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一兆年の夜 第百二十二話 天地相為す 天同相武は翔和に託された(序)

『--地同翔和しょうわの話は愈々大詰めを迎える。勿論、私天同相武そうぶの物語は中間地点へと
差し掛かる。父時雨しぐれに託された翔の者という王名も地同翔和と共に行けば全てが上手く
行く。そう信じて成者と成った私は五の年もの間、翔和と共に様々な困難に立ち
向かった。未だ襲い掛かる銀河連合に依る数多のと呼ぶかな。という単語は余り良い
言葉ではないけど、私が成者に成り始めてからある言語学者が考案した物だ。兎に角、
足下に突如として搦め取るという意味かな? 罠という言葉は徐々にではあるけど、
私達一般生命の意識を銀河連合へと近付かせる一歩に成ると考えられる。まあ、此れ
は誰かが先に言った物だ。だから私自身が自ら考案した物ではない。如何な、余り上手く
成らないな。まあ仕方のない話ではある。
 段落を変えて次の話にでも移そう。成者に成って五の年、つまり私が青年に成る頃より
少し前の話だ。真古天神武は私の誕生祭という事で一の月より前から準備が進められる
時だったかな。彼女が私の前に尋ねて来た。ほら、前に話した秋雨あきさめ姉さん以外で明くる日
の時代よりやって来た謎の猫族の少女。其の彼女がな--』

 ICイマジナリーセンチュリー二百九十八年六月十五日午前十一時五十三分二十八秒。

 場所は真古天神武首都ボルティーニ中央地区神武聖堂天同躯央の間。
 其れはまるで本棚其の物である躯央を祀る為の間。其の理由は躯央が提示した残りの全都市の地下に要塞化を促すという無茶苦茶な計画を空論ではなく、実践する為の研究図書室として活用する為に。
 其処でたった一名が読書をする。齢十九にして十の月と一日目に成る少年相武。翔和は現在、ある用事の為に席を外して代わりに相武に躯央の間で昼の一の時迄読書するように伝えた模様。だが、やはり覚え込みの良くない相武は何を読んでも如何して学ぶ事に繋がるのかを掴めずにいる。そして速読法もない為に一文字一文字を追って読むが故に時間内に一冊を読破する事はほぼ可能ではない。そんな相武の前に齢二十八にして十一の月と二十九日目に成る謎の猫族の少女がやはり二足歩行で部屋に足を踏み入れる。
「にゃあ、お久し振りです」
「君は……誰だったっけ?」
「やはり物覚えはいけにゃいですね、あたしですにゃ。時間旅行者のニャレーダーでありにゃす」
「思い出した。本来なら有り得ない二足歩行を熟す猫族の……えっと少女だったよね?」
「うん、そうにゃ。あたしは明くる日の時代を救う為に此の時代へと渡ったにゃ。天同相武なら何もかもわかると考えて此処にやって来にゃ!」
「だから過ぎ去る時代の生命である僕が大分あくる日の時代より来る君達の事を詳しく知る訳がないだろう」
「其れでも危機に瀕しにゃ時代同士だからこそ学べる事があります」ニャレーダーは相武の前に或る机に凭れて豊満な胸を机に押し広げながら顔を見つめる。「天同相武ならば一体如何すれば危機を乗り越える術を持つのか、てね」
「持つ訳ないじゃないか、ニャレーダー。僕を過ぎ信じている。其れに君の時代の事は其の時代に生きる君達だけで解決してくれ!」
「其れがですにぇ、あの天同総司令ですらも最早救う手立てがないって口にしておりましにゃ」
「何処の天同家か知らないけど、そんな方の--」
 天同生子せいこと聞いてにょ、ですにゃ--ニャレーダーが告白した総司令の正式名称に思わず持っていた蘇我フク兵衛著作の『土地でわかる天同家の興り』巻の十二を床に落としてしまう相武。
 だが、もっと驚いたのは相武だけではない。扉越しに聞いていた齢二十九にして六の月と十六日目に成るある神武人族の青年も同様だった。
(そんな筈がない。天同生子が後の時代にも存在していたというのか。此れは偶然か、其れとも必然なのか? いや、其れ以前に此のニャレーダーは一体何者なんだ。如何して二足歩行が出来る? あんな猫族は世界中どこを探しても居なかった筈だ。毛からして紫色を帯びるがそんなのは別に珍しくもない。胸の大きな猫族ってのは子を産んだ雌以外だったら別段居てもおかしくないし、何時も忠実な犬族とは真っ当にぶつかる立ち位置の猫族ならば胸を鍛えて雄を惑わそうと試みるなんて有り得る話だろうし。だが、二足歩行は真っ当にぶつかる立ち位置にある犬族同様に同じ祖先を持つ猫族には絶対有り得ない話だろう。まるで人族か鬼族と融合した形でないと……いやそうゆう仮定を浮かべるのは良くないな。俺のいけない癖だ。
 全く覗き聞きとはいけないな。予定通り昼の一の時に相武を迎えないとな)

『--其の後は話が全く進展しない侭、終わったな。翔和が来る前にニャレーダーは立ち
去った。全く謎が深まるばかりだろうな。彼女を此の時代まで派遣したのがあの天同
生子だ。彼女でもあの時代の終わりを止める事が出来ないとすればもう打つ手も無いな。
なのに如何して私に頼るのかを今でも理解出来ない。そう、今でも理解に苦しむ。
 とまあ序盤を少しだけ脱線して始めた。脱線した主な理由は此れから翔和にとって因縁
の深い銀河連合が姿を現すからさ。其れはある取るに足らない事件から始まった。そう、
取るに足らん事件の筈だった。翔和は流し気味に其れを別の者に任せようと思った時
だったな。其処へ丁度、今日の勉強を無事に終えた私が執務室に現れた時だったかな?
 まあそんな感じで--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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