FC2ブログ

一兆年の夜 第百二十三話 天地相為す 天同相武の革新(三)

『--記し忘れたけど、五武将は前期と中期と後期と終期に分かれる。前期から後期に
掛けて務めたのは実はカゲヤマノザルノスケ只一名のみ。後は前期のみ、中期のみ、
後期のみ、終期のみ、或は前期から中期、中期から後期、後期から終期と三連続はない。
四連続に至っては私みたいに長生きでなければ可能ではない。其れだけ入れ替わりも
早い。そんな中で最初に探すのは前期五武将。其の中でザルノスケ、メエジン、カバジン
を引き抜く事に成功した。残りは後二名。其の中に先程五武将として紹介した
ソレイユ十九代は居ない。告白すると彼女は中期五武将であり、後に死ぬ予定の
前期五武将の一名である者からの推薦で入る事に成った。其れを忘れずに--』

 六月八十日午後二時二分一秒。
 場所は藤原大陸大中臣地方道真県第八北地区。
(此処に凄腕の人族が居ると聞く。一名位は人族出身者が居ないと均衡が取れないな。だが、二名以上は必要がない。あくまで人族というのは器用なだけで極に至らない種族だから何時も他の種族に比べて半端に留まる。走りでは如何頑張っても熊族にさえも後れを取る。腕力ならば大半の種族に泣きっ面を見る。悲しいかな、生前の翔和も……何だ、急に左腕に痛みが走り出した!)
 何か絶好の間隔で痛みが発動するという都合の良い相武の左腕の激痛。いや、表現が前向き過ぎる。此の場合、考えて欲しくない場面で痛みが発症する都合に見合わない……という表現が正しき近似値に近い。そんな相武に目が合うのは齢三十五にして四の月と十日目に成る菅原人族の老年。無精髭で然も首迄髭が生える程、雄性刺激物質が豊富な証拠。彼は世にも珍しい片手で担げる望遠砲を持っていた。
「貴方が天同相武様ですか?」
「そうだが? そうゆう貴方はまさか例の『百発百中のライド』と呼ばれし--」
 そうです、初めまして……私は菅原人族の菅原ライドと申します--礼儀正しいのか、深々と頭を下げるライド。
「初めまして、ライドさん。私は五武将の地同ソレイユですよ--」
「ああ、此奴は只のソレイユ十九代で五武将でも何でもない」
「ちょっと、相武様。何て事を--」
 まあまあ良いじゃないかグバア--尚、カバジンだけじゃなくメエジンも同行している模様。
五武将とは如何ゆう物だ?」
「其れについては中で詳しく説明しよう。案内してくれませんか?」
 有無、わかった--ライドは相武達四名を己の家に案内してゆく。

 午後六時一分二秒。
 場所は一階建て木造建築。ライドは昨今流行りの煉瓦造の建築物ではなく、従来の木造建築を好む。理由は次の通りである。
「最新なのは構わないが、如何にも私は其れでは古き良き物を信仰する者達が居なくなるのではないかって危惧している所だ。何事も最新が一番かも知れない……でも其れだけじゃあ古い物の良い所を捨てる訳にもゆくまい」
「確かにそうでしょうね」
「又為に成る話ですか、ライドさん?」齢三十七にして二の月と八日目に成る菅原人族の老婆が客者一名一名に御茶入りの茶碗を受け皿に載せて前に置いてゆく。「あ、皆さん。熱い内に如何ぞ」
「有難う御座います、ミーナさん!」
「さっきから話を逸らし続けるようだが、何が言いたいーイ?」
「若かりし頃ならば私も断るつもりで在ったよ、相武様。私はそう言いたいのです」
「若かりし頃は? じゃあ若くないライドさんは如何ゆう意見ですか?」
「そうだな、引き受けようと思う。丁度孫も出来た。名前はラディルと言ってな、何れは何かの形で私の跡を継ぐかも知れない。最も私の期待に応えない可能性も無きにしも非ず……だが」
「何か良くわからんグバア。つまりさっき迄の話は何だったのグバア」
「何、私も新しい物に抗えない若造だった頃があった。今じゃあ其の若造は私の息子に成ってしまった。彼は私に反抗しながらも向こうで家族を持ち、最近じゃあ私の知らない所で二名目を儲けるそうだ……全く反抗期なのは何処に吹く風やら。だから私はあいつの家族の為にも人生最後の大舞台を相武様と共に過ごそうと考える……良いか、ミーナ?」
「ええ、良くってよ」ミーナは既にライドの好きなように生きる事を了承した。「貴方はずっと何か伝統とは掛け離れた物をやりたかったのでしょう。良いですわよ、もう既にランバーが私達の跡を引き受けるのですから」
「何か遠い所のように言ってて実は近い所にお住いの気がしているんですけど」
 ハッハッハ、鋭いな……其の意味は木造建築事業拡大の為にあいつは私の仕事を引き継いでいる--ライドが言いたい『向こう』とは自立或は独立を指す意味だった。
(何とも難しそうな生命だね。だが、案外引き受けてくれて良かった。そうして残りは後一名か)
 おや、客者カイ……ライドの旦那--其処に齢十八にして九の月と十日目に成る菅原カンガルー族の少年がやって来た。
「あ、紹介しよう。彼は菅原カン十郎と言ってな……菅原カンガルー族の若き飛びカンガルーさ」
「宜シクナ。ってか何ノ話をしていたんだ?」
 五武将の話さ--相武は一応、カン十郎に其の旨を説明した。
(其れでカン十郎が五武将に成ったのはソレイユと同じ時期に成る。何故なら彼はライド自体は実力を認めてもまだまだ年季が足りないと判断して勧めなかった。勿論、上昇志向のカン十郎も其れには同意した。最も自身が一番力を持つという自信は溢れる。其の為にソレイユと何度も喧嘩をしていたな。全く歳が近いのとカンガルー族が昔から天同家と縁があるせいなのかも知れないがな。
 さて、前期最後の五武将は一体誰に成るのか? 其れは--)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR