FC2ブログ

一兆年の夜 第十八話 鬼ヶ島を行く(八)

 二名の青年と二名の少年は銀河連合の群れに突入してゆく--命を燃やす
ように!
「俺は天同棟一! 天同棟一とはこうゆうものだアア!」
 棟一は左足で突き出た岩を蹴った--発射台代わりに使って飛ぶ!
 そして彼は右拳を銀河連合鬼型の眉間に向かって放った!
 鬼型に命中--勢いよく背中から倒れた!
「グ!」
 棟一は当てた衝撃で皮が捲れた右拳の痛みに思わず悲鳴が零れた!
「だ、大ー丈夫でーすか棟一様ー!」
 アラ太が心配で棟一の方へ駆けつけようとしたその時だった!
「お、俺の事はいい! そ、それより--」
「え?」
 アラ太は自分の背後にいる銀河連合烏型を影で気付くも、それに対処する時間
はなかった!
 烏型はそのままアラ太を食らおうと成人体型十の上空より斜めに急降下!
「させるか!」
 シュギ朗は成人体型三の上空でアラ太を守るべく、烏型を左横から体当たりで
突き飛ばす!
「うわ! 右翼に! 感覚が! おかしくて! 何が利点なしだ!
 俺は今度こそ! 弱鳥の称号を! 返上してやる!」
 右翼の感覚を死なせてもなおシュギ朗は心の古傷を払拭すべく、左翼だけで空に
いる銀河連合と戦った!
「こ、このままーじゃシューギ朗さんーは!
 まさかあーなたが放ー浪者になーった本当の目ー的は--」
 シュギ朗は右眼が飛んでいき、左足は螺旋状に曲がり、嘴は台形を描くように
欠けていきながらも戦った!
「あああ! これが俺の! 楽園ダアア!」
「アっア、シュギ朗のあんちゃあっあん!」
 シュギ朗は正面にいる銀河連合鷹雀型に向かってゆくが、背後から蛇鷺型に
首筋を丸い穴が出来るほど食われ、絶命--遺体は落下してゆき、真下で待機中
の鬼蜘蛛複合型に八つ裂きされた!
 藤原シュギ朗死すとも勇敢な魂は心に刻まれる!

 シュギ朗が絶命して一の時が経った……。
 三名は未だに群れの中で戦い続ける!
「何! 隙間がない!」
 気がつくと三名の周りを囲む銀河連合は逃げ道を塞ぐように並んでいた--その
数は数百。
「シュギ朗さんがー死んだー今、僕ー達の逃ーげ道は存在しーないのーか?」
「こ、こんな死に方は良っくない! おいらはこんな事の為に棟一様に付いていった
のでっはないのに!」
「き、距離が。銀河連合はこのまま押し潰すように食うのか?」
 三名の体は傷だらけ。数百どころか数十の銀河連合すらも相手に出来ない状態
だ!
「な、何かいーい方法ーはないのー?」
「そ、そんなの自分で考っえて! 何で他者に頼っる……のよ?
 お、もいついったゾオおお!」
 ウキ麻呂は閃きのあまり、耳鳴りに等しい叫び声を上げた--二名は思わず
両手或いは両前足の中指で耳穴を塞いだ!
「声がー大きいーよ! 鼓膜がー傷ついたーらどうするかー!」
「アラ太のあんちゃんはどっうでも良いけど、大声出して申しわっけありません
棟一様!」
「謝罪は後にしてくれ! それでウキ麻呂殿は何を閃いた?」
「実は足下から逃げれっばいいと閃きまっした!」
 二名は思わず両目の焦点が合わない感覚になった!
「な、何ー腰砕けーたことを--」
「その腰砕けとっいう言葉。おいらは敢っえて腰を砕くことでこっの状況を打ち破りっ
ます!
 その方法こっそ空も陸も銀河連合に握られてるのっなら敢えて地べたにへばり
ついてっでも突破する! それしっか群れの外に出られないと思いまっすが!」
 迫り来る銀河連合の前で可能な限り考え抜いた棟一はついに--
「わかった! もしかしたら奴等の足下の隙間から脱出できるかも知れない!
 いやその方法でいこう!」
 提案を受け入れて貰えた事に本来大喜びするウキ麻呂のはずだったが--
「もう悲しみはおいらの命で断ち切っらないと!」
「ま、まさーかウキ麻呂ー君! や--」
「早く行って下っさい! あいつらは……ってもう来った!」
 ついに銀河連合は三名を食らおうと一斉に口を出し合う--間一髪のところで
地面にへばりついて回避!
「行くぞアラ太殿、ウキ麻呂殿!」
「「オウ!」」
 三名は転ばしてでも匍匐前進した--アラ太は犬族故、早く前進してゆくが--
(それにーしても鬼ーヶ島の大ー地は痛い! 硬い岩ーで出来てるのーか痛ーい!
 僕ーが気絶するくーらい堅ーいよ!)
 三名は地面にこすれるたびにより傷を増やしてゆく--皮は肉が剥き出すよう
に捲れ、血は化粧をするように模様を描いてゆく!
「傷ついってもおいら達は命を燃やさなっいと死んだシュギ朗のあんちゃんが……
あ!
 このままじゃ--」
 棟一の眼前に蛇型が身体を伸ばす!
「こ、こんな時に--」
「間に合わーない!」
「棟一様はやらっせない!」
 ウキ麻呂は自らの尻尾をアラ太の尻尾に巻いて、力の作用を応用してアラ太を
後ろに押し飛ばすと同時にそのまま低空で飛んだ!
「ウキ麻呂おーおおおー!」
「御免なっさああい!」
 そして棟一を庇うように日々型に背中を見せた--彼の背中は大き削れた!
「が、ああ!」
「ウキ麻呂殿おお!」
「ウキ麻ー呂くううーん!」
 二名は絶叫した--その声を聞いたウキ麻呂は最後の力を振り絞って蛇型に
抱っこした!
「一緒に死のっう? お、イァは……め、ぃ、え、を」
 ここにまた一つ、命の炎は消えた--蛇型を絶命させながら!
「シュギ朗殿、そしてウキ麻呂殿……」
「二ー名の為にーも僕はー命を懸ーけないと!」
 残された二名はウキ麻呂の言いつけ通り地面にへばりついてでも群れの中を
駆け抜けた!
 蘇我ウキ麻呂の亡骸はいずれ原形を留めなくとも、智慧は受け継がれる!

