FC2ブログ

一兆年の夜 第百二十三話 天地相為す 天同相武の革新(五)

 七月十七日午後十一時二分一秒。
 場所は真古天神武首都ボルティーニ中央地区中央病院二階専用医務室。
 其処で相武は目覚める。彼を看ていたのはソレイユとライドだった。
「目覚めましたのね、良かったあ!」ソレイユは抱きしめる。「本当に如何成るかと思いましたよ!」
「だから言った筈だ、ソレイユ。相武様は運命に愛された御方だと!」
「そうゆう問題じゃないでしょう、ライドさん。相武様が倒れてから私はずっと責任を痛感して来たんですよ。わざわざ武内大陸から此処首都ボルティーニ迄の道程だって険しかったんだから!」
「其の為に私が駆け付けて何とかしました」
 何とかしました、じゃないでしょうが--ライドの両頬を引っ張るソレイユ。
「コラ、ライドが困っているじゃないか。其れに……ウグッ!」
「相武様、又左腕の痛みが走ったのですか?」
「いや、不思議と左腕の痛みはない。でも、体が思うように持ち上がらない」
「無理もありません、相武様。二の週も寝ていましたから」
「二の週……そんなに!」其処で目を大きく開いて何が起こっているかを尋ねる。「じゃあ聞くけど、何故ザルノスケ達が此の場に居ないのだ!」
「相武様、其れがですね」
「例の犬猿道にずっと腰を下ろす拠点型が突然動き出しました」
 何--拠点型は動かない……其の思い込みが相武の表情に驚きと愕然を齎す!
「私だって口から心臓が飛び出しそうな勢いでしたよ。あの拠点型が、ですよ」
「大樹型と同様に地に根を張ったあの拠点型が動き出す意味は何なのか? ワンダローが語ってくれた新心臓型の驚くべき秘密と関係するのか?」
「そんな謎を解くよりも現在の状況は如何成っている!」
 其れがですね、真っ直ぐ六虎府に向かっております--実に噛み砕いた物だが、其れでいて明白な危機を示す報告!
(元々、真正神武及び古式神武、そして両方を合わせた真古式神武の首都だった六虎府。其処が陥落したら予言の日が訪れる前に僕達全生命体は銀河連合に喰われてしまう!
 だから政府は僕が居ない間に進めて五武将の内の四将を投入せざるしかなかったのか!)
 相武は次の事も尋ねる……「ところで原子望遠弾は使用されたのか?」其れが抑止力の一つとして機能する原子望遠弾についてだ。
「其れが……奴等は此方が使用しない事を踏まえて敢えて付近の市町村に沿うような形で移動して来ました!」
「というかあれは使用したらいけないって。一杯一杯死を蔓延させるよ!」
 其処だよ、ソレイユ……其処に奴等は付け入ったんだよ--銀河連合は一般生命が簡単に使用に踏み切れない心理を衝いている事を相武は断言した。
「兎に角、僕も……う、動けない!」
「ずっと筋肉を使わなかったのですよ、相武様。点滴を打たれた状態で寝ていた貴方様が簡単に体を動かせると思ったら大きな食い違いです」
 うん、だから私が其の痺れが無くなる迄は支えるから--ソレイユは相武の意思に応えて支えた。
「有難う、みんな。そうだな、未だ僕の肉体は……ずっと休み続けるだけで精一杯だからな。其れ迄は……ウグウ!」幾ら休んでもたった二の週では未だ激痛は止まらない。「何だってこんなに接合した腕が都合良くないんだよ!」
 だが、二名は気付き始める。激痛はまだ相武に襲い来る。しかし、相武の左腕が、指の先迄自由自在に動き出している事に!
「相武様……今は向かいましょう、拠点型に!」
「うん、私だって此の二の週はたくさんライドさんから教わりましたからね」
 ああ、ソレイユが若さが余って余計な動きが多い事をな--一言多い菅原ライドであった。
(痛みが前に比べて心地が良い? 気のせいか? 其れとも僕の心境に変化を齎すのか? 兎に角、僕は夢の中で実質一の年以上も翔和と戦い続けた。現実では二の週の出来事でしかない体験でも僕の心に少しは余裕が出来た。寝た状態からの目覚めで満足に体が動けなくても僕は出来るかも知れない!
 其れが只の過剰な自信であっても構わない。こうして生きている事が何よりも最大の根拠だ!)

 七月十八日午前四時二分一秒。
 場所は六虎府経済都市第五東地区犬猿道入り口。
 相武達が駆け付けた時には既に拠点型が間近まで迫っていた。
(体はも動ける。しかし、其処迄何をしていたんだ、真古天神武軍は!)
 何事も大人の事情で後手に回るのは歯痒い思いである。其れでも相武は起こってしまった事に今更抗議する訳にもゆかない。大事なのは現在は如何ゆう進捗状況なのかを確かめるのが先決。齢三十二にして二の月と二十二日目に成る神武猫族の熟女にして雌初の総司令を務めるニャルタラノニャルメンに尋ねる!
「そ、相武様にゃ。御目覚めで何よりですにゃ、今は安静にすにゅべきでは--」
「そんな事じゃない。其れよりも進攻状況は如何成っている!」
「はい、相武様が選りすにゅった五武将の四将を送り込んで既に新心臓型と一騎打ちしていると思われにゃす!」
「ザルノスケ、メエジン、カバジン、其れにワンダローか!」
「後は全ての区画を機能停止にして足を止めにゃした。後は新心臓型を倒すだけにぇす!」
「要するに現地部隊が頑張っていたから此処でせき止める事が出来た……そう言い訳するつもりか?」
「そんな言い方はないでしょ、ライドさん!」
「いえ、言い訳に聞こえて当然でありにゃす。もう少し早く避難を完了していにゃら原子望遠弾を発射する事が出来ましにゃ!」
 起こった事を糾弾しても仕方がない、今はみんなが血を流して切り開いた道を……僕達が進んで新心臓型も倒せる事を示さなければいけないんだ--相武は奥深くに入り込む事を自らの足で立つ事で意志を見せ付けた!
「まさか……ですにゃ、止めても意味がありませんね。左腕の翔和様の意思を……止にぇる資格は自分にはありにゃせん!」
 有難う、ニャルメン--彼女に感謝のお辞儀をした相武はソレイユ及びライドを引き連れて拠点型内部に入り込んでゆく……

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR