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一兆年の夜 第十九話 遅かれ早かれ(二)

 午後二時二分二十二秒。
 場所は麁鹿火海。岸辺との距離は成人体型三十に満たない。
 二名は一旦漕ぐのをやめて、昼食をとっていた。
「--にしてもスポデューンは遅っいな。亀族って陸上では遅っく走るのか?」
 イソプーは両前足で鬼ヶ島人参を掴み、自分の眼より面積が大きい前歯で噛み
ながら質問した。
「遅いんとおいうのんは礼に欠けえるん言葉だよ。だいんたい走るこおとんは亀族
の雄にん相応しくなあいんよ」
 スポデューンは麁鹿火海草一本を一口で平らげた後に答えた。
「その豪快な食べっぷりが足の速っさに比例すればいっいのに」
「そうゆうん君こんそお慎重に食べるんと比例して沸点が高けえれんばいいのに」
「俺は、いや兎族は代々恐がっりの集まりだっから仕方ないだろ?」
「その恐がんりいの原因を作ったんのがあの--」
「皆まで話っすな。これもまた運ばっれし命だと俺は今でも思うっんだ!
 銀河連合っから俺達が逃げらっれても生命体全員まで逃っげられないのと同っじ
ようによ!」
 銀河連合--その存在は個者だけの関係ではない。生命全てが代々深く関係
する鏡越しの存在である!
「まんさあかと思うがイソプーはどんのうみち死ぬんのも運ばれんしい命だと言うん
じゃあないんのかな?」
「誰が死っぬか! 俺は生き延っびれる! 何故なら足が速っいんだからよ!」
「速けんれば生き延びんらあれるとは僕は思わあなんいが」
「そうだっけど、何事も速いに越っした事はないと思うっが、どうだ?」
「速さんに併せえてん持久力があんればどうんだろう?」
「うっ! 良くっないか? 疲っれやすいのが!」
「うん」
「『うん』はないっだろ!」
 二名は「緊張」という糸はない--むしろ心は落ち着いていた!

 午後十一時零分十一秒。
 岸辺との距離は成人体型九十未満。
 スポデューンは明くる日の二になる時まで漕ぎ続ける。筏を操る術は決して速く
ない。反面、力はあった--その為、小舟の速度は緩やかにそして力強く目的地に
着こうとしていた!
 そんな様子を見て、イソプーは--
(唯一俺がスポデューン・スポーンに譲っる部分と言えば、小舟を力強っく、そして
速く動っかせるか、だな。あれだっけは俺の力では前に進っめん上、力はこの通り
ない。そうゆう意味じゃあいつの言い分を認めっる日が来るのっかな?)
 そんな考えをしながらイソプーは両眼を閉じ、二十の分より後に夢の世界に誘わ
れる。
 彼が目覚めるのはスポデューンが起こしに来てから二十の分より後であった。
(スポデューンの奴はっすやすやと!
 ああ、重ったい! 一名っだけでこんな重たっい筏を操れるっんだから亀族の力
強さを腰砕けっに出来ないぜ!)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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