああ……待てよ!」
「どうなさいましたっち、相武様っち?」
 有難う、福祉と聞いてある雄を思い出したぞ--イターバを抱きしめる相武であった!
『--そうして選んだのが武内山羊族のエリフェアトゥだ。彼は決して武に優れた軍者
ではない。主に情報部門に精通する情報員。だが、その正確なる情報力は終期五武将
でも大いに活かされた。彼が居なければ私は早期に銀河連合の雨に潰されていたし、
此処で日記を記す事も無かろう。
 おっとそろそろだな。だが、まだある三名の雄の最後を記していない。中期から後期、
そして前期から後期に掛けて活躍した三名の将はやがて終わりを迎えて行く。其れに
ついて私は記す義務がある。でなければ彼について執筆するなんて有り得ない。そう、
彼へと繋がる物語として先ずは今迄私の為に命を懸けた者達の最後を見届けねば
成るまい。
 最初はやはりザルノスケに託されたある雄の話からだ。其れは--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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