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一兆年の夜 第百二十四話 天地相為す そして天同相武は赤き革新者と出会う(五)

 午後五時三分二十七秒。
 場所は大樹型中核。
 大樹型を構成する核型銀河連合が其処にある。だが--
「相武様、一旦下がりましょオウ!」齢三十にして三十日目に成るアンモ熊族の中年にしてサッカス地方担当の前線司令官クラッサン・グリーズは提案する。「核型がまさか拠点型同様に融合しているとは予想だにしなかっタア!」
「ああ、植物型なら兎も角--」
「はい、相武様ー。参謀型を参考にしーて何か気分良い物じゃない音を発していまーすよ!」
「おまけに何度モ切リ裂イテイルノニ医者型ミタイニ何でも執刀して縫いやがるからな。やってラレッか!」
 ああ、一旦下がろう--メエジンの言葉を思い出す様に相武は勝つ為に敢えて安全圏へと避難してゆく。
(たった十二名だけに成ったな。突入時は五十三名程で来たのに……もっと状況が此方にとって良くない事ばかりに成るとそろそろ原子望遠弾を使う時が来るのかも知れないな。其の時が来れば、の話だが!)

 午後八時七分一秒。
 十二名は一切食事に口を付けない。其の為、空腹で少々冷静な状態ではいられない。
「何ダッテ……相武様ガ自ラ核型ノ前ニ立つなんて。そんなの絶対ニ止めるぞ!」
「僕も同じ意見だー。但し、カン十郎と異なりちゃんとーした意見を述べる事が出来まーすがね」
「何だとお前ハ何処迄俺ヲ虚仮ニするんだ!」
「事実を言ったー迄だ、カン十郎ー。僕は今だってカンー十郎が正しいー意見を述べた記憶を知らーない!」
「此ノオ、言ワセテおけばあ!」
「じゃあ言ってみーろよ、僕達ーに向かって真っ当な意見をー!」
「そんなの簡単だ。相武様が全生命体の希望だから死んでは成らないんだ!」
 はーあ--ワンダローは「やっぱり」と思って溜息を吐いた。
「カン十郎」溜息の原因を相武は説明する。「僕は、いや天同家はあくまで全生命体の希望の近似値で在って決して僕自身が全生命体の希望ではない。其れの意味する所は時代に依って様々なのはメエジンの言葉を借りればそうかも知れない。けれども僕は、そして僕達天同家はあくまで全生命体の希望の近似値に過ぎない。そして天同家だけが全生命体の希望に成れる訳じゃない。全生命体の希望とは何時の時代でも不変的に僕達が担わないといけ何だ。たった一名だけで担うのではない。僕達自身が其れを目指して邁進していかないといけない。甘ったれたりそうなのは重々承知だが、進む事は正しいからな!」
 そ、ソウダッタカ--戦い以外では余り秀でていないカン十郎は落ち込む。
「あ、そうだ。ワンダローの意見としては如何なのだ?」
全生命ー体の希望でーすか?」
「そっちではなく、私が核型と相対する事に関してカン十郎と共に反対の立場を取ったそうだ。其れについては如何なのだ?」
「そうですね。相武様は真古天神武国民の生きる希望なのでーす。そして貴方が命を落とーせば我々は本家天同家を失う事に成るー。そうするーと跡目を探す為にわざわざ南雄略におられーるソレイユ十九代の双子の弟君に直談判せざるしかなくー成ります。そうーです、己を大事にしーて下さい。幾らー銀河連合の口の中に入る事を許可しても此れ以上はー流石に理が無さ過ぎます!」
「其の通りダア、相武様よりもわしらが前に出る方が良いに決まってイルウ!」
「お前達……だが、其の心配は無用だ。既に」相武は何かを感知し始める。「天同家と縁がある何かが此処へ跳んで来るような気がする。其の者は恐らく菅原地方で行方を晦ましたあの方だろう。名はないが、兎に角だ……私に何か起こったら其の者に跡目を継がせてくれないか? 勝手過ぎるが」
「まさか同じように思ってーいたなんて!」
 え--ワンダローが突然、知る筈もない事に同意している点に相武は唖然とする!
(ワンダロー……いや、止せよ。そんな良からない想像はいけない。ソレイユの時だってそうだ。今度のは決して夢宇宙と対話していないじゃないか。きっと此れは良からぬ想像が現実に成る事は……ない筈だ!)
 相武は必死に其の良からぬ想像は起こりえないと説明する。心でそう納得して確実な証拠が頭の中で噴出しても必死の思いで其れを振り払おうとする。だが--
 だから相武様が仰っていた囮ー役は、此の僕がー引き受けます--其の一言を聞いて相武は確信に至った!
「ワンダロー……其れは自ら死ぬ事を宣言するのだぞ!」
「オイオイ、ワンダロー。てめえ、気ハ確かか!」
「ああ、確かーだ。そして死にたくないという生きるー願望を照らし合わせつつも相武様ーが願い出た時にカバジンさんーの書き残した足記ーを思い出し……自ら志願しーた!」
「オイオイ、五武将火の将が文字通り火中の栗を拾う気カア!」
 ああ、全力でー拾って……生き残ーって見せますよ、みんなのー前でね--ワンダローはそう心身共に自信満々な状態で宣言した。
(ああして言ってるが、ワンダローは決して震えていない……其れは無いな。幾ら心も肉体も勇敢で居られても本能は……本能はきっと恐怖と格闘している。事実、彼はさっきから瞬き一つもしていない。だから空腹時に其れをやらないから……あ、やっぱり!
 宣言して直ぐに足下を思わず滑りそうに成ったな。目の渇きで一瞬だけ視界がぼやけた証拠だ。あいつだって必死の思いで一杯なんだな。どれだけ偉丈夫で居ても……結局は恐いんだよ。其れでも……私の為に尽くす以外に大樹型を倒す事が出来ない。こんな事なら視察しなければ良かった……だが、視察しなければ原子望遠弾でアリスティッポス大陸は暫く一部の地域は一般紙江名も立ち入れない場所と化す。そしてあの時にカバジンの足記さえ教えなければワンダローは思い出す事もなかったのに!)
 だが、相武は其処でワンダローの本能が震えで一杯な事を察した。同時に此れから起こる事も当の前より誰よりも覚悟していた。そう、ワンダローとよくケンカをしたガン十郎よりも深く!
 そして--
『--ワンダローはガン十郎を庇って核型銀河連合の攻撃を全て浴びて死んだ。
ワンダローの命を懸けた守りに応えてワンダローは最期の一撃を加えて大樹型の打倒を
果たした!
 だが、一の週もの間はガン十郎は暫く誰とも会わずに食事と風呂と鍛練だけはしっかり
して引き籠ったな。あれだけ喧嘩をした仲だったのにワンダローの死は大き過ぎた。
 そしてやっと引き籠りを解いたと思ったら今度は一の月も誰一名とて会話に応じずに
無言のままだったな。正直、此れに関してはザルノスケも何か思ったのかある出来事が
起こったな。
 其れは--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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