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一兆年の夜 第百二十二話 天地相為す 天同相武は翔和に託された(三)

 六月五十六日午前三時二分十一秒。
 場所は首都ボルティーニ中央地区神武聖堂天同相武の間。
 其処に謎の猫族の少女が仕組みが明かされない何かを使って此の間に入り、相武を起こした。
「ウワアア……って三度目だね」
「短い刃を直に入れて申し上げにゃす。後一の週より後に地同翔和は死にます」
 ……死っているさ--既に相武は気付いていた。
「知っていたのなら動かないのは理解しにゃせん!」
「知っていても僕は……夢宇宙が示した命の運びを如何する事も出来ないんだよ」
 そうして命を運ぶ事に委ねる事がどれだけあたし達の時代を此処迄の状況にしたのかわかっておりますにゃ--胸ぐらを掴んで少し皮膚に食い込んでても必死の思いなニャレーダー。
「痛い、よ」
「ご、御免にゃさい」ニャレーダーは掴んだ手を放す。「二足歩行の技術を編み出しても爪を丸める技術だけは捨て切れにゃい」
「先ず、僕には進化の変遷とやらを知らない。知ろうとすれば壮大な系図を辿らないといけないし、抑々の大元を僕は知らない。そんな遥か遠い話を今の時代の僕に語っても助からない物は助からない。其の何て言うか--」
「其れでもあたしは、ニャレーダーは相武猫族の雌として貴方様に助けを求めるにゃ!」
 僕の名前が……だから僕に--其れで一つの納得に行き着く相武!
「其れでも、其れでも救う術は見付からないと思いますにゃ?」
「ああそうだ。そうして生命の歩みは形作られるんだって僕は思う。其の時代に生まれた生命は其の時代にある術を駆使して次の時代の術を作り始める。そうして僕達は歩み続ける物だ……君が拙速するのも理解する。僕だってもっと覚えが良くてやる気があれば翔和を救うかも知れない。けれども生まれ持った物は目を背けられないし、一生背負う物だ。僕は……此の時代の術で明くる日を救って見せる!」
「相武……やはり命の運びは変わらないのですにゃ」
 御免、君の期待に応えられなくて--相武が謝罪するのは過ぎ去る事ではなく、今に対してである。
「わかりましたにゃ。ではもう二度と相武様の前に姿を現しにゃせん」
「わかった……と言いたい所だが、一つ聞きたい事がある」
「にゃんでしょう?」
「君以外にも過ぎ去る時代へと誘われた生命はどれだけ居る?」
 何故相武が其れを尋ねるのか。実は相武は其処でニャレーダーから信じられない事を知る。
『--信じられない事実とは次の次に語る話で紹介する。其れよりも重要なのが
ニャレーダー以外にどれだけの生命が僕の時代を始めとした時代に誘われに来たのか?
其の時代のある部署だっただろうな、其処の総司令を務める同姓同名の天同生子は
其の時代を救う為に約百名を選出して時間旅行をさせた。理由は簡単で救う術に成る
示唆を発見する事にある。そうゆう意味でニャレーダーは私から明確な答えを得るに
至らなかった。けれども彼女は救う為の示唆を得た。其れをどう活かすかに依って彼女
の時間旅行は有意義な物と成る。反対側も又然り。
 後はニャレーダーとやらは二度と表舞台に姿を現さなくなった。其れは宣言通りでも
ある。其れは寂しいし、同時に安堵でもある。何の安堵なのか? 其れは此の時代に影響
を及ぼして若しも其れが明くる日の彼女が生まれないという事態に陥れば私は混濁した
中で謝罪しなければならなく成る。そんなのは絶対に避けたい。そう思い、彼女にそう
答えたのかも知れない。
 いけないな、記憶が曖昧に成って来た。老いは記憶の整理を齎してゆく。落ち着きある
事も体力で何とか出来る事も老いは制限をするかのように捨てて行く。そう成ると老者達
は自然に若い世代に余計な期待をしてしまう訳だ。全く、老者達に文の句を口にしていた
私が今では文の句を言われる立場に陥るとはな。此れだから年を摂るのは辛いのだ。
 とまあ、満足し切れない事は置いて於いてそろそろあの日が迫り始めたな。
ニャレーダーと最後に会って告げられた時限。文字通り其れは確実な話である。避けては
通れない命の運びさ。悔いは、残ったさ。意地を張るつもりはない。だが、其の悔いとは
助けられなかった事ではない。そうだな、三の日より前に--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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