 ウキ麻呂が死んでから三の時が経った……。
 二名は鬼ヶ島の北にある絶壁の前に立つ!
「周りは海だらけ。飛んだら死ぬ! だけど飛ばなければいずれは--」
「わか、ってまーす棟一様。
 だー、だーから、こう、しーて僕達はー飛ぶか、どーうか、を--」
「喋るのはよせ! 後右足はもう無いのだろ?
 隠しても俺にはわかる!」
 棟一の言うとおり、アラ太の後右足はもう無い--溢れ出るばかりの血が流れて
いた!
 誰が見ても--
(僕の命はあーと僅かだーよ。群れのー中に入ーる前、言ーった通りーになったー
かも?)
 アラ太は残りの命をどう使うか、悩んでいた。
「俺の衣服を破いてでも止血すれば少しは--」
「よく、ないで、すーよ。あーなたは、こ、うきーな、者だ、よー」
「まだ言うか! いい加減にこの自分が天同棟一で--」
「ガア! あなたーは天同ー棟一です!
 グウウンウウ! 僕はずーっと天ー同棟一だーと思ってーます!
 だ、か、ガアア!」
 アラ太は無理して話した余波で口から舌の体積くらいの血を吐いた!
「そ、それでもじ、自分は--」
「あ、あなた、は自信ーを、も、ーてく、ださい!
 でないと……どうや、らき、たよ、うーです」
 そう言ったノヲ最後にアラ太は残りの足で棟一の所まで駆け寄る!
 そして彼の身体に体当たりをした!
「グウウ! ま、さか俺を!」
「ガアア! 行ってくだーさあアアいー天同棟一様アーア!」
 棟一の姿はみるみるうちに小さくなり、そして海の中へと飲み込まれた!
「グウウ! ハアハーア……」
 アラ太は振り返ると人生の総決算をしに銀河連合鬼蜘蛛混合型に向かって行く!
(父さーん、母さんー、そしーてフル太!
 僕は答えをー見つけまーした! こんなー形で実ー現するのは悲しーいことです。
もっとー穏やかーな日ー々の内に見ーつけられーたのならどーれだけ良ーかった
か!
 でも後悔はーしませーん! 最後に素ー晴らしいー御方でーある棟一様と出ー会えたーのですかーら! そーの方が万が一にーも生きー延びられるーのなら
きーっと死んでーいったシュギ朗ーさんやウーキ麻呂君に誉めらーれます!
 死ぬ寸前ーでこんーな腰ー砕けたことをー思うなんーて僕は神ー様に申しわーけ
が付き--)
 アラ太の思考はそこで永遠に止まる!
 物部アラ太は最後まで天同棟一でない少年を本者だと信じた!
 その正直すぎる信用は精神となり、全生命体の希望へと繋げてゆく!




 ICイマジナリーセンチュリー六十年八月十九日午前零時一分二秒。

 第十八話 鬼ヶ島を行く 完

 第十九話 遅かれ早かれ に続く……

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR