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一兆年の夜 第百二十三話 天地相為す 天同相武の革新(四)

 六月百二十日午後十一時二分十八秒。
 場所は真古天神武武内大陸波多八代はたやしろ地方巨勢こせ山標高成人体型千九百。
(探すのも良いけど、僕には王としての使命もあるからな。様々な所でおべっかしなくちゃいけないせいで最後の五武将探しが難航した。其れに腕の足の翼のある生命を何名か声を掛けたりもしたがどれも不発気味だ。如何にもやりたい事の一致が実現出来ないな。まあ現実はこんな物だ。だからこそ僕は--)
 ねえ、何時に成ったら集落に辿り着くの--ソレイユは五武将探しに同行し続ける……未だに彼女は五武将の一員に成る事を諦めない。
「所照相武様、俺於呼んだ理由於お聞かせ下さい」齢三十一にして二の月と二十三日目に成る神武鬼族の中年カゲヤマノザルノスケは問う。「俺照左依模苦戦する様那生命でしょう科、其乃犬族乃雄斗端?」
「ザルノスケを苦戦させるような奴は此の世で天同生子か銀河連合指揮官型か新心臓型か或は翔和だけだろう。僕が同行させるのは此の巨勢山には数多の強力な銀河連合が潜んでいる事を危惧してだ」
「成程、万牙一乃時似身於守る似端誰か乃協力牙必要斗いう訳です祢」
 ああ……其れとメエジン、カバジン、其れとライドには子守を任せた--ライドは既に本名から呼び捨てしても良いとお願いされ、今に成ってやっと出た模様。
(他にはそいつがとんでもない変わり者で中々首を縦に振らないそうだ。勝手に付いて来るソレイユはまだ良いとしてもきっちりと世界が広い事も示さないといけな……ググッ、全く!)
 又、例乃痛み牙発症於……っ照気配科--ザルノスケは既に金棒を右手に戦闘態勢に入った!
「ええ、まだ……ってうわっ!」ソレイユは風を切る音を聞き、反応で物部刃のような何かを屈んで躱す。「今の……銀河連合!」
「済まない、僕は身動きが取れる状況じゃない。二名で何とかやってくれ!」
「承知した!」
「わかりました、相武様。ですが」ソレイユは相武から離れようとしない。「私は相武様の近くにて守らせて戴きます!」
「……済まない、痛みを振り切る事が出来ない僕で!」今でも激痛に耐えられる状況ではない事を嘆く相武だった。「だから今は……まだ!」
 銀河連合の数は五体。何れも犬型、雉型、猿型、鬼型、人型。ザルノスケは木に登って投擲を続ける雉型と猿型を発見次第直ぐに木ごと薙ぎ倒してでも二体の打倒を試みる。だが、其れはザルノスケを離す為の銀河連合に依る罠だった--狙いは残り三体でソレイユと激痛に苦しむ相武を喰らう事にあった!
「此奴等……って一番厄介な鬼型が相武様に来る!」駆け付けようにも犬型の機動性と人型の対応力に防戦するしかないソレイユ。「全くさっきから……噛み付かせないからさあ!」
(来るぞ、僕は痛み如きに動きを止められる訳には往かない。しかし、若しも死んでしまったら僕のせいだ。痛みはあくまで受け止める者の一つに過ぎない……責任を嫁に転ばせるような碌でもない意味に繋がる事ではない!)
 転嫁は誤解されやすいが、嫁が転がるという意味ではない。一般生命の気質は一度嫁入りした雌が再度嫁に成る事はほぼない。其れがあるとするなら前の夫を捨てる事に繋がる。そうすると彼方此方に痛みを流すのに等しい意味に繋がる。
 さて、話を戻して相武は痛みで死んだという事を絶対に避けたいが為に神武包丁を抜くべく右手で握りを掴む。しかし、鞘から包丁を抜く時は何かに固定しないと滑らかに抜けない。鞘とは簡単に抜けないように寸法を計算して包丁製作の過程で形作られる。其れ故にまともに動く右の腕力だけで包丁は上手く抜けない。其れに焦る相武。其れを好機とみる鬼型。巨大な口が身動きも満足じゃない相武に襲い掛かる時--齢二十歳に成ったばかりの武内犬族の青年が鬼型の首を咥えていた雄略包丁で深く切り裂いた!
「危ないーなあ、間一髪ー……か?」其の一撃は口を大きくした鬼型の進路を僅かに変えて相武の左横に其れながら俯せに倒れて行くのを見て彼は安心した侭、咥えていた包丁を落としてゆく。「おーっと、ついつーい喋ってしまーい……落としちゃったーな!」
「た、助かった」力みが緩むと其の分だけ鞘にかかる圧力が抜けて包丁を抜きつつ尻餅する相武。「情けない姿を晒して申し訳ない、其処の犬族の方」
「情けなーい姿を晒すのーは……ウッグー」再度咥えながら喋り出す犬族の青年。「もっとばべーべぶればびばー? びばぶぶーみぃぼばーぶぅ」
 其れから其の青年はソレイユに加勢して特に苦戦する犬型をたった一撃で仕留めた。人型を倒すのに三撃も要したソレイユに自らの力の無さを痛感させるように--其の時に雉型と猿型を金棒を使わずに自身の両脇のみで首の骨を折って倒して来たザルノスケが戻って来た。

 七月一日午前八時二分三秒。
 場所は標高成人体型千九百一南側。
 一軒の藁小屋に相武達は案内された。其処で相武は齢四十二にして十の月と十五日目に成る武内犬族の老年であるワンダルーダと対面した。
「貴方が翔和を助けたという凄脚のワンダルーダさんですか?」
「ゴホン、ゴホーン…如何にもわしが、貴方方を助けたワンダローの父じゃー」既に寝込んでいて余命幾許もないワンダルーダ。「全く翔和様を助けた頃のわしはもうない。四の年より前にーある銀河連合との戦いで全身不随にー成って、其のせいでー妻を先に逝かせてーしまった……ゲホゴーホ!」
「其の父上ーをこんな目に遭わーせたのが道中で語った通りのあいつでーす。あの翔和様のー命を落とすきっかけに成り、相武様のー左腕がこんな事に成った……あの新心臓型さー!」

(此処で僕はワンダローを六武将に採用する事を決意した。まあ、ワンダルーダとワンダローの話はまだまだ続く。何しろ、ワンダルーダは僕達との会話をした後に死んでゆく、其の前に彼は新心臓型に関する情報を教えてくれた。其れについて此れから伝える)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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