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一兆年の夜 第百二十二話 天地相為す 天同相武は翔和に託された(一)

 六月四十八日午後十一時七分四十三秒。
 場所は中央官邸三階最高官第二執務室。普段は客室を招く為に用意された執務室。第一と比べて部屋は広い設計。
 其の場所で翔和は最高官の仕事の一部を引き受ける。彼は実質的な副最高官としての一面も併せ持つ。
(かと言って俺は政に余り参加しない。あくまで王である相武の補佐役に過ぎない。けれども、そんな補佐役は暇さえあれば多忙な最高官の仕事の一つを熟す。其れにしたって俺に寄越す案件は実に下らないな)
 彼が下らないと称する案件とはピアス県に於ける本家ピアス饅頭とピアス県以外で売られるピアス饅頭を巡る商標権の問題、コルギ市の産地特産品であるコルギ仙人掌の商標権問題、武内大陸に現在も続く封鎖社会の今後……と言った物である。
(ピアス饅頭は二百の年より前にピオール社の社長が鞍替えすると共に産地特産品だったのが外で売り出す形と成ったからな。だが、長い年月と共に産地で使われる物と産地から離れた所で使われる物の違いで味の異なりが明確化して今じゃあ地元や実際に足を運んで食べて来た生命にとってはピアス饅頭とはピアス県で売られる物しか思わない形と成った。其れが原因で俺の所に寄越される案件に繋がった。全く名称如きに拘る理由が良くわからん。
 コルギ仙人掌の場合はピアス饅頭が外に売り出す時期に誕生した謎の発祥地で話題の仙人掌だな。だが、此奴の場合は少し特殊なんて話じゃあ済まない。如何やったらこんな品種に繋がるのかわからない程の種で今でも論争の火種と成る。問題の商標権についてはやはり二百の年を掛けると味の変質を起こして昔のような味とは異なると齢五十を超える駱駝族の生命が訴えたそうだ。全くたったの五十の年程の爺さんが二百の年より前のコルギ仙人掌がどんな味なのかを知ってるのかっつーの!
 其れと武内大陸を如何かしたい今の政権は俺に此奴等への協力を促しているみたいだな。だが、俺達が出た所で何の意味もないだろう。だから此奴は適当な地元担当者に任せて於けば良い。現地の奴等は又俺達の事で文の句を垂れるだろうが俺だって垂れたいんだよな。そうして--)
 その時、扉を五回叩く音を聞く翔和。「相武……様か」一応、公の場では呼び捨ては認められないのか、敬称を付ける翔和。其れから「別に入って問題ありません」と少し丁寧な口調で入室を許可した。
「礼を失しますね、翔和様……じゃなくて!」
「ああ、そう呼ばせていたな。まあ良い、手伝え!」
 来て早々に其れかよ、折角……もう何も言えない--約八の時も勉強漬けと王としての本格的な仕事の手解きを受けて心身共に疲れ果てる相武。
「其れにしてもコルギ仙人掌だとかピアス饅頭の件とか……如何でも良い話ばっかりだ」
「だろ、後は武内大陸に於ける封鎖的な伝統に口出しする俺達国の対応も余り感心は--」
「んん?」相武は武内大陸の件の横に置かれたある件に目がゆく。「謎の銀河連合捜索依頼って?」
「其れも下らない案件だ。大体、そんな物に--」
 匠、ひょっとしたら探していた仇に関する情報じゃないかな--其れを右手にとってそう口にする相武。
「仇だと? だが、たかがエウク県で起こった話だろうが。幾ら異形の銀河連合が中には居ても其れと俺の仇である銀河連合が--」
「確かめもせずに断言するなって何時も言ってるじゃないか!」
 俺の台詞を返されるか、全く--翔和は自らの言葉を返す相武に利き手で髪を掻くしかない。
「如何なんだい?」
「一回だけだぞ、こうゆうのを勝手に付き合うのは!」
「そうでなければ地同翔和と言えないからな!」
 だな--翔和は微笑ましい表情を見せるのだった。

(如何せ其れは時間の浪費に過ぎない案件だって俺は思っていた。何しろ、数千件ある中の一つとしてしか数えられない。銀河連合に関する案件は俺に届くだけでも三百件以上もある。だが、どれも俺が直接足を運ぶ必要性がない事柄ばかりであるのさ。
 例えば足長の銀河連合がやって来た時だってあった。相武と共に足を運ぶと其れは既に現地の一般生命が力を合わせて倒した後だった。然も軍者でもなければ武を嗜んだ生命でもない。そんな奴等だけで倒せるような銀河連合に足を運んだのが馬か鹿な話さ。
 次に例えるなら海豚と犀の混合型。一見すると梶木鮪型のような姿を想像する銀河連合混合型。だが、異なる。海豚の俊敏性に犀の突進性を加えた品種改良で一回の突撃で船体に穴を開けて沈めて来た銀河連合だった。其れで俺は腕試しに足を運んだ事がある。其れは相武と出会う前だったさ。だが、足を運んでみると既に現地の漁師達に依って倒された後さ。然も倒した中にはイモールと共に一の年も放浪した銛使いの子孫が居たな。お陰で徒労に終わって肩の透かしを喰らったな。
 最後に例えるならやはり相武が勉強中に六虎の工業都市を襲撃した混合鬼型で右腕は蛇型を足されたような奴で其れで居て鬼型の身体能力を駆使した奴だから現地の奴等では対処出来ないとして俺が顔を出しに行ったな。だが、俺が駆け付けると通りすがりの虎型のおっさんが倒したそうだ。此れ又肩透かしを受けたな。現地の軍者共では対処出来ないと思って俺は腕試しの序に駆け付けたのに虎型のおっさんが少しやって来て呆気なく倒したのだから何の為の俺なのかわかんなく成った。だから俺は以降、現地に任せるという方針にした。別に駆け付けなくとも奴等は後日、最高官に報告して無事完了する旨を伝えているのだから間違いはない。
 だからこそ以降の俺は銀河連合に関する下らない案件にも首をツッコまないようにした。今度も足を運んだ時にはもう事件は終わっている物……そう思っていた。だが--)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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